本紙が試算したのは、「国の考え方に従って改定を行った」という横浜市の保育料。(1)夫婦ともにフルタイムで働き均等に収入を得る世帯(2)国がモデルとする、妻がパートで非課税(年収100万円以下)の世帯―について、新旧の算定方式で保育料を計算しました。
夫婦がフルタイムで働く場合、新方式への変更により、子2人世帯の保育料は世帯年収が665万円を超えると上昇します。子1人世帯の保育料も、年収664万円以下では下がるものの、年収が715万円を超えると上がります。年収が多くなるほど負担は大幅に増え、年3万6千~17万5千円もの増加となります。(グラフ)
認可保育所を利用する世帯の45%は世帯所得が600万円以上(厚生労働省「国民生活基礎調査」13年)あり、多くの世帯が値上げの範囲に入ります。
一方、国のモデル世帯では、子2人世帯の保育料はほぼ変わらず、子1人世帯の保育料は下がります。しかし国のモデルは、妻の就業時間が1日4時間程度(時給1千円、週5日就業の場合)という世帯です。“夫婦フルタイムが保育所入所の最低条件”といわれる地域も多く、保育所利用世帯としては例外的なケースにすぎません。
多くの世帯が保育料値上げになった原因は、安倍政権による制度変更です。保育料の基準を、世帯の所得税額から住民税額に変えたことなどによります。横浜市と同様の値上がりが全国で生じているとみられます。
試算では子どもが4人いる場合、国のモデル世帯も含め、大多数の世帯の保育料が急増。最大で年22万3千円も上がりました。子どもが多い世帯ほど負担が大きく増えることが裏付けられました。