記事へ戻る りゃんさん のコメント りゃん 同盟に反対し、自国第一というのだから、この著者は、 想像してごらん 国なんて無いんだ という歌は歌わないだろう。 大日本帝国が英米支配に抵抗した昭和天皇の開戦の詔勅にも一定の見解はもっており、求められればなにか話すだろう。いや、待ってましたとばかり滔々と話すかもしれない。 現行憲法9条の改憲にも賛成だろう。ただし、「現行憲法「改正」では、米国におしつけられた現行憲法を論理的に承認することになるから反対」とか「いま改正しても米国に利用されるだけだから反対」というような複雑な反対はするかもしれない。 そういうことを深く想像もできないで、表面的な主張に反応しているヒトビトをみると、ほんとうにサヨクは劣化しているとおもう。かれらは、「9条をどり」を踊り、「イマジン」を歌っていれば、日本は平和なのだと信じているのだろう。そのみなもとには、米兵ひとり殺さない「反米」、つまり「同盟」の都合の良い点だけはちゃっかり享受する一方、煮えきらない他人には「お前は反米が足りない」などと説教して「充実した日々」を送っていた若い時代があるにちがいない。 この著者の主張をきっかけに考えるべきことはあるとおもうし、サヨクの理論水準よりずっと水準が高いし、わたしは自国第一などの一部はこの著者に賛成なのだが、ここで、二点指摘しておきたい。その二点において、この著者の議論の水準はこの記事で知る限りは低いとわたしは感じる(ほかで詳しく議論しているかもしれないのだが)。 まず第一点は、同盟と自国第一とは一般的には矛盾対立するものではないということだ。反対に通常は自国第一の先に、あるいは、ともに、同盟があるのは、先日述べてきたトルコのNATO加盟に至る経緯でも明らかだし、ド・ゴールのNATOに対する態度とか、今で言えば、オルバン政権をみれば明らかだろう。それが日本では素直に受け入れられないのは、敗戦によって日本の体制側に強いられた同盟であることと、その事実を戦後サヨクが日本の民衆に対して利用できる限り利用したからである。しかし、その点におけるルサンチマンを捨てて、本当に自国第一と同盟とが日本において矛盾しているのか、矛盾している点があるとしてちゃぶ台をひっくり返すようなやり方が現実に可能なのか、それが可能でないならどうすればいいのか、というあたりを具体的に議論することが必要だろう。 第二点は、露宇戦争において、露そのものが覇権国としてふるまっているという点だ。独立国であり国連加盟国であるウクライナに自国に都合のよい一種の「同盟」あるいは「一体化」をおしつけようとしているし、国内的には少数民族を弾除けに使った挙げ句、総動員をしようとしたら、我先にロシア人が逃げ出している。「祖国防衛戦争」すなわち「国」を防衛する戦争であるものか。 話題から離れるが、今次露宇戦争の本質は、ロシア帝国(ソ連)の解体過程における反動のひとつと見るのが正しいと自分ではおもっている。ソ連解体にともない、多くの国が独立し、そこに周辺の強国(主に中国と米国)が影響力を強めようとしている。また独立した国同士、あるいは独立したその国々のなかでも紛争がおきている。そこへ失地回復とばかり、露が手を出している。ウクライナへの侵略もその流れにある。では、ウクライナでの失地とは煎じ詰めればどこか。 ウクライナへの侵略で露が本当にほしいのは、クリミアだ。そりゃ、ウクライナ全体が手に入れば、クリミアも手に入るわけだが、ゆずれないのはクリミアであり、しかもクリミアは今回の橋の件でも再認識されたようにクリミアだけもっていても十分でなく、東部からクリミアに至る回廊がどうしてもほしいのだ。2014年にまずクリミアをとり、その後から突然ナチスが露系住民を虐殺はじめたというような「物語」(この8年と、露側の宣伝動画でもいっている。その前は「ナチス」はどうしていたんだろうね)は、多少は虐殺と受け取られる実態的側面があるにせよ、クリミアとそこに至る回廊がほしいというホンネにはられた煙幕みたいなものだ。NATO加盟阻止も同じで、クリミアと回廊とを安定的に保持できるようになれば、残ったウクライナがNATOに加盟しようとどうしようと、露は気にしないだろう。 