中庸左派さん のコメント
このコメントは以下の記事についています
A-1 23 年の実質賃金 2.5% 減、 2 年連続減 90 年以降で最低水準 (日経) 厚生労働省が 6 日発表した 2023 年の毎月勤労統計調査(速報、従業員 5 人以上の事業所)によると、 1 人あたり賃金は物価を考慮した実質で前年比 2.5% 減。 2 年連続で減少。マイナス幅は 1.0% 減だった 22 年からさらに大きくなった。 20 年を 100 とした指数で見ると 97.1 で、唯一 100 を下回った 22 年からさらに低下した。 比較可能な 1990 年以降で最も低かった。 実際に支払われた額を示す 名目賃金はすべての月で増えたが、実質賃金は減った。 マイナス幅が広がったのは、物価の変動を示す 消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率が 3.8% と 42 年ぶりの高水準 だったことが影響した。 見た目の賃金は伸びている。 基本給に残業代やボーナスなどを合わせた、名目賃金を表す現金給与総額は 1 人あたり平均で 1.2% 増の 32 万 9859 円だった。就業形
しかし、賃金の問題を考えるためには、一般論でなく、ピンポイントとか、各論的観点をもっと重視したほうがよいのではないか、と常々考えている。
というのも、一般に平均賃金とか年収というものはザックリし過ぎで事実現実を必ずしも適切に捉えてはいない。
具体的に言うと、東証一部上場のような大企業か、中小企業か?都市か、地方か?正規か非正規か?男性か、女性か?こういう要素により、年収はまるで違う。
もっと言うなら、東証一部上場企業に務める都市部在住の正規男性労働者(サラリーマン)は、勤め人の年収階層の最上位に君臨しているので、ハッキリ言うなら、賃上げなぞ必要がない。今だって、彼らは都市中心部のタワマンか、通勤に電車で数十分ちょっとくらいの郊外に120㎡程度の一戸建に外車付きで生活している。
彼らの平均年収は620万らしいが、実際にはあくまで平均で丸めたものだから、年収1000万以上の高給取りもごまんといるだろう。
https://webtan.impress.co.jp/n/2023/08/21/45460
https://doda.jp/guide/heikin/area/
>政府は24年の春季交渉で物価上昇を上回る賃上げをめざす。
といっても、政府が介入できるのは、ハッキリ言えば賃上げなど必要ないような大手企業ばかりだろう。厚労省の調査では「組合員数の6割超は1,000人以上の大企業で占める」
https://www.jcci.or.jp/news/trend-box/2024/0118172112.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2023/03/k_02.html
要するに組合員=「労働貴族」みたいな連中ばかりが、政府肝いりで賃上げにありつく構図は何かポイントがズレている気が私はするのである。
最大の課題は、地方の中小企業に非正規として働く女性だろう。こういうもっとも下層にいる労働者にどう賃上げというより安心して暮らせる労働生活環境を構築するか、それが課題だ。(もっともパート女性が「下層」かというと、そうとも言い切れなかったりする。配偶者が大手正規男性なら、パート女性は年収補完どころか、世帯年収合計で1000万以上なんてケースはザラにあるから。私は労組役員時代にこういうケースをよく目にした。)
組合組織率や参加する企業別組合を考慮すれば、春闘はもはや非正規労働者等の弱者救済機能はないのではないか?それどころか、むしろ組織労働者=労働貴族をますます富ませるためのお手盛りイベントに過ぎないのではないか?さながら、トリクルダウン理論みたいに。
トリクルダウン理論とは富めるモノを富ませると、やがて下層の貧乏人にもおこぼれが行き渡り、経済全体が良くなる、というインチキ理論だ。単に格差社会を拡大しただけであった。
私は賃上げより、単身の或いはシングルマザーの地方在住非正規女性労働者みたいなもっとも労働条件が悪い可能性が高い人達にピンポイントで、労働生活改善に繋がるような政策的アプローチが必要ではないか、と考えている。だから、政治や行政が役割を発揮するべきだ。
組合組織率16%では労使交渉にほぼ意味はないだろうから。
Post