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りゃんさん のコメント

ボルトンも米国の戦略家であり、その点でキッシンジャーと同じだ。米国の利益のために米国がどうすべきかを発言している。

キッシンジャーが都合がよければ肯定し、ボルトンが都合が悪ければ否定する、つまみぐい日本人のことなどは、ふたりとも考えていないだろう。

さて、ボルトンの主張は、「台湾は孤立した問題ではない。インド太平洋、実際にはグローバルな対中戦略の戦略的に重要な要素」であると要約できるが、この意味がわかっているヒトビトが少ないとおもわれる。ボルトンは、「台湾は米国の安全保障問題だ」と言っているのだ。

たとえば南シナ海。孫崎さんは、中共は清の領土まで拡張した時点で拡張をやめるだろうという意味のコメントを番組でされたとわたしは記憶している(記憶間違いであれば指摘していただきたい)。しかし、わたしは今まで何度も漢族が清の領土全体を主張することの不当性を述べてきたし、そもそも南シナ海は清の「領海」では古典的意味でもないことも述べてきた。

この南シナ海をなぜ中共は自分の海にしたがるのだろうか。いくつかあるだろうが、そのなかのひとつには、南シナ海が「深い海」であることがある。ロシアはオホーツク海(南シナ海よりもさらに深い)に原潜を深く潜航させている。「いざというときに」そこから米国に対して核ミサイルを撃つのだ。「浅い海」では、簡単に原潜が発見されてしまう。

中共には核ミサイルもあるし、それを搭載できる原潜もあるが、「深い海」がない。南シナ海を自分の海にすれば、そこに原潜をひそませることができる。そうなれば米国の安全保障は損なわれるだろう。

さて、ここで問題だ。ここのおじいさんたちは、要するに「ウクライナがロシアにとって安全保障問題であるから」ロシアの侵略を正当化している。

ならば、南シナ海が米国の安全保障問題であるなら、(そしてもちろん台湾問題は南シナ海問題に大きく関係ある)、米国が台湾に関係することも正当化されなければならない。

しかし、矛盾に満ちた反米マニアたちには、そんな思考はできない。最後は趣味の問題なのだろう。鉄道マニアとか昆虫マニアと同じだ。
No.16
28ヶ月前
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孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。