クリミアに関連して、さらに話題からはなれるが、孫崎さんが 私は従来より、①NATOはウクライナに拡大しない、?東部の州には民族の自決権を与える形での停戦を主張してきた。 https://sp.ch.nicovideo.jp/magosaki/blomaga/ar2122518 と以前から繰り返している点は多少気になる。「東部」だけでなく、クリミアに至る「南部」をロシアがあきらめるはずがないではないか。 また、米国内にはいろんな考えのヒトビトがいることだろうが、いまさら「米国が」クリミアに影響力を発揮しようとおもっているヒトビトは少ないだろう。さらなる騒乱の原因になるだけだ。そういう意味で、米国としてはどこかでクリミアを渡す形で妥協をしてもいいと考えているに違いないとおもう。問題は、ここまで露が好き勝手やった以上は、それがますます難しくなっているということだ。 自国第一だろうがなんだろうが、人様のものを暴力で奪ってはいけない。露は交渉とカネ(あるいはなんらかの対価)でクリミアを使わせてもらうようにすべきだった。そういう点では、最近ほころびが大きいとはいえ、中国のやりかたに露は学ぶ点が多いとわたしは以前からここで言っていたが、あらためてそうおもう。 No.17 24ヶ月前 Post このコメントは以下の記事についています あえて今の時点では読み人知らず。“ [国」第一で「同盟」第一の打破を!” 孫崎享のつぶやき 元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。 » このブロマガへ
りゃん 同盟に反対し、自国第一というのだから、この著者は、 想像してごらん 国なんて無いんだ という歌は歌わないだろう。 大日本帝国が英米支配に抵抗した昭和天皇の開戦の詔勅にも一定の見解はもっており、求められればなにか話すだろう。いや、待ってましたとばかり滔々と話すかもしれない。 現行憲法9条の改憲にも賛成だろう。ただし、「現行憲法「改正」では、米国におしつけられた現行憲法を論理的に承認することになるから反対」とか「いま改正しても米国に利用されるだけだから反対」というような複雑な反対はするかもしれない。 そういうことを深く想像もできないで、表面的な主張に反応しているヒトビトをみると、ほんとうにサヨクは劣化しているとおもう。かれらは、「9条をどり」を踊り、「イマジン」を歌っていれば、日本は平和なのだと信じているのだろう。そのみなもとには、米兵ひとり殺さない「反米」、つまり「同盟」の都合の良い点だけはちゃっかり享受する一方、煮えきらない他人には「お前は反米が足りない」などと説教して「充実した日々」を送っていた若い時代があるにちがいない。 この著者の主張をきっかけに考えるべきことはあるとおもうし、サヨクの理論水準よりずっと水準が高いし、わたしは自国第一などの一部はこの著者に賛成なのだが、ここで、二点指摘しておきたい。その二点において、この著者の議論の水準はこの記事で知る限りは低いとわたしは感じる(ほかで詳しく議論しているかもしれないのだが)。 まず第一点は、同盟と自国第一とは一般的には矛盾対立するものではないということだ。反対に通常は自国第一の先に、あるいは、ともに、同盟があるのは、先日述べてきたトルコのNATO加盟に至る経緯でも明らかだし、ド・ゴールのNATOに対する態度とか、今で言えば、オルバン政権をみれば明らかだろう。それが日本では素直に受け入れられないのは、敗戦によって日本の体制側に強いられた同盟であることと、その事実を戦後サヨクが日本の民衆に対して利用できる限り利用したからである。しかし、その点におけるルサンチマンを捨てて、本当に自国第一と同盟とが日本において矛盾しているのか、矛盾している点があるとしてちゃぶ台をひっくり返すようなやり方が現実に可能なのか、それが可能でないならどうすればいいのか、というあたりを具体的に議論することが必要だろう。 第二点は、露宇戦争において、露そのものが覇権国としてふるまっているという点だ。独立国であり国連加盟国であるウクライナに自国に都合のよい一種の「同盟」あるいは「一体化」をおしつけようとしているし、国内的には少数民族を弾除けに使った挙げ句、総動員をしようとしたら、我先にロシア人が逃げ出している。