「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2025年10月28日(火)配信のテキストをお届けします。

 次回は、2025年11月25日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2025/10/28配信のハイライト

  • 「ワールドシリーズ延長18回」と「円が弱すぎる」
  • 「日本の衰退と飛躍、防衛力」と「ウナギ規制と魚類の養殖」
  • 「クマ対自衛隊」と「法の無知につけこむサービス」
  • 「芸術家向けベーシックインカム」と「霊長類の若返り研究」
  • 「ドナーブタの移植医療」と「Googleの量子アルゴリズム発表」
  • 「卵を納豆状にするカメムシ」と「軌道データセンターと冷却問題」

「ワールドシリーズ延長18回」と「円が弱すぎる」

山路:今ちょっとこのニコニコのほうでコメント機能に障害、これちょっとどういう状況かわからないんですけど、こっちからなぜか運営のコメントが出せなくなってるんですよね(笑)。これどういう状況か、私たちも初めての状況でよくわからない状態なので、いつも出せるリンクが出せなくなっちゃったということをご了承いただきたいということなんですが。まず、最初話題になっているのがワールドシリーズがすごかったって、私ここ2、3時間くらい全然ニュース見れてなかったんですけど、なんかすごかったんですか?

小飼:延長18回(笑)、

山路:ドジャース対ブルージェイズ。延長18回、2回やったような感じじゃないですか(笑)、

小飼:2回やったっていうことですね、

山路:結局どっち勝ったんですか?

小飼:ドジャースが勝ったみたいです。

山路:また大谷が打って勝ったみたいな?

小飼:大谷が打たせてもらえなくなった、延長回は。そこもちょっとしたニュースになってて。一般回っていう言い方が正しいのか、要するに9回より先の回ね、2塁打、本塁打、2塁打、本塁打みたいな。

山路:また雑なシナリオに従って(笑)。水島新司先生も激怒ですよね(笑)。

小飼:なんだけれども、そこまで大谷に打たれたにもかかわらず、同点で延長戦に入って。野球というのは延長戦に入ったら、いくらでも続けようと思えば続くルールになってるわけですよ。

山路:勝ち越さない限り、

小飼:そうそうそう。勝ち越しイニングが出るまではもう延々とやり続けて、少なくとも今のMLBのルールがそれ、なくて。ちょくちょく延長回のエピソードが出てくるんですけど、18回ってなんだよ(笑)。

山路:昔の甲子園とかでそういうのを聞いたことありますけどね(笑)。

小飼:たぶん他の競技であれば、もっと先に打ち切るための仕組みを作ると思うんですよね。たいていの競技は。だから、そういうのが延長しすぎないためのタイブレクルールというのがあるわけですよ。どうしても勝負がつかなかった場合には、一番有名なのはサッカーのPKですよね。そういうのないんですよね。

山路:珍しかったってことはあるんですかね、

小飼:珍しかった、

山路:あんまり問題にならなかったぐらいには。

小飼:大抵は9回で決着がつくっていうのが。

山路:しかし本当に、どっちもご苦労さんでしたって感じですよね。

小飼:いやいや本当にですよ。僕は延長に入ったっていった時点で、ブルージェイズ頑張れ(笑)。

山路:ピッチャーとか半端ない数、継投した、

小飼:全員使い潰して、最後は山本がもう一度投げるみたいな(笑)、

山路:だって前、先発してませんでした?

小飼:そうですよ、

山路:ついこの間、なんかやってたような、

小飼:丸々一周したてたところに、キャプテンって言っていいんでしょうね、フリーマン選手がサヨナラホームランを打って試合終了したみたいですけれども(笑)。そこまで頑張れたっていうのがやっぱりすごいことだし、

山路:ブルージェイズが、

小飼:ブルージェイズも。やっぱりそこまで頑張らせるルールがあるっていうのが、お互いにかわいそうだし。そう、ベースボールのルールの欠陥がまたここで露わになったというね。

山路:なるほどね。

小飼:延長18回ってじつは調べてみると2018年にもあって(笑)、

山路:なんだ、あったんですね、割と最近に。

小飼:さすがにルールいじれよ、翌日も試合あるじゃんっていう。中休みがあるんだったらいいんですよ。さすがにサッカーは翌日にすぐ試合させるっていうのはありえないですよね。たいてい3日ぐらいは置きますよね。でも、ベースボールというのは本当に基本、毎日やるものなので、移動日を除いて。

