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アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第93号(2016/7/8号/月2回発行)
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アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第93号(2016/7/8号/月2回発行)

2016-07-10 15:50

     暑くてしんどい毎日が続きますね……。  今回の不定期アニメ日記は、ちょっと話題になっていた「日本のアニメ制作をダメにする『ブラックボックス』問題」についての私見を書きました。
      さて、今回もいってみましょうか。

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    1.最近のお仕事紹介
    2.Q&A
    3.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
    4.前回のアニメの門チャンネル
    5.不定期アニメ日記


    最近のお仕事紹介

    1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
     7月からの予定は以下の通り。こちらも募集しています。
     7/16特別講座「声優の仕事を知ろう」ゲスト田中一成(『プラネテス』ハチマキ、『ハイキュー!!』烏養繋心)
     8/20『花とアリス殺人事件』
     9/17『交響詩篇エウレカセブン』
     https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/90a95229-2aff-749a-5a4c-5710d1ad6643

    2.SBS学苑パルシェ校「アニメを読む」(静岡)
     7月24日10:30より「大人も楽しめるキッズアニメ」と題して『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』を取り上げます。
     http://www.sbsgakuen.com/Detail?gakuno=2&kikanno=174535

    3.栄中日文化センター「アニメを読む」(名古屋)
     7月23日15:30から『新海誠作品』を取り上げます。『言の葉の庭』までのフィルモグラフィーを追いかけながら、新海作品の魅力に迫ります。最新作『君の名は。』の予習にどうぞ。
     →http://www.chunichi-culture.com/programs/program_166148.html

    4.NHK文化センター青山教室「アニメを読む」(東京)
     8月20日13:30から、こちらでも『新海誠作品』を取り上げます。
     →https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1088222.html


    Q&A

    「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。文面にハンドル(名前)も入れてください。
    あるいは、アニメの門チャンネルの有料会員は、アニメの門チャンネルページの掲示板サービスが使えますので、そこに質問をしていただいてもよいです。メルマガの下にあるコメント欄でも結構ですよー。


    前回のアニメの門チャンネル

     前回のアニメの門チャンネルは、ライターの前田久さんをゲストに、2016年前半を振り返りました。配信は、僕と前田さんが気になったトピックをそれぞれプレゼンする形で進行しました。
     無料ゾーンで上がった話題は次の通り。

    ●藤津が挙げたトピック
     ・中国マネー(アートランドへの出資、『霊剣山』、『聖戦ケルベロス』)
     ・スターチャイルド終了
     ・こってり復活?(『カバネリ』『GODEATER』)
     ・昭和アニメ(『落語心中』『コンレボ』『ジョーカー・ゲーム』)
     ・60分の充実(『キンプリ』『同級生』『傷物語 I』)

    前田さんが挙げたトピック
     ・三森すずことアニソンパラダイス
     ・特殊上映ブースト効果(『キンプリ』『ガルパン』)
     ・ショートアニメ三本の矢(『ウルトラスーパーアニメタイム』)
     ・“ジョジョ”におもしろい
     ・『カバネリ』ショック!

     有料ゾーンで上がった話題は次の通り。

    藤津が挙げたトピック
     ・アニメ!アニメのハイム・サバン関連記事
     ・萌えとギャグの相性
     ・ガーディアン紙における西村PDの発言について

    前田さんが挙げたトピック
     ・配信サービスからの新作  ・『コンレボ』


    連載「理想のアニメ原画集を求めて」

    文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

    第21回『ルパン三世 テレコム・アニメーションフィルム40周年記念 ルパン三世2015.新TVシリーズ OP原画集』

    この原画集は、2015年に見た原画集の中でも特に良い本でしたので、ぜひ紹介したいと思っていました。
    判型や誌面構成は、第3回で紹介した『井上俊之有頂天家族原画集』に近く、B5判の大きさで、原画が1ページに1枚ずつ掲載されています。ページの表と裏それぞれに別々の絵が掲載されており、右開き・左開き両方からパラパラとめくって見ることができる原画集です。
    トムスショップのサイトには「あのオープニングの原画を余すところなく収録」 と書かれていますが、これは全ての原画が掲載されているという意味ではないと思います。とは言え、ほとんどと言って良いほどの内容の原画が収録されており、不足は感じさせません。

