来たるべき「超能力社会」において、そこに参加するほとんどの人が結果的に苦しむことになる。従って、多くの人はそもそも参加せず、新たな生き方を模索した方がいい。

そしてそれは、それほど難しいことではない。産業革命まで、あるいは明治維新まで、多くの人々はそういう生き方をしてきた。

ところが、産業革命によって競争主義社会――すなわち能力社会が生まれ、それはどんどんと拡大した。第二次大戦の終戦をきっかけに拡大スピードが加速し、20世紀の終わりのインターネットの登場によってとうとう世界の隅々にまで行き渡った。

今の競争社会はオリンピックのようなものだ。世界の誰もが横一線になったので、たった一人しか勝者がいない。そうなると、多くの人を幸せにするにはオリンピックと同じように種目を増やしていくしかない。

しかし種目を増やすといっても限界がある。今年行われたパリオリンピックも、まさにそうした様相を呈していた。