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中庸左派さん のコメント

>ガザの問題で、重要なのは、アラブ諸勢力がガザ以外で軍事行動をするか否か。

 私は当初ハマスは、イスラエルに対してボロ負けする上に、一般のパレスチナ人の犠牲者が増大するであろうから、即時停戦をするべきだ、と考えていた。

 基本的に、即時停戦するべきである、という考えは変わらないが、ハマスの戦略、戦術、或いはハマスを取り巻く軍事環境は必ずしもハマスボロ負け、イスラエル勝利を約束してるわけではいことが、見えてきている。

 例えば、ダグラス・マクレガー退役大佐は次のように述べている。

 米国とイスラエルの特殊部隊はガザへ偵察に行き「撃たれて粉々になった」

https://www.realclearpolitics.com/video/2023/10/24/macgregor_us_and_israel_special_forces_went_on_a_scouting_mission_to_gaza_and_were_shot_to_pieces.html

「この24時間かそこらで、我々の特殊作戦部隊とイスラエルの特殊作戦部隊の一部が、人質解放やインパクトを与えるために行く場所を計画するために、偵察のためにガザに入ったが、私の理解では、彼らはバラバラに撃たれ、大きな損害を被った」

 これは数日前に、人気ソーシャルメディア番組「タッカー・オン・X」で、同氏がアメリカの政治評論家で番組司会者のタッカー・カールソンと対談した際の発言とのこと。

 どうやら、イランやロシアの参戦を想定すると、イスラエル軍を支援するためには8万から10万人を動員する必要があるが、イスラエルに船で近づくのは難しく、さりとて空爆しようにも航続距離の関係でイスラエルに一旦着陸するしかなく、その際、ミサイルやロケットの雨が降り注ぐことが想定されるようだ。

「アメリカ海軍がその能力を維持しようとするならば、おそらくシチリア島の北と西のどこかで活動せざるを得ないだろう。射程距離に近づけば、イランが攻撃できる範囲に入る。前にも言ったように、ロシアがこの中に入ってくることも想定しなければならない。ひとたび東地中海に進出すれば、ロシアが保有するキンジャール(弾道ミサイル)やその他の巡航ミサイル、極超音速ミサイルに対して脆弱になる。

 このため、ヒズボラに対するイスラエル国防軍の支援として空爆を行うことは非常に難しくなる。なぜなら、非常に長い距離を飛行し、兵器を運搬し、燃料補給のためにイスラエルに着陸しなければならないからだ。イスラエルは、ミサイルやロケットの雨あられとまではいかなくとも、その雨の下で活動することになる。そのため、わが海軍の戦力は相当なものではあるが、地上では思うような効果が得られないかもしれない。

 陸軍はおそらく45万人まで減少しており、そのうちのどれだけが戦える状態なのかは議論の余地がある。その多くは現在、東ヨーロッパに駐留している。8~10万人の大部隊を現地に迅速に輸送する手段もないため、特殊部隊に頼るしかない。現在、海兵隊が2,000人、そしておそらく2,000人の特殊部隊と特殊作戦部隊がいる。」

 それで、この4000人程度の特殊作戦部隊の一部に「撃たれて粉々にな」るくらいの損害がでた、ということのようだ。

「ここにはあまりにも多くの未知数と不確定要素がある。このような紛争の始まりには、誰もがいつもこう考える。"まあ、収まるだろう。しかし、決してそうはならない。このような事態はいつも、誰もが考えている以上に長引き、必要な資源は予想以上に莫大なものとなる。覚えておいてほしいのは、我々はすでにウクライナで戦力の多くを使い果たしてしまったということだ。ウクライナは廃墟と化し、生命維持装置につながれている。50万人が死んだ。この道を突き進めば、イスラエルはどうなるのか?」

 ここで、ウクライナへの軍事支援が、イスラエルへの軍事支援への足かせになっていることも示唆しれている。ウクライナへの軍事支援によりアメリカ帝国は武器を「使い果たしてしまった」、と。

 イスラエルは総合的に見て、劣勢かもしれない。


 スコット・リッター氏は、元米海兵隊の軍人で、イラクにおける大量破壊兵器捜索のための国連主任査察官だった人だが、同氏もこう述べている。

「米国はイランとの戦争の準備ができていない」

https://sputnikglobe.com/20231019/scott-ritter-us-not-ready-for-war-with-iran-1114312615.html

「戦闘力を生み出すことは一つのことだ。論理的に持続可能な形で兵力を展開することは、また別の問題である。米国が1990年から1991年にかけて、中東に約75万人の部隊を展開できたのは、この地域の友好的な港や飛行場にアクセスできたからにほかならない。イランとアメリカの間で一般的な戦争が起きれば、イランがアメリカの大規模な軍事展開に異議を唱えるのは必至である。つまり、そのような展開を支援するために通常使われるはずの飛行場や港は、常にイランの攻撃下に置かれることになる。
その結果、米国はイランへの強制進入オプションを実行し、チャール・バハールやバンダール・アッバスといったイランの主要港湾都市を占領する必要がある。そのためには大規模な水陸両用作戦が必要となり、上陸部隊を乗せた艦船は、イランのミサイルの試練をくぐり抜けなければならない。要するに、アメリカは、政治的に持続不可能な大規模な資源動員を行わなければ、通常の軍事力でイランを物理的に打ち負かすことはできないのである。」

 パレスチナ人やハマスにとってだけでなく、イスラエルにとっても即時停戦が賢明な選択だ。
No.2
13ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
1:  レバノンのヒズボラ ・25日 ロイター ] - レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマス、同イスラム聖戦の指導者が会談した。ヒズボラが25日明らかにした。「ガザとパレスチナにおけるレジスタンス(抵抗運動)の真の勝利を実現し残忍な侵略を阻止するために、国際的な立場と抵抗の枢軸の当事者が何をすべきかについて評価が行われた」と明かした。調整を継続することで合意したという。声明によるとヒズボラのナスララ師、ハマスのサレフ・アル・アルリ氏、イスラム聖戦のジヤド・アル・ナハラ氏が参加した。会議がいつ行われたかは明らかにされていない。 ・イラン外務大臣は 10 月 13 日にレバノンから演説し、イスラエルによるガザ封鎖が続けば第二戦線が起こる「あらゆる可能性」があると述べた( economist ) 2: 西岸のパレスチナ人:パレスチナ人 銃撃で応戦   (イスラエル軍は
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。