山路:しかし6時間の試合ってクリケットみたいですね。

小飼:クリケットはこんなもんじゃないらしいです。というか、クリケットがあまりに冗長なので、別の競技にしちゃえっていうのが確かベースボールの発端だったはずです。

山路:クリケットとか、数日に渡ることがあるみたいなことは聞きますもんね(笑)。

小飼:意外とあれなんですよね、(クリケットは)競技人口も競技国も多いんですよね。

山路:しかし、なかなか珍事というか面白い、話題に事欠かないですね、ワールドシリーズ。

小飼:でもブルージェイズすごいですよ。大谷だけに、今回もやっぱり大谷が半分ぐらい点を取ってらっしゃる。

山路:またか(笑)。

小飼:またか。いや、でもそれでも引き分けだったんですよ。9回の時点で。そこはブリュワーズの時と違いましたね。ブリュワーズの時はもう本当に大谷無双で、もう誰も何も手を出せなかったんですけれども。

山路:しかしなんていうか、メジャーリーガーの中でそこまで手が出せない選手が出てくるっていうのもちょっとびっくりですよね、しかも日本から。どうしたことやらというか、

小飼:なのに、ピッチャー全部使い潰すような試合やってるわけですよね(笑)。だって前回は山本一人で完投してるわけで(笑)、

山路:ですよね、本当何が起こるかわからないもんだな、プロの試合っていうのは。

小飼:でもね、やっぱり18回やらせちゃいけないと思うよ。アメリカ大陸って広いじゃないですか。当然、時差があるわけです、試合やってるところと実際に観客が見てるところと。東海岸の人とか、もう日が暮れてる、日が変わってるんですよね。あれは本当にウケた。

山路:See you tomorrowじゃなくなったという、

小飼:See you tomorrowというのに、Tomorrowをストライクスルーして、See you laterに、

山路:へええ、面白い(笑)。じゃあちょっとアメリカ絡みの話でもう一つといえば、あいつが来てるらしいじゃないですか。

小飼:あいつって誰よ、

山路:トランプ。

小飼:そうか、でもそういえば首都高特別警備うんぬんみたいなやつが出てたっちゃ出てたね。近所迷惑だね。

山路:何がどうっていうことでもないんですけど、トランプのことを言ったのはちょっと記事でおかしかったのがTACO、Trump Always Chickens Out、

小飼:要するにいつもビビって引いちゃうというね、のを略してTACOって言うんですよね、TACOでタコです。

山路:とある新聞記事で、トランプ、結局言ったことやらねえじゃんっていうことが非常に多いらしくて。

小飼:いつものことだ、

山路:投資家、トランプが言ったことに関してやらないっていうふうなことを踏んで賭けると、

小飼:TACOを前提にして、なるほどね、

山路:そっちのほうが、賭けたほうが普通の株式に賭けるよりも全然リターン率が高いっていう、

小飼:なるほど。TACOショートか、

山路:TACOショートっていう(笑)、

小飼:なるほどな、それいい視点だと、

山路:ただしかしこれ、トランプのやってることってどうもインサイダー疑惑がつきまとってしょうがない気がするんですけど、

小飼:でも、あまりに底が浅いじゃん。インサイダーというには本当にあまりショボいというのか。アメリカ人が知的に退行しまくって、要するに国民のマジョリティがケーキを3分割できなくなるくらい退行してっていう映画があったけれども。なんかそれがリアルになってきてるんですよね(笑)。同じ我田引水をするにも、もう少し小狡いやつだとは思ったけど、いや、でもさすがカジノを破産させたやつ、

山路:カジノね、そのカジノの胴元なのに破産しちゃったっていう、

小飼:そうそうそう、儲かるしかないものなんですよ、あれは。どうやって破産させたのかっていうのはね。

山路:もう一つ金に絡んだ話題としてはですね、ちょっと金に絡むというと語弊があるのかもしれないけど、日本のGDP、2030年にはイギリスに抜かれて6位になるということが発表されまして。

小飼:それはダメだねっていうのか、ポンド強すぎないか?

山路:ああ、そっちの話なの。

小飼:そっちの話になる。

山路:これ円が弱すぎんじゃない?

小飼:円が弱すぎるのよ。要は円が弱すぎるっていうことなんだけれども。

山路:これはつまり、なんていうんですか、実際の国の実力以上に下に出てるっていうこと?

