このインタビューは扇久保博正選手が出演したDropkick配信「RIZIN名古屋を振り返ろう」とまとめたものです!(聞き手/ジャン斉藤)
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・笹原圭一の「RIZIN LANDMARK名古屋」を11,000字で語ろう
――扇久保さん、今日は上半身裸じゃないんですね。
オギ たしかに(笑)。
――いま繋がっているのはどういう部屋なんですか?
オギ ここはボクのトレーニング部屋ですね。新居に引っ越して、ちょうど1ヵ月くらいなんですけど、トレーニング部屋ができました。
――それまで自宅にトレーニング室はなかったんですね?
オギ トレーニング室っぽい部屋はあったんですけど、本当に狭くて。トレーニングはほとんどできなかったんですけど、いまはなんとかシャドーぐらいはできます。
――やっぱり自宅にトレーニング室があると違いますか?
オギ そうですねぇ。自分の場合、ストレッチをすごくやるので、家でできるスペースがあるのはかなりいいですね。でも、筋トレの器具があってもあんまりやらないです。
――それはジムだからスイッチが入るってことですかね?
オギ うーん、自宅だと集中できないっていうか。格闘家が家にトレーニング室を作っても、あんまり筋トレはやらないってよく聞きますね。だからずっとストレッチばっかりしてます(笑)。
――ちゃんと練習している格闘家は「今日も練習か……」という憂鬱なテンションで家を出がちだと聞きますけど。扇久保さんはどうなんですか?
オギ あー、年齢を重ねてからそうなりましたね。昔は練習に行くことが楽しかったですけど、歳を取ると「疲れが抜けないな……」「今日練習したらケガするんじゃないかな……」みたいに考えちゃう日が増えましたね。
――ケガの予感ってあるんですね。
オギ めちゃくちゃありますねぇ。「今日は腰の疲労がたまってるな」「今日は首をやっちゃいそうだから、練習はどうしようかな」って。なかなか疲れが取りづらくなりますから。
――それだとドーピングしたくなる格闘家の気持ちはわかりますか(笑)。
オギ 気持ちはわからないですけど「そんなに効果があるの?」という興味はありますね(笑)。
――ドーピングって筋肉量の増加というよりは、疲労回復を早めてケガ防止の効果が大きいと言われてますよね。1日2部練、3部練が容易にできると。
オギ 正直「そんなに練習できるんだ」ってビックリしますね。
――扇久保さんがそういう感想だということは、ドーピングの効果に関する情報は日本の格闘技界にあまり出回っていないということですかね。
オギ それこそ今回の騒動で「日本でもやってる人がいるんだ」って思ったぐらいなんで。あんまりそういう話を聞いたことはなかったです。
――噂でも「◯◯がやっている」という話は聞かなかったということですね。
オギ 噂でも聞かないですねぇ。筋肉がすごい選手のことを面白おかしく「あれはやってるよ」なんて冗談を言ったりはしてましたけど。本当にやってるという話はあんまり聞いたことがなかったですね。
――2010年代以降、日本国内でやってる人はあんまり聞かなかったんですよね。2000年代だと「あの選手は……」って話はちょくちょくありましたけど。
オギ どうなんですかね。ひとつ言えることはボクは育ててないです(笑)。
――トイレ掃除は命じてないわけですね(笑)。
オギ 命じたことはないですし(笑)、付きっきりで教えたこともあまりないですし、ジムの中にたくさんいた選手の1人って感じでしたね。
――千葉時代の秋元選手にはどういうイメージがあったんですか?
オギ めちゃくちゃ真面目で、めちゃくちゃ練習する子だなって見てて思いましたね。1回ヒザかどこかをケガしたときも、並の選手なら練習を休むじゃないですか。ジムで1人でシャドーをやったりしてたんで、すごい真面目な子だな、練習をよく頑張る子だなって。最初から打撃の才能というか、その距離感はすごく上手な選手でしたね。
オギ 生き残った者が強くなる感じだから、ウチのジムにはマジでとんでもなく強い選手ばっかりいるんですよ。彼はその中でもみんなにガンガン極められたりしてるわけでもなかったし、普通にタックルも切ったり、自分からバックも取りに行ったりしたんで、グラップリングもすごい強い選手でしたよね。
――ブラックベルトのグッラプリングって吐き気がしそうなイメージしかないんですけど(笑)、秋元選手は10代なのに普通にこなしてたんですね。。
オギ ボクはこの試合、1ラウンドでバックチョークで極めちゃうかなと思ってて。実際最初にタックルからスタンドバックを取りましたよね。そのあと少し粘られたけど、テイクダウンして……という展開だったと記憶してるんですけど。極めるのは難しいと感じたのか、最初の攻防で疲れたのか、パウンドに切り替えたのかなって。本人に聞いてみればわからないですけど、鈴木選手も防御がすごい上手だし、1階級違いますからね。
――秋元選手はこの試合が初のフェザー級でしたね。
オギ それもあって仕留めきれなかったかなと思いますけど、完勝でしたし、まだ18歳ですからね。すごいですよ。
――扇久保さんは18歳のとき何をやってたんですか?