「祖国防衛戦争」すなわち「国」を防衛する戦争であるものか。 話題から離れるが、今次露宇戦争の本質は、ロシア帝国(ソ連)の解体過程における反動のひとつと見るのが正しいと自分ではおもっている。ソ連解体にともない、多くの国が独立し、そこに周辺の強国(主に中国と米国)が影響力を強めようとしている。また独立した国同士、あるいは独立したその国々のなかでも紛争がおきている。そこへ失地回復とばかり、露が手を出している。ウクライナへの侵略もその流れにある。では、ウクライナでの失地とは煎じ詰めればどこか。 ウクライナへの侵略で露が本当にほしいのは、クリミアだ。そりゃ、ウクライナ全体が手に入れば、クリミアも手に入るわけだが、ゆずれないのはクリミアであり、しかもクリミアは今回の橋の件でも再認識されたようにクリミアだけもっていても十分でなく、東部からクリミアに至る回廊がどうしてもほしいのだ。2014年にまずクリミアをとり、その後から突然ナチスが露系住民を虐殺はじめたというような「物語」(この8年と、露側の宣伝動画でもいっている。その前は「ナチス」はどうしていたんだろうね)は、多少は虐殺と受け取られる実態的側面があるにせよ、クリミアとそこに至る回廊がほしいというホンネにはられた煙幕みたいなものだ。NATO加盟阻止も同じで、クリミアと回廊とを安定的に保持できるようになれば、残ったウクライナがNATOに加盟しようとどうしようと、露は気にしないだろう。 クリミアに関連して、さらに話題からはなれるが、孫崎さんが 私は従来より、①NATOはウクライナに拡大しない、?東部の州には民族の自決権を与える形での停戦を主張してきた。 https://sp.ch.nicovideo.jp/magosaki/blomaga/ar2122518 と以前から繰り返している点は多少気になる。「東部」だけでなく、クリミアに至る「南部」をロシアがあきらめるはずがないではないか。 また、米国内にはいろんな考えのヒトビトがいることだろうが、いまさら「米国が」クリミアに影響力を発揮しようとおもっているヒトビトは少ないだろう。さらなる騒乱の原因になるだけだ。そういう意味で、米国としてはどこかでクリミアを渡す形で妥協をしてもいいと考えているに違いないとおもう。問題は、ここまで露が好き勝手やった以上は、それがますます難しくなっているということだ。 自国第一だろうがなんだろうが、人様のものを暴力で奪ってはいけない。露は交渉とカネ(あるいはなんらかの対価)でクリミアを使わせてもらうようにすべきだった。そういう点では、最近ほころびが大きいとはいえ、中国のやりかたに露は学ぶ点が多いとわたしは以前からここで言っていたが、あらためてそうおもう。 No.17 24ヶ月前 Post このコメントは以下の記事についています あえて今の時点では読み人知らず。“ [国」第一で「同盟」第一の打破を!” 孫崎享のつぶやき 元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。 » このブロマガへ
想像してごらん 国なんて無いんだ
という歌は歌わないだろう。
大日本帝国が英米支配に抵抗した昭和天皇の開戦の詔勅にも一定の見解はもっており、求められればなにか話すだろう。いや、待ってましたとばかり滔々と話すかもしれない。
現行憲法9条の改憲にも賛成だろう。ただし、「現行憲法「改正」では、米国におしつけられた現行憲法を論理的に承認することになるから反対」とか「いま改正しても米国に利用されるだけだから反対」というような複雑な反対はするかもしれない。
そういうことを深く想像もできないで、表面的な主張に反応しているヒトビトをみると、ほんとうにサヨクは劣化しているとおもう。かれらは、「9条をどり」を踊り、「イマジン」を歌っていれば、日本は平和なのだと信じているのだろう。そのみなもとには、米兵ひとり殺さない「反米」、つまり「同盟」の都合の良い点だけはちゃっかり享受する一方、煮えきらない他人には「お前は反米が足りない」などと説教して「充実した日々」を送っていた若い時代があるにちがいない。
