「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2025年11月04日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2025年11月25日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2025/11/04配信のハイライト
- 「ライブ翻訳レビュー」と「外国語はむしろ読み書きのほうが大事」
- 「ビッグテックの決算」と「NVIDIAの戦略」
- EVアンチと「酸っぱいぶどう」
- 「ビル・ゲイツと気候変動」と視聴者質問「人工精子」
- 「プーチンは核を使えない」と「SSRの国は?」
- 「スペインのメキシコの歴史問題」と「銀座のママみたいな総理大臣」
「ライブ翻訳レビュー」と「外国語はむしろ読み書きのほうが大事」
山路:今日iPhoneとかiPadとかのOSのアップデートあったじゃないですか、弾さん、アップデートしました?
小飼:しました、言われて。これがでかいんですよね、
山路:そうそう、ライブ翻訳という機能がiOS26で入ったんですけれども、このiOS26.1から、それが日本語対応したという。で、このライブ翻訳、要は翻訳こんにゃくですよね。どうなるかというのを、弾さん英語ペラペラ喋るから、それで試してみるかなと。AirPods Proをこんな感じでつけてですね、じゃあちょっとiPhoneの画面を共有しましょうかね。このリファレンスモードと。じゃあ行きますか。行ってるかな、あれ、なんだろう。あれ、さっきまでうまく行っていたのに、リアルタイムデモで失敗するというIT起業家のような(笑)、
小飼:もう一度、
山路:あ、行った。私のほうは日本語で話して、
小飼:なんかAirPodsにつながってるのか、
スタッフ:じゃあ、せっかくなんで達也さん、これのライブ翻訳機能でどんなことができるのか、がっつり説明してもらっていいですか?
山路:そうですね。あ、そうか。ここのところでそのまま喋ったら、ちゃんと英語に訳してくれる画面に出るわけだよね。
小飼:あれ、なんで音声があれなんだろうな。ちょっと待ってね。
山路:もう1回AirPods Proを外してはめ直してみては?
小飼:それやったんだけどね、
山路:このライブ翻訳機能、リアルタイムで翻訳ができるんですけれども、AirPods Proと組み合わせることで、AirPodsってビームフォーミング機能っていうのがあるのかな、要は対象、頭を向けている方向の人にフォーカスして音を聞き取るみたいなことができるようになっている、
小飼:でもおかしいな、明らかにAirPodsは機能してるんだけど、再生できてないな、これ。
山路:すいません、これまだライブ翻訳の機能がベータ版だからなのかな。
小飼:わかった、こいつが奪ってる、
山路:なるほどね、
小飼:あえて閉めて。今度来たね、今度来たね。Macに取られてやがった。
山路:でも、なんか弾さんが話してることが私のAirPodsには認識されてないんですよね、音が。これ、本当は弾さんが話していることを相手方の発言として認識してちょっと出るんですけれども。ちょっともう1回、私の方っほうもやり直しますね。では、よろしくどうぞ。あ、いたいた! じゃあ私はとりあえず日本語で話しますので、弾さんなんか英語で話してください。
小飼:OK、You start(画面:わかった、やめた), I didn’t say, I said you start(画面:私はあなたにやめろとは言わなかった). You suck a listening(画面:あなたは最悪です).
山路:かなり、喧嘩になりそうな会話になってますけどね(笑)。
小飼:喧嘩になりそうな会話というよりも、これの翻訳機能がアホなんです。ちゃんと聞き取りができてない。
山路:やっぱり日常会話のところ、聞き取りっていうのが難しいところはありますね。家でCNNのニュースで試してみたんですよ。それ、かなりいい感じに訳してはくれたんですけれども、さすがに日常の非定型なこういう文章ってなかなか訳しづらいものなのかもしれないですね(笑)。
小飼:Well, my English doesn’t suck that much。オーケー、
山路:じゃあ、とりあえずこんなところで。これ以上やると、なんかボロが(笑)、ライブ翻訳ディスりまくる話になっちゃいそうな。
スタッフ:でも、達也さんの文字起こしは正確ですよね、喋った言葉をちゃんと聞きとってますよね。
山路:これ、一つこのライブ翻訳擁護するとするならば、日本語と英語ではかなり語順が違うから、たぶんリアルタイム翻訳のところのバッファがたまりすぎるみたいなことはあんのかなと思いました。そこのところでお互いに言うじゃないですか、そういうことのやつのズレが大きくなってくる、処理がたまってズレが大きくなってくるのかもしれないなと思いましたね。
小飼:えーとね、そうじゃない、そのはるか手前、
山路:はるか手前(笑)、
小飼:はるか手前に元言語をきちっと聞き取ってない、僕が英語で話してもその英語をきちっと聞き取れてない、
山路:日本語のほうの認識はわりとよくなかったですか?
