ハックルベリーに会いに行く
石原莞爾と東條英機:その55(1,769字)
こうして永田鉄山は殺されてしまった。東條英機はそれを左遷先の久留米で聞いた。
この頃、東條英機は久留米で苦しみながらもなんとか部下を掌握していた。当時の若手将校は、その多くが皇道派だった。しかも久留米は、真崎甚三郎が自分の子飼いを赴任させ、固めていた。
そのため東條英機にとっては完全にアウェーだった。誰も言うことを聞いてくれなかった。それでも、東條英機というのはリーダーとしての不思議な才覚があった。天性の「人たらし」のところがあった。特にその実直さで、多くの人を魅了した。
東條英機の魅力とは何だったのか?
それは、自分が優秀ではないことを知る者の強さだった。東條英機は自分が優秀ではないことを百も承知していた。それは一つには父の英教が優秀だったこと。そんな父と比べると、自分はいかにも劣っているということが幼いうちから分かっていた。
また長じてからは、永田鉄山をはじめとする一個上の先輩に優秀な
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