疑惑の核心は、現職閣僚が口利きをして、その見返りに現金を受け取ったということです。
確認を避ける
千葉県白井市の建設会社「S興業」の総務担当、一色武氏は、『週刊文春』に対し、都市再生機構(UR)とのトラブルをめぐり、甘利氏の事務所に口利きを依頼したと証言。甘利氏本人には、2013年11月に大臣室で、14年2月には、神奈川県大和市の地元事務所で、それぞれ50万円入りの封筒を直接手渡したとしています。
甘利氏は、国会答弁などで、面会した事実は認めました。現金授受については「記憶の一部と違う」「記憶があいまいなところがある」などと確認を避けていますが、否定はしていません。
一色氏は、甘利氏の秘書にも口利きの謝礼として現金500万円を手渡したと説明しています。ところが、甘利氏側の政治資金収支報告書に献金の記載があるのは、甘利氏が代表の自民党支部と、甘利氏の元秘書の県議が代表の自民党支部で各100万円だけ。差額の300万円分がどう処理されたかは不明です。本紙の調べでは、現金授受の総額は700万円なのに、収支報告書に記載があるのは394万円にすぎません。
ひとごとのよう
一色氏は、甘利氏側への接待を含む利益供与は、録音データやメモが残っているものだけで、総額1200万円にのぼるとも証言しています。
甘利氏は、「一連の秘書の行動は半信半疑で、ウソじゃないかと思った」などと、ひとごとのような言い訳をしています。
しかし、甘利氏は26日の記者会見で、秘書からいわれ、S興業が開いた会合に出席したことを次のように認めました。
「秘書から『支援者を集めてくれるので行ってもらいたい』という話があった。20~30人だったか、支援者を集めたということで、会を開いてくれた」
S興業からの現金授受が事実だった場合、甘利氏が法的責任を追及されるのは必至です。現金の趣旨が口利きへの見返りなら、あっせん利得処罰法に違反する可能性があります。場合によっては、さらに刑罰の重い刑法のあっせん収賄罪にもふれる恐れがあります。収支報告書への不記載は政治資金規正法違反が疑われます。