小飼:だから日本語のほうが音素数が少ないので、そう、日本語は変換ミスが大変で、あと語順問題もあるんだけども。英語の場合、一番後ろの子音をかなり聞き損ねてる、今やってみた感じでは。
山路:なんか今YouTubeとかなんかの自動音声認識なんかでも、英語のほうの語はかなり認識率が高いような気がするんだけども。AppleのSiriなんかでも、英語の認識わりと良かったような気がしたんですけどね。
小飼:ニュースアンカーなんかが読み上げてるようなやつというのは、それはうまくいくことが多いです。
山路:まあそりゃそうだわな(笑)。思ったよりはうまくいかなかったけれども、これがもうちょっとブラッシュアップされたら、もうちょっとインバウンド需要の多い業種ではけっこう助かるかもしれないですよね。
小飼:Losing is not an option.
山路:(笑)山本由伸のセリフより、みたいな。
小飼:でも、あれはなんかすごいというのか、負けるわけにはいかないっていうのは、普通の人が普通に言うセリフですよね。だから英語だとWe mustn’t loseとかWe can not afford to loseとか、その程度っていうとなんだけど、
山路:普通なコメントですよね。
小飼:個人的な自分を、あるいはせいぜい自分たち、選手同士を鼓舞するセリフだったはずなのが、Losing isn’t an optionっていうのは、ぜんぜん立場が違う人のセリフなんですよ。ボスのセリフなんです。
山路:選択権のあるというか、主導権を持った人間の。
小飼:だからあの場であれば、ロバーツ監督が言うのであれば、それはありかなというセリフなんだけども、いつの間にか、山本さんのセリフということにされて(笑)、ちなみに翻訳者の人はそういうふうには言ってないらしいですね。ちゃんとインタビューの記録とかもあって、その時点ではそういうセリフが出てなかったんですけど、
山路:ある意味SNSで生まれた名言という、名訳というのか、
小飼:ソーシャルメディアの中で出てきて、Tシャツにされて(笑)、なんというビッグマウスなんだと、要するに本人が言ってないことを言ったことにされちゃうというのだけれども、何がすごかったかって言ったら、その後、また勝ったわけじゃないか。勝って、凱旋パレードして、スピーチの順番が回ってきた時に、英語で本人の口で言い直したというね(笑)。これはすごい。
山路:オフィシャルな言葉になっちゃったんだ。
小飼:だからもう本人の決め台詞になった、これで。これすごいよ。大谷さんから持ってった感じがするね。
山路:これってやっぱり台詞を日本人が言ってる面白さみたいなものもあるんですか? そういうことっていうのは。
小飼:というよりも、翻訳者を普段挟んでますよね。日本のMLBプレイヤーというのは、大抵の場合。かなり自分自身が流暢に英語を話せる場合でも、そうしてますよね。特徴としては。だから、要するにロストイントランスレーションという状態が起こりやすいわけです。
山路:なんかニュアンスが漏れちゃう、こぼれちゃうみたいな。
小飼:あるいはもう大言壮語したことになってしまうというね。で、それを本人が引き取ったっていうのが非常に面白いというのか。いや、だから翻訳者をつけるっていうのは確かに日本のプレイヤーズの特徴ですね。他の国からもけっこう来てるじゃないですか、特にラテンアメリカからはけっこう来てて、スペイン語がネイティブランゲージだっていう人もけっこういるわけじゃないですか。そうだ、ドジャースだとあれかな、ロハス選手がベネズエラ出身で。本当にスペイン語なまりの英語を話してますけど、でも特に通訳はつけてないわけじゃないですか。
山路:まぁスペイン語と英語近いっちゃ近いですからね。
小飼:まあね。
山路:なんかよく知ってる地域の言葉でもありますしね、アメリカ人とメキシコ人ってめちゃめちゃ、
小飼:でも最近は韓国の選手も来て、彼らは翻訳者使ってる?
