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同一労働同一賃金/真に実効性ある法律改正こそ
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同一労働同一賃金/真に実効性ある法律改正こそ

2016-03-07 10:59

    主張

    同一労働同一賃金

    真に実効性ある法律改正こそ

     安倍晋三首相が、同一労働同一賃金について「法改正の準備を進めます」と述べ、5月に策定する「ニッポン1億総活躍プラン」に対策を盛り込むと表明しています。同一労働同一賃金は、賃金差別をなくすため、早くから確立している国際労働基準です。同一労働同一賃金の法制化は当然であり、遅きに失したぐらいです。真に実効性のあるものとするための取り組みが政府に求められます。

    世界では当たり前の基準

     同一労働同一賃金は、世界で当たり前となっている労働の基準です。本来の目的は、同じ仕事をしているのに女性だけを低賃金にするという賃金差別をなくすことにあります。その後、国際社会はさらに一歩すすめて、同一価値労働同一賃金原則を確立しました。

     仕事が異なっていても男女間に不合理な賃金格差がある場合、女性が集中する仕事と男性が集中する仕事のそれぞれの仕事内容を比較して、同じような仕事内容であれば同じ賃金を保障するという原則です。国連は、女性に限定せず、非正規労働者などの賃金差別の撤廃にも適用できると考えています。

     同一価値労働同一賃金原則は今日、ILO(国際労働機関)憲章(1919年)、ILO「同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約」(第100号、51年)、国連女性差別撤廃条約(79年)、欧州における男女同一賃金指令(75年)などに明記されています。欧州では、この指令を受けて、ドイツ、フランス、イタリア、デンマーク、オランダなどの諸国が「同一労働または同一価値労働に対する男女同一賃金」を法律に明記しています。

     同時に、賃金だけでなく雇用保障など労働者の待遇全体を均等にする均等待遇を法制化しています。均等待遇と「同一労働・同一価値労働同一賃金」の二つの原則を法制化し、差別をなくそうとするEUの経験を参考にすべきです。

     日本においても、同一労働同一賃金原則に実効性をもたせるには、労働基準法第4条(男女同一賃金原則)を中心にこの原則を明記する法改正が不可欠です。

     ILO条約勧告適用専門家委員会が賃金差別の撤廃を、繰り返し日本政府に勧告しているのも、労働基準法第4条の改正です。法律に明記することが格差是正と賃金差別撤廃の出発点となります。さらに、雇用形態による差別の禁止を含めた均等待遇の法制化が求められます。

     同一労働同一賃金にかかわって、経団連の榊原定征会長は、「考え方には賛同する」としながら「日本の雇用慣行を十分考慮した上で導入を検討してほしい」と発言しています。これは、日本のいわゆる「年功制」のもとでは実現困難だと表明したものです。しかし、同一労働同一賃金あるいは同一価値労働同一賃金は、男女あるいは正規・非正規のあいだの賃金差別を撤廃する原則であり、賃金制度のあり方を規定する原則ではありません。

    賃金格差をなくすために

     どのような賃金制度を採用していようとも、同一労働同一賃金の法制化は可能です。

     日本共産党は、男女賃金格差と正規・非正規の賃金格差をなくすために、国会内外で幅広く力を合わせて、法制化と均等待遇の実現に向けて奮闘するものです。

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