小飼:そういうことです。だからね、ドイツとトントンっていうのはまぁそれはしょうがないところはあるなっていうのか、ドイツは本当に一国だけじゃなくて、要はEUの筆頭じゃないですか。仲間がいっぱいいるんです。だからイギリスが日本よりもGDPで上に来るっていうのは、それはあらゆる点で間違っている。それとは別に、インドが日本を抜くっていうのはあるじゃないですか、これは健全なんですよ。

山路:結局豊かになるべきだしっていう、貧しい国は。

小飼:そうです、人口が日本の12倍か、ある国のGDPが日本よりも下というのはこれはむしろまずい。そういう状態であってはまずい。

山路:イギリスってむしろ、日本と同じように衰退途上国と言われる国の中で、みたいなところもありますわな。

小飼:はあるけれども、頑張ってる、再エネは頑張ってる、

山路:再エネ、風力発電とかで、

小飼:特に海上風力とかは本当にすごい頑張ってて。イギリスが大国ではなくなってしまったという証拠もいっぱいあって。頑張って空母2隻作ったじゃないですか、両方とも日本に来てます。

山路:最近話題になりましたね。

小飼:あれはものすごい無理してるんです。

山路:空母って単体作るだけじゃなくて、全体として重要なわけですよね、

小飼:人もいっぱいいるわけです。だいたい2500人ぐらいなのかな、イギリスの空母の場合は。

山路:交代もいるわけですしね、

小飼:その通りです。もちろん空母というのは単体では脆弱なものなので、まるっと護衛艦隊がいるんです。維持費用というのもかかりますし。イギリスは2隻で実質、普段稼働しているのはそのうちの半分なわけです。

山路:アメリカ11ですからね(笑)。

小飼:それを12にするって言ってるんですよね。

山路:いちおう削減ということで?

小飼:削減ということではなくて、少し強化しようとしてます。アメリカの空母というのはあれが本当のザ・空母みたいな、

山路:空母打撃群というような意味での、

小飼:そうです。原子力駆動で、マックス90機ぐらい置けてっていうので、桁違いです。日本は護衛艦をやっと空母化できたって言って、そのいずもとかがなんですけど、その2隻を足してもアメリカの本物の空母の半分に及ばないような戦力ですね。

山路:イギリスって無理してるとは言っても、それを今さら削減もできないのではないですかというか、

小飼:そうなんですよ、

山路:よく緊張高まってるというふうに言われるじゃないですか、その中で削減って難しいですよね。

小飼:難しいから、一度はもう、かつては機動部隊と言われてたんですけど、これやめるって言ってたんですよね。もううちではまかないきれないからっていうので、じつはフォークランド紛争が起こったっていうのはまさにその時期だったんですよ。その時は本当に空母がものすごい役に立つというのはわかったので(笑)。やっぱり持っとかなければいけないなっていう。

山路:軍縮って難しいっすな、しかしつくづく。

小飼:本当にね、した途端に、

山路:必要になったりとかもする(笑)、

小飼:本当に「平和の配当」って一体何だったんだろうなっていうのは考えますね。

山路:これ、イギリスと日本のことで言うと、先に日本の国力に見合わないほど、つまり円が安くなってるっていうことだったわけじゃないですか、

小飼:そういうことです、

山路:これって金利政策が結局良くないの? それとも国力が、

小飼:円安がっていうことですよね、

山路:だけどつまり単純に、そこで円高方向に行ったらええ、というもんでもないのではというか、

小飼:やっぱりそれは為政者が悪い。

山路:円高に舵切るぞって腹をくくったほうがいいということ?

小飼:腹をくくってでも円高方向、ただ円高方向にする一番簡単な方法っていうのは利上げなんだけども、そうすると日本の不動産業者の皆さんというのはみんなクビになっちゃう、

山路:ああ。つまり円安とか放置しといたら物価とかなんかもどんどん高くなっていくじゃないですか、

小飼:今は本当に、昔は円安というのは一過的な現象なので、その時は赤字を引っかぶってでも物の値段っていうのはそのままにしておこう、だったんだけど、今は本当にストレートに反映させるから。

山路:これ、なんかでもどうすりゃいいのって感じしません? 弾さんだったらもう円高にする?

小飼:要は、(僕が)日本の為政者だったら? それが国民にとって一番いいことだけれども、じゃあ今の政府は国民の方向いてるかって言ったら、ねえ。お母様の方向いてんじゃない?

山路:お母様(笑)、

小飼:お母様の方向いてんじゃない?