    『有頂天家族』の原画集と違って別冊のタイムシートが付いていないのは惜しいところなのですが、OPという一つで完結している映像の原画を一通り、カット順にパラパラ見ることができる。これはなかなか革命的なことだと思います。
    『有頂天家族原画集』は、付録のDVD用に編集された映像を参照しながら見る形式になっており、本編とは独立したものであるという印象が強い本でした。一方、この原画集はOP映像と同じカットの流れで原画が掲載されており、原画集を見ることで本編の映像の流れをより詳しく追体験できる。原画集としては理想的な形のものだと思います。
    1枚1枚の絵を大きく見ることができる上、一編の映像の原画が連続して1冊にまとまったものをパラパラしながら見ることができる。作品のファンも作画のマニアも満足できる形だと思います。

    このOPの絵コンテ、演出、作画監督は、キャラクターデザインの横堀久雄さん。横堀さんは、テレコム・アニメーションフィルム出身のベテランアニメーターで、同期には、貞本義行さん、田中達之さん、滝口禎一さんという華々しい方達の名前が並んでいます。
    そんな人達の中で、長年なかなか名前のあがる事のない、知る人ぞ知る存在でしたが、2000年代後半より演出家の池畠博史さんと一緒に仕事をするようになり、その原画マンとして描く動きが注目されるようになっていきました。
    また、横堀さんはベテランアニメーターながら、作画だけでなく3DCGも駆使するアニメーターであり、TVSP『ルパン三世 霧のエリューシヴ』の担当シーンでは、3DCGのモーションから担当されていました。
    他にも、『ルパン三世』に関する仕事では「バイク王」シリーズのCMを担当されており、このお仕事が今回のTVシリーズキャラクターデザインに抜擢されるきっかけとなりました。バイク王のCMは、体を細く、手足を大きく、鉛筆の線のタッチを残した、絵としての魅力を感じさせるものでした。原画集では、その横堀さんの絵の魅力を1枚1枚大きなサイズで見ることができるわけです。

    また、このOP映像では、作画のみならず3DCGにも造詣の深い横堀さんならではの作画と3DCGのハイブリッド的な映像を作り上げています。映像としても様々なアイデアが盛り込まれており、『ルパン三世』のタイトルの「Ⅲ」の文字をフレームとして活用し、そこからキャラクターがはみ出す事で擬似的な奥行きを錯覚させる仕掛けになっています。これは、ネット上で見られる、映像に縦線を加えることで錯覚を生じさせるGIF動画を演出として取り込んだものでしょう。
    OPでは他にも様々な映像としての加工が施されています。そうした加工が施される前の、素材としての原画、一枚の絵としての魅力をこの原画集を通じて再発見して欲しいと思います。
    今までにも、OPの資料集的なものや原画集的なものを見たことはありますが、満足できる内容の本があったかというと、正直なところそれ以前の問題というような本が多く、残念に思っていました。この本は原画集として、その不満が解消された1冊です。『有頂天家族』の原画集があった上でこうした本が作られたように、この本の存在が広く知られて、またこうしたOP原画集が、様々な作品で出版されるようになるのを祈らずにはいれません。

    『ルパン三世 テレコム・アニメーションフィルム40周年記念 ルパン三世2015.新TVシリーズ OP原画集』/発行元:株式会社テレコム・アニメーションフィルム/発売元:株式会社トムス・エンタティメント/3500円)

    「ルパン三世」オープニング映像


    不定期アニメ日記

     今日は、ちょっと話題になっていた「日本のアニメ制作をダメにする『ブラックボックス』問題」についての私見を書こうと思います。

     この原稿でいう「ブラックボックス」とは、クリエイティブ面における「産業/製作サイド」から見た「業界/制作サイド」の不透明感のことです。
     この原稿は、演出家がほぼ1人で抱える(例外もありますが)絵コンテで作品の重要なポイントのすべてが決まるというボトルネックに、その「ブラックボックス化」の理由を求めます。
     統括者であるプロデューサーが「脚本を現場へ手渡した後の品質は、担当演出の作家性が良い結果を生むことに期待するしかない」というところに問題があるのだ、と。

     
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