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中庸左派さん のコメント

 一般論として物価高に対応するために賃上げをという考え方は当然だ。

 しかし、賃金の問題を考えるためには、一般論でなく、ピンポイントとか、各論的観点をもっと重視したほうがよいのではないか、と常々考えている。

 というのも、一般に平均賃金とか年収というものはザックリし過ぎで事実現実を必ずしも適切に捉えてはいない。

 具体的に言うと、東証一部上場のような大企業か、中小企業か?都市か、地方か?正規か非正規か?男性か、女性か?こういう要素により、年収はまるで違う。

 もっと言うなら、東証一部上場企業に務める都市部在住の正規男性労働者(サラリーマン)は、勤め人の年収階層の最上位に君臨しているので、ハッキリ言うなら、賃上げなぞ必要がない。今だって、彼らは都市中心部のタワマンか、通勤に電車で数十分ちょっとくらいの郊外に120㎡程度の一戸建に外車付きで生活している。

 彼らの平均年収は620万らしいが、実際にはあくまで平均で丸めたものだから、年収1000万以上の高給取りもごまんといるだろう。

https://webtan.impress.co.jp/n/2023/08/21/45460

https://doda.jp/guide/heikin/area/

>政府は24年の春季交渉で物価上昇を上回る賃上げをめざす。

 といっても、政府が介入できるのは、ハッキリ言えば賃上げなど必要ないような大手企業ばかりだろう。厚労省の調査では「組合員数の6割超は1,000人以上の大企業で占める」

https://www.jcci.or.jp/news/trend-box/2024/0118172112.html

https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2023/03/k_02.html

 要するに組合員=「労働貴族」みたいな連中ばかりが、政府肝いりで賃上げにありつく構図は何かポイントがズレている気が私はするのである。

 最大の課題は、地方の中小企業に非正規として働く女性だろう。こういうもっとも下層にいる労働者にどう賃上げというより安心して暮らせる労働生活環境を構築するか、それが課題だ。(もっともパート女性が「下層」かというと、そうとも言い切れなかったりする。配偶者が大手正規男性なら、パート女性は年収補完どころか、世帯年収合計で1000万以上なんてケースはザラにあるから。私は労組役員時代にこういうケースをよく目にした。)

 組合組織率や参加する企業別組合を考慮すれば、春闘はもはや非正規労働者等の弱者救済機能はないのではないか?それどころか、むしろ組織労働者=労働貴族をますます富ませるためのお手盛りイベントに過ぎないのではないか?さながら、トリクルダウン理論みたいに。
 トリクルダウン理論とは富めるモノを富ませると、やがて下層の貧乏人にもおこぼれが行き渡り、経済全体が良くなる、というインチキ理論だ。単に格差社会を拡大しただけであった。

 私は賃上げより、単身の或いはシングルマザーの地方在住非正規女性労働者みたいなもっとも労働条件が悪い可能性が高い人達にピンポイントで、労働生活改善に繋がるような政策的アプローチが必要ではないか、と考えている。だから、政治や行政が役割を発揮するべきだ。

 組合組織率16%では労使交渉にほぼ意味はないだろうから。
No.6
8ヶ月前
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孫崎享のつぶやき
元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。