「インフレだと選挙に勝てないよな、普通」(コメント)

小飼:ねえ、

山路:ただなんか明らかにインフレに向かって加速する方向に向かってる気はするんですけれども、

小飼:一番タチが悪いやつです、

山路:スタグフレーションというやつで、

小飼:スタグフレーションですね。

山路:いやー、怖え怖え。

「日本の衰退と飛躍、防衛力」と「ウナギ規制と魚類の養殖」

小飼:他人事じゃないよ(笑)。いや、でも面白いことに日本の「失われた30年」というのは、日本的個性が世界にガンガン認められてった30年でもあるんです、だから個人としての日本人にとっては飛躍の30年だったんですよね。

山路:大谷に象徴されるような、

小飼:そうそうそう、スケートを見ても羽生とかね。そう、だから傑出した個人がちゃんと日本の外で認められていた30年でもあるんです。でも、こういったことっていうのは歴史でもよくあるんですよね。経済が衰退する一方で、芸術がガンガン認められていたっていう、イタリアがそうじゃん。

山路:なるほど、なるほど。ある意味ギリシャとかもそういうところはあったかな、古代ギリシャなんか、

小飼:そうです、

山路:すごい尊敬はされるけど(笑)、実質的な力はないみたいな感じの。

小飼:いや、でもまだ実質的な力そこまで衰えてないんですよ。意外というのか、本当にもう雑な腕力、別の言い方は武力でもけっこう日本、ヤバい国だというのが。

山路:軍事費で、

小飼:軍事費だけではなくて、オーストラリアのフリゲートも、

山路:ああ、そういうことね、武器輸出国になりつつあるという意味で。

小飼:いや、一気になったの。フリゲートのフロティラというのは、要するに船を輸出するというのではなくて、艦隊を輸出してるっていう規模なので。あれはなかなかびっくりですよ。

山路:なるほどなるほど。なんか報道だと本当に船をちょっと作ってみたいな感じだけども、艦隊と考えると確かに。

小飼:トランプ来てるけど、下手するとアメリカの軍のフリゲートもこっちに来るかもしれない。というのも、アメリカもフリゲートを作ることにしたんですよ。今のアメリカの海軍の主力というのはそれよりも高額なイージス駆逐艦なわけですよね、アーレイ・バーク級なんですよね。でもそれよりも安くて、普通の海にも出ていける、航行できるという船というのをちゃんと作ると。今からちゃんと作ると間に合わないので、とりあえずイタリアの設計を、船体を持ってきて上に載っける兵装とかっていうのはオリジナルにしようっていうやってた、コンステレーション級っていうんですけど。ところがそれがイージス艦並みの値段になっちゃって、一向に完成しないという状態になってて(笑)。

山路:なんかかなり海軍力って苦労するもんなんですね、整備費、つくづく。

小飼:バカみたいな金食い虫です。

山路:だってその人らもいちおう見積もりはしてたわけじゃないですか、それを専門家の見積もりなんかははるかに超えぐらい高くなっちゃうというのも。

小飼:そこはちょっと謎なんだけどね。なんでフリゲートが1ビリオンダラーを超えちゃうのかっていうのは。ちなみに今はアーレイ・バーク級も2ビリオンダラーします。最初に日本もイージス艦作ろうって言って、アーレイ・バーク級の中身をそのまま持ってきて、船体を作る能力っていうのは日本はずっとあったので、箱というのか、船は日本で作って、上物はアーレイ・バーク級のものを持ってきたっていうのが日本のイージス艦なんですけど。その時に確か一隻1500億円ぐらいして、ものすごい大騒ぎになったんですよね。たかが一隻になんでそれくらいするんだと。今は普通のアーレイ・バーク級が2500億円するので(笑)。さらに原潜を買う買わないっていう話が最近出てるじゃないですか、原潜はさらにその倍します(笑)。原潜一隻買うと、イージス艦が2隻作れなくなって、もがみ級が4、5隻作れなくなるんですよ(笑)。

山路:しかし、これまでそういうところでずいぶん日本っていろいろ安く上げてきたんだなって感じしますね。

小飼:じつはね、

山路:防衛力をアウトソーシングするっていうのは、そんなにお得なんだみたいな感じもしちゃう。それを結局、自前でやらなければならないとなったら、それはまぁいろんなものが圧迫される、

小飼:(アメリカが)やってくれなくなりそうでしょ。ウクライナにはもうドネツクとルハンスクは諦めろって言ってるわけですよ。

山路:いやー怖い怖い。

小飼:自前でやるって言ったら、本当に底なしにお金がかかるわけですよね。

山路:もう平和万歳ですな、つくづく。

小飼:本当に、

山路:コスパが悪すぎる、戦争は。じゃあちょっとまた国際絡みの話ではあるんですけど、ウナギ規制。全種を対象にした規制をやらないといけないよねっていうことを、国際的なところで圧力が高まってる。やっぱり弾さんもウナギは少々食えなくなっても規制はしたほうがいい?