7月23日、24日と連続で中日文化センター(名古屋)とSBS学苑(静岡)の講座がありました。そのため東京を不在にしている時間が長く、メルマガ発行が遅れてしまいました。たいへん申し訳ありませんでした。 またどちらの講座も20人を超える方に出席いただき(懇親会も15人以上)どうもありがとうございました。 というわけで今回のメルマガいってみましょうか。
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1.最近のお仕事紹介
2.Q&A
3.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
4.お蔵出し原稿
5.不定期アニメ日記「人生に、文学を」キャンペーンのこと
最近のお仕事紹介
1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
8/20『花とアリス殺人事件』
9/17『交響詩篇エウレカセブン』
2.NHK文化センター青山教室「アニメを読む」(東京)
8月20日13:30から、『新海誠作品』を取り上げます。最新作『君の名は。』の予習にどうぞ。
→https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1088222.html
3.「プレイバック“中村隆太郎監督”」@阿佐ヶ谷ロフトA
出演は小中千昭(作家・脚本家)、久保田光俊(株式会社シャフト代表取締役)ほか中村隆太郎監督と交流のある方々。藤津は司会を務めます。劇場版『キノの旅 病気の国 -For You-』を上映し、中村監督を振り返ります。
開場:12:30 前売:1500円、当日:2000円
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/47538
Q&A
「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。文面にハンドル(名前)も入れてください。
あるいは、アニメの門チャンネルの有料会員は、アニメの門チャンネルページの掲示板サービスが使えますので、そこに質問をしていただいてもよいです。メルマガの下にあるコメント欄でも結構ですよー。
連載「理想のアニメ原画集を求めて
文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)
第22回『翠星のガルガンティア原画集』
自分が原画集を購入する場合、「その原画集に掲載する原画をアニメーターが選んでいるか?」という要素が、大きな選択基準となっています。
なので、この連載では、アニメーターの側から選ばれた、作画的に見どころがあると判断された原画が掲載されている本を積極的に紹介してきました。
これは、自分自身の嗜好もあるのですが、「原画はアニメーターが描いたものである」という前提に立っています。
しかし中には、原画集ではありませんが第13回で紹介した『咲-saki』の演出修正集『アレのソレ。』のように、演出という仕事について知ることができる本も存在します。
この『翠星のガルガンティア原画集』は、このジャンルでは比較的珍しい、演出家主導の観点で作られている原画集です。
掲載されている原画には、監督の村田和也さんが1カットずつ細かく解説をつけており、アニメーターとはまた違った、演出家としての視点からカットの内容が解説されています。
アニメーター主導で作られた原画集に掲載される原画の掲載基準は、大雑把に言ってしまうと「よく動いているもの」が多く、コメントが付け加えられる場合、その動きがどう巧いかという視点で語られることが多いと思います。
一方、この本では、登場人物がその時動くのはなぜなのか。止まっている場合でも、そのカット上の演出的な理由がカット単位で、あるいは原画1枚ずつの違いから解説されています。
そのカット内で描くべき状況や人物描写がどの動きによって表現されているのか、あるいは作画以外のどんな処理によって表現されているのか等が語られており、アニメの役職で言うならば、演出処理に相当する視点からの原画の見方と言って良いと思います。
この本の見どころは他にもあります。この作品では主人公が搭乗するロボットを主に3DCGを使って表現していますが、カットによっては手描きの作画でも描かれており、その使い分け、カット内での制作工程などについても言及されています。
その中でも珍しいのは、クライマックスのアクションシーンで3DCGの下敷きとなるラフ原画を手描きのアニメーターが描いた素材です。3DCGと作画の組み合わせはケースバイケースなのだと思いますが、この作品でのロボットのアクションシーンではカメラワークやロボットの動きを手描きのアニメーターが設計した上で、3DCGのロボットが嵌めこまれ、ビームや煙はアニメーターが手描きしていくという手法が採られたようです。
3DCGと手描きのマッチングは、今のアニメ映像の課題の一つでもあり、興味深い素材が掲載されていると思います。
他にも珍しい掲載物が有ります。
この原画集の最後には、EDの原画がまとめて掲載されています。この作品のEDは1カットのみの映像となっており、その原画の全てが9ページに渡って掲載されているのです。
前回紹介した、『ルパン三世2015.新TVシリーズ OP原画集』は、OPの映像を一望できる本でした。こちらも、1カットの映像ながらEDの原画を一望できるようになっているわけです。面白いのは、このEDの原画のタイムシートも原画と同時に掲載されており、ED全てのタイムシートを5ページもかけて掲載しているところです。
ED丸々1カットということで、これだけ長い1カットのタイムシートを見るのはなかなか稀なことでしょう。
興味深いのは、それがEDという楽曲に合わせたカットのタイムシートだということです。
タイムシートには、音楽の歌詞のタイミングや演奏のタイミング等が書き込まれています。これは恐らくスポッティングシートと呼ばれるものだと思われます。
OPやED等を制作する際によく用意される、音楽のタイミングが書き込まれたもので、アニメの実制作者以外が目にするのはなかなか稀な資料だと思います。
アニメのOPやEDが作られる元として、こうした工程が存在するということを確認できる、なかなか興味深い資料の一つだと思います。
この原画集は、いつも紹介している原画集とはまた一風変わった本となっています。絵コンテを元にした作画作業で、演出処理を担当している人たちが、一体どのような観点から作画工程のチェックをしているのかという一端を理解させてくれる内容になっています。
同じく村田さんが監督された『鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星』の原画集では、アニメーターの小西賢一さん、押山清高さんがカットの選別、解説を担当しており、対称的な内容の本となっていると思います。
アニメーターと演出という仕事を意識して読み比べてみると、興味深いかもしれません。
原画集にも様々な可能性が有るということを教えてくれる1冊であり、演出家という職業を改めて意識させてくれる興味深い1冊でもありました。
(『翠星のガルガンティア原画集』/発行元:Production I.G/3240円)
お蔵出し原稿
週刊ビッグコミックスピリッツにかつてあったコラム欄(同様のコラム欄は現在「オリジナル」にあります)のために書いたコラムです。2013年年末の原稿です。
高畑勲監督の最新作『かぐや姫の物語』を見終わった時に真っ先に連想したのは、映画『市民ケーン』だった。それぞれの主人公であるかぐや姫と新聞王チャールズ・フォスター・ケーンの寄って立つところは、非常に似ているのだ。
『かぐや姫の物語』は、いうまでもなく「竹取物語」が原作だ。物語は原作をそのまま踏襲しているが、大きくふくらんでいる部分がある。それは竹から生まれた姫が、都に赴くまでの子供時代だ。子供時代の姫は「たけのこ」と呼ばれ、幼なじみたちと幸福な時間を過ごす。映画は子供のたけのこの姿を生き生きと描き出す。
この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。
「人生に、文学を」キャンペーンについては取り敢えず東んの以下の呟きhttp://b.hatena.ne.jp/entry/twitter.com/hazuma/status/291538365331959809
佐藤亜紀であるならもっと的確な事を云ってます。様はこのキャンペーンをやってる連中こそが「文学」を殺し続けているのです。