――2月のRIZIN佐賀大会の摩嶋一整戦では見事な一本勝ちでした。
今成 はい。
――今成さんの足関がすごいことは誰でも知ってるんですけども。
今成 うん。
――RIZINファンには人柄が伝わっていないかもしれないので、昔の話もさせていただきたいなと。
今成 昔の話。
――今成さんがリトアニアでの試合中に中指を立てたら、同国の軍隊が出動する騒ぎになった話とか。
今成 ハッハッハッハッ。
――とりあえず摩嶋戦のほうからおうかがいしたいんですけど、試合直後は珍しくガッツポーズしたり、吠えられていた姿が印象的でした。
今成 なんですかね、ちょっとイライラしてたんですかね。
――試合前、金原(正徳)さんに何か言われたのがきっかけだったとか。
今成 まあ、それもあると思うんですけどね。
――なんて言われてたんですか?
今成 「ケガしないでね」って。
――心配してるんじゃないですか!(笑)。言い方ですかね?
今成 なんかちょっとなあ……とは思いましたけど。まあそんなに怒ることないことでもなかったですね。
――前日計量会見のときにも「お呼びじゃないという声もあるけど……」と言っていて。SNSの反応を気にされてるんだなって。
今成 まあ多少はね、気にはしますけど。周りから「SNSでこう言われていたよ」っていう声を聞く感じです。あんまり気にはしないですけど、まあそういう意見もあるんだなって一応頭に入れておくくらいですかね。
――ちょっとナメられてるんじゃないか、と。
今成 まあ、べつにいいんですけどね。ナメられても(ニヤリ)。
――今成さんは冷静沈着なスタンスなので珍しいなって。
今成 まあなんかイライラしたんですよね。試合でヒジをいっぱい打たれたから、ちょっと興奮したところもあって。
――今成さんの試合って一本を取るか、封じ込められるか、みたいなところはありますよね。
今成 はい。
――ああやって封じ込められるときのストレスって相当あるわけですよね。
今成 そうなんでしょうねぇ。
――他人事(笑)。
今成 フッフッフッ。まあ、やること、できることは決まってますからね。もうやるしかないから。
――取れる瞬間までずっと待つ。そこはやっぱり精神力が強いんでしょうね。
今成 ヒマなんじゃないですか。
――たとえると1日中、釣り糸を垂らしている感じですかね(笑)。『水曜日のダウンタウン』の足つぼトーナメント決勝は無制限延長戦も決着つかずで両者優勝。あれ、痛かったけどガマンしてたんですか?
今成 まあ、痛いは痛いですけどねぇ。まあでも、関節技のほうが痛い。
――ハハハハハハハ。他の人は、あの足つぼ先生にみんな瞬殺されてるじゃないですか。
今成 そうですね。
――それなのになぜ今成さんは耐えられたんですか?
今成 いやあ……どうすかね。格闘家なら「まいった」しないかな。うん。そうだと思います。
――「まいった」したくなる瞬間はなかったですか。
今成 なかったです(キッパリ)。
――足関が強い人は足つぼが強い、ってわけではないですよね。
今成 まあ、全然違うジャンルですね。
――あの決勝戦、今成さんが勝てそうな手応えというか、足ごたえってありました?
今成 ないです。そもそも攻撃のやり方がわかんない。ハッハッハッハッ。
――わからないのに延々とグリグリしてたんですか(笑)。
今成 もう自分の手が痛いだけでしたね。
――足つぼでも優勝したことは嬉しいわけですかね。
今成 嬉しい……? いや、嬉しいという感情とはちょっと違うかな。「なんだろう、これ?」っていう。
――ハハハハハ! 不思議な感情(笑)。
今成 嬉しいのか、なんなのか……。
――試合後、足つぼ先生とは何かお話されたんですか?
今成 「ダメですよ。こんなのに出てきちゃ」とは言われましたけどね
――足つぼ先生に認められたわけですね(笑)。他の格闘家にも出てもらいたいですよ。
今成 いや、強いと思いますよ、やっぱり。たとえば打撃の強い人……武尊さんとか。
――うわー、武尊なら耐えられそう!(笑)。
今成 あんなローキック、バチバチ食らっても試合できるんだから何も痛くないと思いますよ。
――武尊さんと今成さんの足つぼ対決を見てみたいです(笑)。
今成 ハッハッハッハッ。
――摩嶋戦に話を戻しますが、今成さんはケラモフの代打でした。緊急オファーには即決だったんですか?
今成 ですね。前に摩嶋さんとの試合が流れちゃったじゃないですか。
――2022年11月のRIZIN名古屋ですね。摩嶋さんのケガで中止になって。
今成 ケラモフさんが来日できないという話を聞いたときに「あるんじゃないかな」って一瞬思ったんですけど、ただ今回はメインカードのほうだったから。名古屋で摩嶋さんと組まれたときは真ん中よりちょっと下ぐらいに見えたんですよね。今回はケラモフさんありきのカードであったから、その代打はねえだろうなあって。
――そうしたら打診があったわけですね
今成 そうです。
――ケラモフは元チームメイトへの暴行事件で拘束されてしまって、来日できるかどうは流動的でした。RIZINのオファーは「もしケラモフが来日不可能だった場合、代打をお願いできますか」という内容だったんですかね?
今成 そうです。「それでべつにいいですよ」って。最初はけっこうギリギリまでケラモフさんを待つ話だったんですが、それより前に決まったんで。
――変な話、今成さんって試合だからといって何か特別に追い込むタイプでもないんですよね。
今成 でも、1週間、頑張りましたよ。
――1週間、頑張りましたか(笑)。
今成 ハッハッハッハッ。
――いまはどこかプロ練に行かれてるんですか?
今成 いまですか? ここ(今成柔術)でしか練習してないです。プロ練みたいなものには一切、行ってないです。
――じゃあ、摩嶋対策はそこまでせずに?
今成 一応プロをやっている大きめの人、圧力のありそうな人(中井光義)と1週間毎日やりました。
――それだけ! もういままで培ってきたものがあるってことですね。
今成 そうなんですかねぇ。まあ、足でも腕でも、どっちか取れればいいかなって思います。
☆足関は誰にでもできる
☆格闘家のきっかけはユセフ・トルコ
☆MMA黎明期の今成正和
☆リトアニア中指事件
☆脱ルンペンの転機は結婚……まだまだ続く!
コメント
コメントを書く寡黙な足関十段のインタビューが見れるなんてありがたいなあ。
また取り上げてほしいです。
トップ写真の卑猥な手つきが相変わらずw
現役の日本人MMA選手で一番好き。
ずっと飄々としていてほしい。応援してます。
>仕事ができないですからね。向いてないですよね。格闘技以外、何もできないですもん。
井上直樹も同じようなこと言ってたなぁ。
格闘技が好きというか、格闘技に愛されているというか。
本人たちも、実際のところどうなのか。
自分の気持ちに気付いていない感じの、この温度感が素敵です。
「地獄先生ぬ〜べ〜」の鵺野鳴介
鬼の手は、帰る場所をみ、ハッハッハ
ジャンさん、
寡黙な十段師匠からいろんな
言葉を引き出して下さりありがとうございます
私生活が想像できないお方なので今回のインタビューで
少し垣間見れた気がします