『亡念のザムド』『伏』などでお世話になった宮地昌幸監督の小説『さよならアリアドネ』の推薦コメントを書きました。
僕の感想はリンク先のコメントに尽きますが、ループもの?と思わせてからの、後半の展開に「お!」となりました。
業界ものではないけどアニメーターが主人公なので、そういう興味でも楽しめるポイントはありますね。
とてもハートフルな内容なので是非! 僕自身、いろんな人の感想を聞きたい小説です。
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1.最近のお仕事紹介
2.Q&A
3.不定期アニメ日記
4.お蔵出し原稿「『ture tears』の語り口」
最近のお仕事
1.朝カル講座「アニメを読む」(東京)
11月以降は次のラインナップです。
11/21 『ゴルゴ13』
12/19 現代アニメのターニング・ポイント ポスト『涼宮ハルヒの憂鬱』の10年間
2.NHK文化センター青山教室で原恵一監督トーク
11月29日に原恵一監督のトークが行われ、聞き役を務めます。最新作『百日紅』を中心にいろいろお話をうかがおうと思います
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1051651.html
3.SBS学苑パルシェ校「アニメを読む」
10月25日10:30~のSBS学苑パルシェ校での講座は『耳をすませば』を取り上げます。こちらも公開から20年ですね。
http://www.sbsgakuen.com/gak0130.asp?gakuno=2&kikanno=169676
4.栄・中日文化センター「アニメを読む」
半年に1回のペースで行っている名古屋での講座。次回は11月14日15:30から。
『ルパン三世 VS複製人間』&シリーズ諸作を取り上げ、「ルパン三世」というキャラを考えます。
http://www.chunichi-culture.com/programs/program_161132.html
5.オタクの学校@模型塾
毎月最終土曜日開催のオタクの学校は10月31日開催。今回はこちらも『ルパン三世』。『VS複製人間』を中心に、新シリーズまでルパンとは何者かを考えます。
http://modelkingdom.net/jj_otakug22l.htm
6.コミスンで新連載「アニメな?マンガ」
小学館が運営するマンガファンのためのサイト「コミスン」で、映像と関係深いマンガを紹介する連載「アニメな?マンガ」が始まりました。
第1回で取り上げたのは『『花とアリス殺人事件』(道満晴明)です。
http://comic-soon.shogakukan.co.jp/blog/plane/anime-na-manga-review-1/
Q&A
「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。文面にハンドル(名前)も入れてください。
あるいは、アニメの門チャンネルの有料会員は、アニメの門チャンネルページの掲示板サービスが使えますので、そこに質問をしていただいてもよいです。メルマガの下にあるコメント欄でも結構ですよー。
よろしくお願いします。
不定期アニメ日記
23日(金)に『攻殻機動隊 新劇場版』の生コメンタリー上映会があり、『新劇場版』がらみの仕事もこれで一段落。思った以上にアレコレお手伝いすることになった作品でした。
『攻殻機動隊 新劇場版』は内容が入り組んでいるので、「ここがこうつながっているとわかると見通しがよくなる」ということを意識して仕事に当たりました。パッケージのブックレットで全編24ポイントに解説を加えたのもそうだし、今回の生コメンタリーの進行もそこを意識しています。
で、そういう解説仕事で一番ボリュームがあったのが「電脳アニメ余話~攻殻新劇編~」。加藤夏希さんをMCに、全6回にわたって『攻殻新劇』の内容だけを深掘りした動画です。
第1回「総論」
第2回「素子は何故ラストで暗殺するのか」
第3回「ファイア・スターター」
第4回「9課」
第5回「素子の過去」
第6回「まとめ」
加藤さんとは、BSアニメ夜話の「アニペディア」のコーナーでご一緒して以来のお仕事となりました。まあ、メーカーさんからこの動画のタイトル案があがってきた時は、モロに「電脳アニメ夜話」になっていたりしたわけですが……。そこはさすがにマズかろうと、「余話」への言い換えを提案させてもらいました(笑)。
こういう動画による「解説」というのもこれからニーズが高まるといいんじゃないかなぁと思った体験でした。
お蔵出し原稿
ちょっと出典を忘れてしまいましたが『true tears』の魅力について語った文章です。『心が叫びたがってるんだ。』で岡田麿里さんに取材をし、先日の『宇宙戦士バルディオス』のイベントで西村純二監督にお会いしたので、この原稿を再掲します。 かなり長かったので、今回と次回で二分割して掲載します。
『true tears』の語り口(前編)
『true tears』のどこを見るか
『true tears』は2008年1月から3月まで放映された、全13話のシリーズです。
この文章を読んでいる皆さんは、放送前に『true tears』という作品を知った時、まずどんな印象を持ったでしょうか。
まずは、ここ10年ほどの間にアニメの中に一ジャンルをなすようになった、美少女ゲーム原作の作品がまた一つ、と思った人は少なくないでしょう。06年に発表された同名ゲームの“アニメ化”という触れ込みでしたし、実際、物語の根幹は主人公の少年・眞一郎が3人のヒロインの中から誰を選ぶか、という部分にあります。その種のジャンルの定石を押さえているといえば押さえている。
現時点では承知の人が多いと思いますが、『true tears』の場合、同名ゲームとは「真実の涙」というコンセプトだけが共通で、内容まったく無関係のオリジナル企画でした。でも、それが視聴者の間で強く意識されるようになるのはもうちょっと後のこと。当然ながら 『true tears』は、いわゆる美少女アニメとはちょっと違ったテイストの作品として視聴者の目の前に現れました。
では『true tears』はどんなアニメだったのか。たとえば第1話が放映された直後に、『true tears』の真価に気がつき、驚いた人は少なかったはずです。今見直せば、冒頭のカメラがカットが変わるたびに、少しずつ仲上の家を進んでいく場面からして、独特な語り口であることがわかりますが、当時、そこに素直に興奮した人は少なかった。
その時点での『true tears』の一般的評価というのは、「誠実なタッチの青春もの」といったところででしょう。もちろん「誠実なタッチの青春もの」という評価はは間違いではありませんし、むしろ「美少女ゲーム原作のアニメ」という先入観よりははるかに作品の正鵠を射ている。
絵本作家にあこがれながらも、その道を選べるかどうかはわからない不安。母親からのプレッシャー。気になる女のコと、妙になついてくる女のコ。気の置けない友人との日常。ここに「青春もの」に必要な要素はみなそろっています。ヒロインの一人で「妙になついてくる女のコ」である石動乃絵は、エキセントリックな言動で主人公・中上眞一郎を振り回しますが、これもまた「青春もの」のとしてはスタンダードといってもいい。
「青春もの」としての『true tears』は非常に魅力的です。けれどもこの原稿で強調したいのは、そういう部分以外のところなのです。
では、ここでは何を語ろうというのか。それは『true tears』の語り口です。映像の語り口を言葉でフォローしていくことは難しいことでもありますが、そうすることで、『true tears』の魅力はよりクリアに見えるようになるはずです。
『true tears』はその語り口が非常に独特だったからこそ、まっとうな「青春もの」が「ありきたり」の罠に陥らず、魅力を発揮たのでした。
そしてご存じの通り、映像作品の本質はしばしばその語り口の中にしか存在しないのです。
「現在」の中に差し挟まれる「過去」
『true tears』の語り口はどのように独特だったのでしょうか。
第1話から順番に列挙していってもいいのですが、ここでは紙幅も限られています。ですので、象徴的な場面を取り上げて、そこを鍵にして全体を見ていきましょう。