沖縄県の翁長雄志知事は1日、名護市辺野古への米軍新基地建設のための埋め立て承認取り消しをめぐる県の審査申し出を却下した国地方係争処理委員会(係争委・総務省の第三者機関)の決定は違法であるとして、国を相手取り福岡高裁那覇支部に提訴しました。知事の取り消し処分の効力を停止した石井啓一国土交通相の執行停止決定の取り消しを求めています。

 新基地建設をめぐる県と国の訴訟は、(1)国が県を訴えた代執行訴訟(2)県が国を訴えた抗告訴訟―に続き3件目。2000年の係争委設置以降、決定を不服として、地方自治体が高裁に提訴するのは初めてとなります。

 新たな訴訟は、地方自治法を根拠としたもので、15日に第1回口頭弁論が開かれます。

 県は昨年11月、石井国交相による執行停止決定は「違法な国の関与」だとして係争委に審査を申し出ました。ところが係争委は昨年12月24日の会合で、県の申し出を審査しないまま却下しました。

 訴状で県側は、石井国交相による執行停止決定について改めて「地方自治法によって禁止されている違法な『停止的』関与である」と強調。違法な国の関与に対する審査の申し出は「適法」であり、これを却下した係争委の判断は「誤った違法なもの」と断定し、執行停止決定は「取り消されるべきである」と求めています。