今週のお題…………『大武道2を見て思うこと』
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文◎田中正志(『週刊ファイト』編集長)

 
 『大武道! Vol.2』が好評発売中だ。例によってイラスト表紙が目を惹く。「カッコよく死のう!」というテーマが大書され、仮面ライダー姿の藤岡弘、鎧兜を着けた前田日明が”変身”している。巻頭記事は、インタビュー収録の翌日に亡くなられた骨法創始師範・堀辺正史先生への追悼から。武道を軸とする雑誌なので「死生観」は興味のつきないテーマであろう。本体1300円+税、きちっとしたものを読ませる雑誌として推薦しておきたい。
 70歳の藤岡弘が45年の歳月を経て原点回帰した新作映画『仮面ライダー1号』が公開中というのは、なぜか筆者、この『大武道! Vol.2』を読むまで存在すら知らなかった。まぁ今の時代、雑誌を読みながら気になったネタがあれば、すぐに検索して現在ロードショー公開中なのだと納得したが、パソコン画面をつけたまま雑誌や本を読むという近年の読書スタイルは、本来はよろしくないことでもっと集中すべきとか、余計なことまで考えてしまった。あと、パピプぺポ川柳創始師範・ターザン山本の「武士道は長生きすることです」が特集章のオチというのは笑って読むしかない。

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 自分の場合はどうしても、雑誌作りにおける企画や構成の勉強とかに目が向いてしまうのだが、武道、あるいは武士道という切り口を与えられると、武士道というのはどこまでがアングルなのかとか、過去の文献にせよ、あとから論者が良くも悪くも勝手に解釈を足したりして宗教化してないか、みたいな探求に興味が沸いてしまう。職業病なのかもだが、『大武道! Vol.2』を読んでいると、武士道の極意と教義を聖典バイブルに編纂したら新興宗教ブランドを立ち上げられるのではないかとか考えてしまう。
 
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 例えば、世界には様々なミステリー・スポットが存在する。16世紀の初め、最後の古代文明として輝きを放っていたアステカ文明だ。1521年、スペインの征服者コルテスによって呆気なく滅びてしまう史実だが、そのアステカ文明の起源とされるのが水上都市テノチティトラン。16世紀だと現在のメキシコシティに当たる一帯は広大な湖テスココが広がっていて、テノチティトランはその湖に浮かぶ小さな島だがすべての中心だったと。中央には400メートル四方の神域があり、高さ45メートルもある大ピラミッドが二つ、ひときわ高くそびえていたのだと。神殿では毎日のように神への生け贄を捧げる儀式が行われ、アステカ文明の特徴である自己犠牲、心臓と血を神に捧げ、太陽や宇宙に生命を与え続けようとしていたらしい。
 しかしである。このテノチティトラン遺跡はルチャリブレを伝統芸能とするメキシコシティで1978年に発見されたものであり、「最盛期には人口20万を数える幻の水上都市だった」と伝説が流布されているが、筆者は依然から巨大アングルではないのかとの疑念がぬぐえない。いや、世界中のミステリーはアングルなのか否か、すべてのイリュージョンは単なるトリックではないのか?先日も謎の水上都市を旅するテレビ番組が放送されたが、島の上のテノチティトランの全景を俯瞰(高いところから見下ろすアングル)しても、最盛期は20万人の民が・・・とのナレーションを”プロレス者”が信じるハズがないと思った。橋本真也の最後のパートナー冬木薫が、相手男性の実家にまで「婚約する」と何度も泊りがけで出向く一方でカネを無心したら、結婚詐欺かも知れないと疑ったほうが無難という週刊ファイト記事が人気だが、喜んで騙されるのもまた”プロレス者”の特徴という冷静な分析もある。
 
 『大武道! Vol.2』の第2特集は「超人追求!~この男は実在する~」であり、こちらもまた超人というのはアングルなのか否か、興味の尽きないテーマである。サンボの超人ビクトル古賀さんは、「マリリン・モンローと子どもを作りたかったと今でも思っている」そうだ。本物の超人かも知れない。
 
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[お知らせ 其の壱]
大武道! vol.2、全国の書店&オンライン書店で絶賛発売中! → oh-budo.tokyo/2016/03/28/

[お知らせ 其の弐]
『巌流島』のオフィシャルサイトをリニューアル致しました。アドレスが変わりましたので、ご確認ください。→ ganryujima.jp