国はすでに県を相手取り、埋め立て承認取り消しを無効にする代執行訴訟を起こしています。辺野古新基地ノーの圧倒的な民意に逆らう安倍政権と、民意に後押しされる沖縄県による訴訟が並行して争われる展開です。
県はあわせて、判決が出るまでの間、国交相の執行停止決定の効力を停止するよう求める執行停止申立書を提出。国は訴訟中も辺野古での工事を継続しており、年明けにも護岸工事に入る危険があるため、これを食い止める考えです。
県は訴状で、国が行政不服審査法を用いて知事の埋め立て承認取り消しを一時停止したことについて、同法は私人の救済を目的としているものであり、国である沖縄防衛局は「私人ではないから、行審法による審査請求等の適格は認められない」と指摘。防衛局の申し出に基づく執行停止は「違法な決定」だと断定しています。
また、執行停止申し立てについて、自然環境の不可逆的な破壊や自治権の否定、さらに普天間基地の危険性がそのまま辺野古に「移転」されることを挙げ、「重大な損害を避けるために緊急の必要性がある」と訴えています。
県は当初、年明けに国を提訴する方向でしたが、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」が24日、県の審査請求を却下したことを受け、提訴に踏み切りました。
工事止める有効な方法
会見で翁長知事「不退転の決意」
沖縄県の翁長雄志知事は25日、県庁で記者会見し、抗告訴訟について、「国土交通大臣の執行停止決定の効力を失わせることにより、沖縄防衛局の埋め立て工事を止める有効な方法だと考えている」と強調し、「不退転の決意で思いを遂げていく」と話しました。国地方係争処理委が沖縄県の申し出を却下した翌日の提訴となったことについて翁長知事は、「全くの偶然」としつつ、7時間におよぶ議論もあったとして、「地方自治という問題について、10年、20年前と違う感覚をもって議論がなされた部分も大きいが、結果的には遺憾なこととなった」と感想を述べました。
裁判以外で新基地建設を止める手段はと問われた翁長知事は「総合力。法廷、集会、いろいろなものの重なりあいで多くの国民に理解してもらい、共有していただくなかで、この問題は必ず私たちの思いと一緒になって解決していくもの」と語りました。
会見の最後に翁長知事は「厳しい環境にあるが、この後ろ姿を子や孫に見せることによって、彼らが吸収して彼らなりの思いをもって沖縄の将来を担っていくことにつながっていくのであれば、私たち責任世代の役割はそこにあるのではないか」と力を込めました。