この著者の主張をきっかけに考えるべきことはあるとおもうし、サヨクの理論水準よりずっと水準が高いし、わたしは自国第一などの一部はこの著者に賛成なのだが、ここで、二点指摘しておきたい。その二点において、この著者の議論の水準はこの記事で知る限りは低いとわたしは感じる(ほかで詳しく議論しているかもしれないのだが)。
まず第一点は、同盟と自国第一とは一般的には矛盾対立するものではないということだ。反対に通常は自国第一の先に、あるいは、ともに、同盟があるのは、先日述べてきたトルコのNATO加盟に至る経緯でも明らかだし、ド・ゴールのNATOに対する態度とか、今で言えば、オルバン政権をみれば明らかだろう。それが日本では素直に受け入れられないのは、敗戦によって日本の体制側に強いられた同盟であることと、その事実を戦後サヨクが日本の民衆に対して利用できる限り利用したからである。しかし、その点におけるルサンチマンを捨てて、本当に自国第一と同盟とが日本において矛盾しているのか、矛盾している点があるとしてちゃぶ台をひっくり返すようなやり方が現実に可能なのか、それが可能でないならどうすればいいのか、というあたりを具体的に議論することが必要だろう。
第二点は、露宇戦争において、露そのものが覇権国としてふるまっているという点だ。独立国であり国連加盟国であるウクライナに自国に都合のよい一種の「同盟」あるいは「一体化」をおしつけようとしているし、国内的には少数民族を弾除けに使った挙げ句、総動員をしようとしたら、我先にロシア人が逃げ出している。「祖国防衛戦争」すなわち「国」を防衛する戦争であるものか。
話題から離れるが、今次露宇戦争の本質は、ロシア帝国(ソ連)の解体過程における反動のひとつと見るのが正しいと自分ではおもっている。ソ連解体にともない、多くの国が独立し、そこに周辺の強国(主に中国と米国)が影響力を強めようとしている。また独立した国同士、あるいは独立したその国々のなかでも紛争がおきている。そこへ失地回復とばかり、露が手を出している。ウクライナへの侵略もその流れにある。では、ウクライナでの失地とは煎じ詰めればどこか。
ウクライナへの侵略で露が本当にほしいのは、クリミアだ。そりゃ、ウクライナ全体が手に入れば、クリミアも手に入るわけだが、ゆずれないのはクリミアであり、しかもクリミアは今回の橋の件でも再認識されたようにクリミアだけもっていても十分でなく、東部からクリミアに至る回廊がどうしてもほしいのだ。2014年にまずクリミアをとり、その後から突然ナチスが露系住民を虐殺はじめたというような「物語」(この8年と、露側の宣伝動画でもいっている。その前は「ナチス」はどうしていたんだろうね)は、多少は虐殺と受け取られる実態的側面があるにせよ、クリミアとそこに至る回廊がほしいというホンネにはられた煙幕みたいなものだ。NATO加盟阻止も同じで、クリミアと回廊とを安定的に保持できるようになれば、残ったウクライナがNATOに加盟しようとどうしようと、露は気にしないだろう。
クリミアに関連して、さらに話題からはなれるが、孫崎さんが
私は従来より、①NATOはウクライナに拡大しない、?東部の州には民族の自決権を与える形での停戦を主張してきた。
https://sp.ch.nicovideo.jp/magosaki/blomaga/ar2122518
と以前から繰り返している点は多少気になる。「東部」だけでなく、クリミアに至る「南部」をロシアがあきらめるはずがないではないか。
また、米国内にはいろんな考えのヒトビトがいることだろうが、いまさら「米国が」クリミアに影響力を発揮しようとおもっているヒトビトは少ないだろう。さらなる騒乱の原因になるだけだ。そういう意味で、米国としてはどこかでクリミアを渡す形で妥協をしてもいいと考えているに違いないとおもう。問題は、ここまで露が好き勝手やった以上は、それがますます難しくなっているということだ。
自国第一だろうがなんだろうが、人様のものを暴力で奪ってはいけない。露は交渉とカネ(あるいはなんらかの対価)でクリミアを使わせてもらうようにすべきだった。そういう点では、最近ほころびが大きいとはいえ、中国のやりかたに露は学ぶ点が多いとわたしは以前からここで言っていたが、あらためてそうおもう。
Post