3月9日から12日まで開かれた東京アニメーションアワードフェスティバル(TAAF)で、長編グランプリに選ばれた『オン ハピネスロード』(台湾、サン・シンイン監督)の応援アカウントができました。
まだ日本公開など決まっていない同作ですが、素晴らしい作品ですので、少しでも機運を盛り上げていこうということでtwitterアカウント「映画『幸福路上(オン ハピネス ロード)』応援【拡福隊】」もスタートしました。
僕も書記係(肩書は適当に名乗るということだったので)で参加しております。内容がおもしろいのは折り紙付きですので、ご興味ある方は是非、フォローしていただけるとうれしいです。よろしくお願いします。 では、いってみましょうか。
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1.最近のお仕事紹介
2.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
3.お蔵出し原稿
4.連載一覧
最近のお仕事紹介
1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
4月期は以下の通りです。
4月21日 脚本を書いてみよう! 特別講師:大河内一楼
5月19日『コードギアス 反逆のルルーシュ』
6月16日『DEVILMAN crybaby』(+旧作)
【受講申込】
2.5月のSBS学苑(静岡)
5月27日は『君の名は。』を取り上げます。大ヒット作の隠れた魅力にフォーカスします。
【受講申込】
連載「理想のアニメ原画集を求めて」
文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)
62回「『宝石の国』vol.4 映像特典『松本憲生氏作画によるスペシャルプリビズ映像』」
今回は原画集ではなく、映像ソフトに収録された映像特典。『宝石の国』第8話「アンタークチサイト」のために描かれたプリビズ映像です。
「プリビズ」は、あまり馴染みのない単語ですが、正確には「Pre-Visualization」で、完成映像の前に作られるテスト映像のことです。
『宝石の国』は3DCG作品ですが、手描きアニメ的な志向を意識して作られている作品なので、ここで見られる映像はその一環なのだと思います。こうしたプリビズ映像は、日本ではなかなか見ることはありませんが、海外のアーティストのサイトでは見ることができます。
例えば、Googleのトップページで印象的なアニメーションを披露したRyan Woodwardさんのサイトでは、ハリウッド大作のために作られたアニメ映像を見ることができます。最近では、Netflix作品の『トロールハンターズ』のために描かれたものを、アーティストが自主的にTwitterで公開しているのを見かけました。
日本では、この手の映像は権利の問題で個人単位でネット上に公開することは稀ですが、海外では自分の仕事を積極的に宣伝することが許容される傾向にあるようですね。日本でも『よなよなペンギン』等、手描きの原画を元にして3DCGの映像を完成させる工程を踏んだ作品は存在しているようです。
『宝石の国』のプリビズ映像は、正確には原画ではなく、また、ここで描かれた原画が動画になることもないのですが、松本憲生さんの原画をここまでまとめて見られる機会は今後無いだろうということで、今回どうしても紹介しておきたいと思い、取り上げさせてもらいました。
松本憲生さんは、アニメ作品のメインスタッフに名前が載るタイプのアニメーターではないので、知る人ぞ知る方になってしまうかもしれませんが、日本を代表するアニメーターといって過言ではない方です。
代表作は『NARUTO』シリーズでのアクションだと思います。近年では劇場作品を中心に活躍、『かぐや姫の物語』『君の名は。』『夜は短し歩けよ乙女』等に参加されており、アクションでも芝居でも印象的なシーンを作り出すスーパーアニメーターの一人です。
松本さん自体は、表立って目立つのが苦手な人らしく、メインアニメーターであるにも関わらず『かぐや姫』ではノンクレジットでの仕事になっていたりするのですが、時折その原画が映像特典などで収録されることがあり、目にすることができました。しかし、今回ほど一度にまとまった量を見られるチャンスは今までになく、大変貴重な機会になっています。
そもそも、アニメ作品の1パート丸々一つ分の原画を見られる映像自体がアニメの映像特典としてかなり画期的なものではないでしょうか? 1パート丸々と書きましたが、今回松本さんがプリビズを担当したのは、第8話のBパートまるごと全部という大変なもので、速筆で知られる松本さんならではの仕事量ですね。
ソフトを購入してよかったなと思ったのが、ブックレットに第8話の絵コンテが抜粋で掲載されており、プリビズ映像と見比べることができるところです。絵コンテは第8話のクライマックス部分が掲載されており、これには事前にYouTubeで公開された「『宝石の国』【お試し映像】松本憲生氏作画によるスペシャルプリビズ映像」のパートも含まれています。
掲載されている絵コンテを見ると、本編でもこのお試し映像の段階でも特に印象的だった、cut284、cut288は絵コンテ段階では全く違う構図と動きに変更されています。これが松本さんのアドリブなのかどうかははっきりとは分かりませんが、転げながら走り続けるフォスフォフィライトの動きや、大きくカメラが一気に引いていく構図など、絵コンテから変更されたことで緊張感の増したスピード感のある映像となっていると思います。この後も、掲載されている絵コンテと見比べてみると色々な変更点があります。欲を言うとBパートのコンテ全部と見比べてみたいですね。
プリビズは、動画を挟まない通常の原画に近い構成で描かれているもののようで、いわゆる「原撮」と同じ感覚の映像となっています。ですので、原画そのものを映像として見ることができ、興味深いです。
『宝石の国』という、SF要素の強い特殊なシチュエーションを踏まえつつ、コンテ以上の内容に膨らませてアニメとして描いている。松本さんのアニメーターとしての解釈の仕方や、その後の展開のある仕事を見ることができ、満足感のある特典映像でした。
手描きと3DCGで手段は違えど、手描きのスーパーアニメーターの技術を吸収したいという熱意のもとに成立していると思われる今回のプリビズですが、実際にアニメーションを担当した3DCGアニメーターの人達の意見もどこかで読めると面白そうだなと思いました。
今回のプリビズをまとまった映像としてみることで、原画が映像の設計図であることや、また完成された映像からは分からない動きのポイントなどが分かる興味深い資料となっています。原画集ではありませんが、原画集的な見ごたえのある映像です。
作画ファンだけでなく、映像制作に興味のある方には、ぜひ一度目を通して欲しい貴重な映像です。近年では、様々な形でこうした素材を活かした映像特典等が増えていますが、今後も色々な作品で見られることを期待しています。
(『宝石の国』vol.4/Blu-ray 7,344円、DVD 6,264円/東宝)
お蔵出し原稿
アニメ喜怒哀楽から、「歌の喜び」について書いた一編を再録します。
「ミュージカル」-「歌の喜び」=?
ミュージカル・アニメといえば
やはりディズニー
『新世紀エヴァンゲリオン』の渚カヲルの言葉を借りるまでもないが、「歌」というのはとてもいいものだ。歌うにしても、歌を聴くにしてもそこには喜びが間違いなくある。
歌の語源は訴える、だという。思いがあふれ、それがいつの間にか歌になる。そう考えると「唐突に歌い出すなんて不自然」なんていわれがちがミュージカルというスタイルもずいぶんとわかりやすくなるんじゃないだろうか。そういえば誰かが「ミュージカルは頭ではなく、心に訴えかけるのです」なんて言っていたことも思い出されてくる。