オギ ここでは言えないです(笑)。
――なんですか、言えないことって(笑)。いまは最初からMMAという競技を理解して入ってくる子たちが多いじゃないですか。扇久保さんたちが試行錯誤しながらやってきたことをスキップして覚えられる利点がありますよね。
オギ そこは違いますね。いまと昔では情報量が全然違うんで「この練習はいらない」「この練習をやったほうがいい」とかすぐに調べられるじゃないですか。昔の情報源って『格闘技通信』とか雑誌くらいで。ヒョードルが山登りしてる記事を読んで、ボクもひたすら山登りをしてましたよ(笑)。
――ハハハハハ!
オギ いまは無駄なものは無駄とすぐ調べられるし、早く強くなれる時代なんじゃないかなと思います。いまのボクのフィジカルは山登りで作り上げられましたけど(笑)。
――ヒョードルも山登りで世界最強になったはずです!(笑)。自分で遠回りしてみて覚えられることってないですか?
オギ うーん、どうなんですかね。
――「なぜ無駄なのか」「なぜ必要なのか」を噛み砕けるわけですよね。
オギ それはあるけど、やっぱり正しい知識というか、やらなくてもいいことはやらなくてもいいんじゃないですか。
――遠回りはしたくない。
オギ 遠回りしたくないですし。まあ、ボクはいい思い出ですけど、強くなるっていうことだけ考えたら、やっぱり無駄なことはしないほうがいいんじゃないですかね
――扇久保さんが一番無駄だった練習はなんですか?
オギ 無駄だったなと思うことですか?なんだろうなあ。打たれ強くなるために犬用の馬肉を買って。あれ、すごい固くて食べるのに2時間くらいかかるし、次の日アゴが筋肉痛になるし、あんまり意味なかったなと思って。だったらパンチをもらわない練習をしたほうがよかった(笑)。
――扇久保選手のキャリアもだいぶ長いし、フルラウンド戦い切るケースが多いですよね。ダメージはどうなんですか?
オギ ボクは幸いにあんまり感じないんですね。打たれ弱くなってないです、いまのところ。
――自覚がないだけ、というわけではない。
オギ たしかに自覚がないのが一番怖いですねぇ。でも、練習でもいまだにダウンもしてないし、まだまだ打たれ強いかなと思ってます。やっぱり犬用の馬肉ですよ(笑)。
――ハハハハハ!ここ最近のRIZINフライ級には新しい外国人が次々に登場してますね。
オギ そうですね。今回の名古屋もフライ級が4試合あって、初参戦は(アリベク・)ガジャマトフと(トニー・)ララミーですか。めちゃくちゃ魅力的な選手だし、いずれ戦いたいですね。
――北方大地選手を粉砕したガジャマトフはヤバくないですか?
オギ 打撃はかなり強くて距離の取り方がめちゃくちゃうまかったですね。ただ、組みの展開がまったく見れなかったんで、そこはまだ未知数ですね。
オギ すごい塩漬けのしがいがある選手ですね(笑)。
――ハハハハハハ! ガジャマトフはまだ1戦目だから、もうちょっと活躍してから塩漬けしないと、扇久保さんの凄さは伝わらないです(笑)。
オギ そうなんですよ(笑)。見てる側の人たちにガジャマトフの強さが伝わってから塩漬けにしたら「オギちゃん!」コールが起きるんじゃないかなって思うんで。「コイツ、ヤベーな。誰が勝てるんだよ……」って浸透したところで漬けると。
オギ ただ、ボク的にはあと2~3戦ドットソンが勝ってから、戦いたかったんですよね。もうちょっと寝かしたほうがもっと伝わったかなと思うんですけど。
――「寝かし足りない」とか「漬ける」とか食材の話になってきました(笑)。
オギ ガジャマトフもあと4~5試合やっていただいて、誰も勝てなかったらボクが出ていくのが一番いいのかなと思います(笑)。
――扇久保さんがいつまで経っても試合ができないですよ!(笑)。
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