安倍首相は、年初から改憲を参院選の争点とするかまえを見せており、運動方針案はこうした首相の姿勢を反映したものです。
運動方針案は、明文改憲や自民党改憲草案に対する国民の理解促進に取り組むと表明。「衆議院・参議院の憲法審査会や各党との連携を図り、憲法改正原案の検討・作成を目指す」として、おおさか維新など安倍政権の「補完勢力」の協力を得て改憲に進むかまえです。
そのうえで方針案は、「憲法改正国民投票法および公職選挙法が整備され、憲法改正のための国民投票は、現実に実施できる状況にある」と明記。「衆参両院の3分2以上の賛成および国民投票における過半数の賛成が必要である。そのため…憲法改正賛同者の拡大運動を推進する」としています。
戦争法については、国民多数の反対を押し切って強行成立させたにもかかわらず、「戦後70年間守り続けてきた不戦の誓いをより確かなものとするための強固な基盤を築くことができた」などとねじまげて正当化。参院選に向けた方針の中でも戦争法にふれ、「着実な施行に万全を期すため、国民の理解を深める広報活動に徹していく」と述べ、反対多数の世論を意識した記述となっています。
参院選 32の1人区が“最重点”
運動方針案は、7月の参院選について「安定した政治基盤を固める選挙であり、わが国の将来を左右する極めて重要な戦い」と位置付け、必勝態勢の構築を掲げました。そのなかでも、全国で32ある参院選挙区1人区での選挙戦が「全体の勝敗を大きく左右する」として、最も力を入れる構えを見せています。参院選とダブル選となる可能性も指摘されている衆院選に関しては、「いつ選挙が行われても勝利できるよう各議員、支部長は常在戦場の心構えを」と求めています。衆院北海道5区補選(4月)と沖縄県議選(6月)については、「確実に勝利する」とかかげました。
運動方針案は経済政策について、国民が景気回復を実感していないにもかかわらず「『もはやデフレではない』という状況をつくり出すに至った」と自賛。農業と地方経済をはじめ日本の経済や暮らしに壊滅的影響を与えるTPP(環太平洋連携協定)を「日本の良質な製品、サービスを世界に売り込むチャンス」と美化するとともに、さらなる法人税減税を進める姿勢も見せ、大企業優遇政治を続ける構えを示しています。
原子力政策については「原子力発電所の再稼働を進めるなど、重要なベースロード電源として活用する」と明記し、原発推進の姿勢です。