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中庸左派さん のコメント

 Indian Punchlineの M. K. BHADRAKUMAR氏は、11月6日に「米国、イスラエル、レバノンに第2戦線開設へ」と題して、次のように書いている。

「地球上のいかなる国も、いまやイスラエルを止めることはできない。」

https://www.indianpunchline.com/us-israel-to-open-second-front-in-lebanon/

 つまり、世界的な非難の嵐を無視して、パレスチナ人虐殺をつづけるイスラエルと、実質的にその下支えをする同盟国アメリカ帝国が、鍵を握っており、この二カ国が虐殺の共犯をやめ、停戦をする他無い、ということだろう。

 私もそう考えている。

 イスラエルは虐殺を停止する義務と責任がある。アメリカ帝国も同様だと考えている。

 第三国は、非難し、即時停戦を求めるしか出来ない。或いは、通常なら選択肢としては経済制裁だろう。しかし、アメリカ帝国ら西側にはそのような機運は皆無だ。ロシア等に対する経済制裁と比較するなら、アメリカ帝国らのダブルスタンダードは明らかだ。

 いっそのこと、中東の産油国は石油を止めたらどうだろうか?あり得なくはないだろうが、そうした動きは今のところ見えない。

 ともかく、だからこそ、イスラエルとアメリカ帝国の責任のみが重大だ。

 M. K. BHADRAKUMAR氏は次のように続けている。

「イスラエルの安定と防衛は、この戦争と切っても切れない関係にある。この戦争は、アメリカの世界戦略の重要な雛形として、当面の間、イスラエルの安全保障に対するアメリカの変わらぬコミットメントを保証するものでもある。したがって、イスラエルが生き残るための最大のチャンスは、ガザでの戦争の範囲をレバノン、場合によってはシリアにまで広げ、アメリカと肩を並べることにある。」

 イスラエルは自衛のため、ヒズボラとシリアにまで戦線を拡大しないといけない状況に追い込まれた、ということを言っているのだろうか?しかし、仮にそうだとして、そのような戦線の拡大により、イスラエル本土が無傷で残るはずはない。

 他者を犠牲にする形での自己保存はあり得ない。自衛の名のもとに、アラブ世界、イスラム圏を排除一掃できると考えるなら、それは大きな間違いだろう。

 更に、同氏は次のように続けた。

「中東では、時期が定まらない戦争が始まろうとしている。」

 イスラム圏がジハードを呼びかけたらどうなるか?同氏はこの点については、楽観的な見通しを示した。

「いや、これは世界大戦にはならないだろう。中東だけの戦いになるだろうが、その結果は新しい多極化した世界秩序の形成に大きな影響を与えるだろう。昨年2月にウクライナで戦争が始まって以来、この1カ月は米国の影響力の急激な低下と、非常に不安定な世界環境を示している。」

「米国は中東での新たな戦争に向けて突き進んでいる」という論評は、M. K. BHADRAKUMAR氏と同様の見方だ。

https://responsiblestatecraft.org/us-middle-east/

「イラン国防相「ガザ停戦なしの場合米国は厳しい打撃を受ける」」としている。

https://www.farsnews.ir/en/news/14020815000190/Iran%E2%80%99s-Defense-Chief-US-Be-Hi-Hard-in-Case-f-N-Gaza-Ceasefire

 今回のアメリカ帝国に対する世界的な非難は、確かに多極化の流れを加速するものだろう。その流れの中でイスラエルも共倒れになることは、中長期的には戦争の火種の鎮火になるのかもしれない。しかし、その過程でとてつもない悲劇、甚大な人命の喪失を伴うならば、即時停戦のみが、やはり正しい道だろう。

 いずれにしろ、即時停戦に義務と責任があるのはイスラエルとその同盟たるアメリカ帝国である。
No.7
10ヶ月前
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アルジャジーラ; 中国、イスラエル・ガザ戦争を巡り外交に慎重姿勢、西側諸国の指導者たちが中東に急ぐ中、中国政府は激化する紛争に対してより控えめな姿勢をとっている。 2023 年 11 月 6 日 イランとサウジアラビアの接近が中東全域に「和解の波」をもたらすと期待される中、中国大使館報道官は 7 月中国政府がイスラエルとパレスチナ人の和平交渉促進に積極的な役割を果たす用意があると自信を表明した。先月中国の習近平国家主席はパレスチナ自治政府のアッバス大統領を北京に歓迎し、イスラエルのネタニヤフ大統領の訪問を招待した。 イランとサウジアラビアの間の緊張緩和における中国の役割は多くの注目を集め、一部ではこれを決定的な瞬間、つまりこの地域における米国のスターが衰退する一方で中国のスターが台頭していることを示したと評価する人もいる。 バイデンは団結を示すためにイスラエルを訪問した。英国のスナック首相とフランスのマクロン大統
孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。