山路:そう言われてみるとそうか、そのところでやっぱりなんか日本人の英語苦手意識が出てるのかな、
小飼:苦手意識じゃなくて実際に苦手なわけですよ、難しいわけですよ、でも翻訳者がいても、実際にプレーしてるわけじゃないですか。だから英語よりも大事なものがあるっていうのが、何重にも面白かった。僕は本当にベースボールってすごい嫌いというよりも苦手で、日本で一番人気のスポーツですよね。テレビのチャンネルの占有率もすごい高くて、日頃やってる番組がプロ野球中継に奪われるというのは、今だったら考え難いことも知れないですけど、日常だったわけです。で、当然のように嫌いになりました。
山路:私もアニメが野球中継で流れてしまうことが多くて、
小飼:なので僕の野球の知識というのは最近、最近でもないか、『サンキューピッチ』という、
山路:面白いですよね、『ハイパーインフレーション』の方が書いてる新作ですよね、
小飼:たぶんあの阿川先生ぐらいしか知識がないんだけれども(笑)。それでも今回のnot an option騒動というのは。
山路:本当にいろんな意味でグローバルな話題になりましたよね、日本と世界がつながって行き来することの面白さみたいなものもありました。
小飼:あと今の首相の英語はどうよという議論もあるんだけれども、僕は話すべきでないと。
山路:正確なニュアンスが、正確な意味が伝わらないから?
小飼:違う!
山路:どういう意味で?
小飼:ものすごいこなれた言い方をすると、日本で一番偉い人だから。
山路:ほうほうほう、
小飼:習近平は英語話せるんですよ、アメリカにいたこともあるし。本当、切り札なんですよ。普段はいくら話せても、話すべきではないんです。
山路:ほー。ある意味それは自国民に対するアピールでもあるから、っていう、
小飼:そうなんです。でも、じゃあ欧州の首相たちは英語話してるじゃないかと、あれほどフランス語に固執しなきゃいけないはずのマクロンですら、英語話してるじゃないかと言ったら、それはヨーロッパの英語、言語がいろいろありすぎて、しかたなく話してるんですね。
山路:じつはどれも、たとえばフランス語みたいなこと言ったらドイツ語圏の人からみたいなものもあるし、
小飼:EUで足並みを揃えてっていう場合には、悔しいことに英語にしてるっていうのが、
山路:なんかちょっと前まではかなり、外交の場ではフランス語が使われるってことが数十年前はよくありましたけど、それってやっぱりヨーロッパの地位低下でもあるんですかね? フランスの地位低下ってことでもあるんですかね?
