実収入から直接税や社会保険料など非消費支出を除いたものを可処分所得といい、家計の判断で使える金額とされます。物価の影響を除いた金額で比較するために、名目の可処分所得額を消費者物価指数(2010年基準、持家の帰属家賃を除く総合)で割ることで実質値を算出しました。
実質可処分所得は、現在と連続するデータのある1963年から年を追うごとに上昇しましたが、97年の月額47万9302円を頂点に減少に転じました。直近の2015年には40万8649円まで下がりました。この額は1985年の41万3835円より低い水準です。
実質可処分所得が下がった要因の一つは、実収入が伸び悩んでいることです。名目値でみると、実収入は、1997年の59万5214円を頂点に、2015年には52万5955円と7万円近くも下がりました。
非消費支出の増大も可処分所得を減らしました。非消費支出は、15年には9万8508円と調査開始以来の高額となり、実収入の18・7%を占めるまでになりました。とりわけ、公的年金保険料や健康保険料など社会保険料が高額となっています。
加えて、物価上昇が響きました。14年4月に安倍晋三政権が強行した8%への消費税率引き上げで、消費者物価指数が15年に104・6まで跳ね上がり、過去最高の水準となりました。アベノミクスによる円安加速も輸入物価を押し上げました。
安倍政権は社会保障を削減し、負担増と給付減を国民に押し付けています。さらに来年4月には消費税の10%への引き上げを狙います。この方向ではますます国民生活は苦しくなるばかりです。