本紙が、防衛省への情報公開請求で入手した資料をもとに集計しました。
のべ日数は、13年度の915日間から1265日へと350日間の大幅増。内訳では、海上自衛隊実施のものが712日間と全体の半数以上を占め、13年度からの伸び幅も178日で最大。陸上自衛隊の261日間(13年度比93日の増)、航空自衛隊の193日間(同79日の増)と続きます。
日数増は、多国間共同訓練への積極参加が主な要因。集団的自衛権行使の前提となる他国軍との連携強化が、戦争法先取りで着々と進められている形です。
主な訓練としては、米海軍主催の環太平洋合同演習「リムパック」(14年6~8月)に、陸上自衛隊の水陸両用戦部隊が初参加。米国で行われた「アイアン・フィスト」(15年1~3月)でも、同部隊が米海兵隊の水陸両用車に搭乗して上陸訓練を初めて行うなど、水陸機動団の編成に向けた「海兵隊化」の動きが加速しています。
南シナ海で米空母と巡航
戦争法 訓練で先取り
海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」(第4護衛隊、母港・呉)が昨年10~11月、「日米共同海外巡航訓練」として、日本からグアム、フィリピンに至るルートを米空母機動部隊と1カ月間、共同行動していたことが分かりました。巡航海域には、中国と東南アジア諸国間の領有権争いが生じているフィリピン西方の南シナ海も含まれ、戦争法を事実上先取りする訓練です。本紙が情報公開請求で入手した海自の特別訓練成果報告書などによると、日米は▽対潜戦▽対水上戦▽対空戦―訓練を実施。「南シナ海の海洋特性に習熟することができた」とも明記しています。
中谷元・防衛相は今年11月のハリス米太平洋軍司令官との会談で、南シナ海でこの種の「共同巡航訓練」を推進する意向をすでに伝達しています。
戦争法の施行で海自は、共同行動(訓練中含む)する他国艦艇の「防護」(=武力による反撃)が可能になります。「巡航訓練」の拡大は、「訓練」と称した同海域への恒常的な「派兵」につながる危険があります。