小飼:なきにしもあらずかな、いちおうあれフランス語も公用語入ってますね、
山路:つまり外交の場でかなりフランス語が使われてたっていうのがあるじゃないですか、数十年前は。
小飼:どころか、英語の難しめのボキャブラリーってフランス語由来のばっかりですよ、英語由来の言葉よりも、フランス語由来の言葉のほうが多いんだから、これは日本語のボキャブラリーでも漢字のほうが多いっていうのと似たような現象ですよね。
山路:それが外交の場で使われなくなってきたら、英語のほうがやっぱり広まったからでもあるんですかなと、
小飼:そうですね、
山路:結局あまりにも英語が世界標準になっちゃったからっていう、
小飼:のがある。エクストリームな例だと、ベルギーって公用語が二つあるんですよね。オランダ語寄りのワロン語とフラマン語だ。ワロン語とフラマン語なんだけども、それだと国が割れちゃうという理由でブリュッセルの議会は英語で話してる(笑)。
山路:あとちょっと前に見たので、英語がすごい広まった理由の一つとしてアクセント記号もなかったのがでかいんじゃねえの、みたいな議論もあったりとかして(笑)。つまりコンピューター化するときに英語圏の人にとっては、いちいちアクセント記号とかない英語でやることに関する抵抗がめちゃめちゃ少なかった、だけど他のアクセント記号の多い人は、
小飼:それは違うと思うなー、
山路:そうか(笑)、
小飼:やっぱりネットの普及っていうのは大きいと思います。まだネットが、初めての人たちがダイヤルアップでつなぎ始めたぐらいの時ですね、その時は皆さんあまり英語話さなかった。英語で聞くと怒られたもん。ほんとに、たとえば、僕はバチカンで、当時出たてのデジカメをスられたんですが、バチカンというのは、正確にはバチカンから帰ってくるバスの中ですね、混んでたバスの中で見事にスられたんですけれども。それをまず最初に交番で状況を伝えようとして、I got my camera stolen! って言っちゃったら、No English! って、
山路:ええっ、交番で(笑)。
小飼:で、ガイドブックを片手に、片言のイタリア語で、
山路:それはひどいな。
小飼:盗まれましたって言ったら、これは盗難証明が欲しいからどうしたらいいかって言ったら、それを一括してやってるところがあるから、そこに行けというのをホテルのコンシェルジュの人に教わって、それで行った時にはやっと普通に英語でも届けるわけですよ。だから、住所名前、パスポートの番号、どこで盗まれたとかっていうのを、用紙も6カ国語くらいあって、その一つが英語で。当然パスポート見せるわけですけども、いくらパスポート見せても、お前はアメリカ人か、お前はアメリカ人か、
山路:英語話すから(笑)。アホやからな、本当にイタリアの人。こんなこと言うといかんか(笑)。
小飼:そういう状態だったけども、今の欧州人の人はいちおう英語話すようになりましたね。
山路:私もイタリアでそんなノーインググリッシュって言われたら困るな、。“Il conto, per favore”(会計お願いします)ぐらいしか話せないですからね。
小飼:それはすごい。あと”Scusi”(すみません)が言えれば、けっこう。
山路:でも本当、英語のことで関して言うと、やっぱりアメリカ企業がそういう電子化、最初にデジタルを広めちゃったっていうのはやっぱりとにかくデカかったって気がするんだけどな。
小飼:意外と英語化されてないものというのが街の看板で、欧州でいちばん英語流暢に話す人というのはおよそオランダ人かデンマーク人なんですけれども、その話だったらいくらでも、オランダでも看板はオランダ語なので、少し慣れないと読めないんですよね。たとえば国立美術館というのはライクスミュージアムって言うんですけれども、慣れればすぐ読めるんだけど、たとえばオランダ語だとJは「やゆよ」の発音になるんですけど、そういうのを少し知ってないと、その程度でも読めないんです。それでかなり困るのが韓国なんですよね。
山路:どうして?
小飼:ハングルを読めないと、発音もできない、文字が読めない、すぐには。慣れてくるとこれはソウルなんだとか、地下鉄とかは日本語の教示もしてくれるんですよね、その辺は日本の地下鉄とかも似てるんですけど。文字が意外と困る。
山路:合理的に作られているとは聞くから、本気になったらすぐ覚えやすいんじゃないかとは思うんだけど、なかなか手出せてないですね。
小飼:公共交通とかまではいい、駅までは何とか行けるんだけど、町に出てしまうと、もうネイティブスクリプトだけなわけですよね。いきなり牛肉面って、それって石仮面の牛肉版みたいなのかーみたいに思ったりするけど、普通に牛肉が入った麺なんですけど。一番中国でありふれた食べ物かもしれないんですけど、日本人が簡体字の「牛肉面(ニューロー麺)」を見ると、卒頭するという。
山路:なるほどね(笑)。
「日本人も数十年後には英語を使わなきゃいけなくなる?」(コメント)
小飼:むしろ読み書きのほうが大事になってくるんじゃないかなというふうに思ってます。看板に英語がないっていうのはこれはもちろん日本も同様の状況なので。だからといって、全部英語化する必要とかっていうのは僕はないと思います。それくらいやっぱり合わせてくれよというのはあります。やっぱり要所要所で英語というのか、ローマ字表記の部分っていうのも設けてほしいなと。後の部分っていうのは、スマホが解決してくれる、