「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2026年1月27日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2026年02月10日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2026-01-27配信のハイライト
- 「受験はオンラインで」と「試験すべきことを試験する」
- 「金持ちが責められなくなった日本」と「社会保障費を所得税に」
- 「リベラルと新自由主義」と「プルデンシャル生命の大規模不正」
- 「中国でEV大型トラック普及」と「中国軍幹部の粛清」
- アメリカ国内の混乱と経済
- 「未解決問題を解いたAI」と「AI災害のパターン」
「受験はオンラインで」と「試験すべきことを試験する」
山路:この1月の半ば、この前共通テストがあったばかりなんですけど、さすがにこの番組見てる人はあんまり受験生いないんじゃないかという気もするんですが。こんばんは、どうもどうも。さっそく共通テスト、回答とか新聞にも警察されてるじゃないですか、問題文とか。
小飼:その前に、その前日に天候が荒れに荒れて、山手線動くのかとかって言ってなかった?
山路:なんかまあ無事だったみたいですけどね、幸いにして。
小飼:それが無事だったっていって、よく共通テストがあってその間に楽天候とかで電車が潰れちゃって、タクシーが運んでくれたとかっていうのが美談になってるじゃないですか、バッカがと、バカが、と、
山路:もう仕組みとしてくれと(笑)、
小飼:あのさ、けっこう集団的な不正があったとはいえさ、TOEICとかさ、もうとっくにオンラインでできるようになってるわけで。共通テストって確か選択式だよね、
山路:マークシートですね、
小飼:要は答えを手書きさせたり、要は自由回答ではないですよ、選択式ですよね、オンラインでできるじゃん。
山路:まあ、そこで不正を、
小飼:なんでオンラインでやらないの?
山路:不正をどう防ぐかっていうことになってくるんじゃないですか?
小飼:いや、だからそれこそ、たとえばTOEICとかっていうのはカメラがある機材を使うわけですよね。だから、受験生は監視下で受けるわけで、それでもたとえばチーティングの余地というのはあるわけですけども。それは人間が管理してても完璧じゃないわけですよ。
山路:これ、弾さんの言うオンラインっていうのは、それぞれの個人宅っていうんじゃなくて、そういう通信設備のあるところに集めるということ?
小飼:そういう妥協でもいいし、でも本来であれば個人宅でできるようにすべきです。だってTOEICができてるじゃん。実例があるじゃん。実際の受験の時には、たとえばTOEICの点数ですとか、たとえば日本の英語検定の2級以上とかっていうのは、ちゃんと評価されるわけじゃないですか。そういったものというのは共通テストというのは別にやってるわけです。いや、だから本当に誰得なの? 実際に大学にお勤めの方の怨嗟が、毎年その頃に聞こえてくるわけですよね。いや、だからなんでこんなことやらなければいけないの、とか。だからお前らが文句言えよと。本当にお前らが悪い、はっきり言って。
山路:そういうことに声を上げない大学関係者、
小飼:そういうことに声を上げない、お前らが悪い。
山路:その話にもまさに直に関わってくることなんですけども、最新版のAIに解かせてみると得点率が97パーセントだと。
小飼:そうなんですよ。これから皆さんは何を読み取ります? いろんなことを読み取れると思うんですけど。山路さんはどう思った?
山路:受験生のモチベーションが下がること、多そうな気もしますね。
小飼:ああ、受験生のモチベーションが下がると。要はAIのほうがマシだと。
山路:もうそれって選別基準になり得るのか、みたいなことはちょっと考えてしまいますね。
小飼:でも僕は受験生ではなくて、作問者のほうがダメージ受けてると思うんですよ。受けるべきなんですよ。要は試験すべきことを試験する、テストすべきことをテストするんじゃなくて、採点しやすい問題ばっかり出し続けてきたんじゃないの、っていう。前々から言ってることだけれども。
山路:しかしこの、採点しづらいものとかでないと測れない能力、たとえばどういうものを測るような試験であったりするんでしょうか?
小飼:もうそれこそ実際の、たとえば数学能力、公式を覚えて解ける問題っていうのはあんまり良くないわけです。
山路:それこそ難関大学の二次試験みたいな形で、真っ白な紙にもう本当に回答を書かせる手順、
小飼:それはそれでやっぱり今度は採点者の裁量が出すぎるという、
山路:そうそうそう、
小飼:だから今回共通テストとかの話題ではないですけど、たぶん一番話題になったのは灘の国語の問題、詩の問題? ごめんなさい、あ、灘でよかったっけ? 灘だよな?
山路:えーと、ちょっとそのニュースは知らなかったんですけど、
小飼:はい、そこで出した詩というのがパレスチナの難民の子供の、
山路:あー、中学受験で出た、
小飼:だからそれを問題に出すことそのものを採点するほうはかなり持ち上げてたんですけれども、僕は「ふざけんな!」なんですよ。だから、お前らの血の色は何色だっていうふうに思いましたね。それって本当にたかだかお受験の問題にしていいのかと。
山路:どういう形の問題か、ちょっと私それを読んでなかったんで、
小飼:ちょっとそれはググって見てください。じつはどんな問題を作るのかっていうのも、絶対にバイアスが出るわけですよね。
山路:どういうふうにしてもバイアスって出ると思うんですよ、それこそ弾さんが言うように採点しやすい問題にしなかったら、じゃあそこでそれはちゃんと公正に測れるのか、
小飼:出題者のバイアスがあるわけです。共通テストっていうのは受験者が多いので、その辺はなるべくバイアスが出ないようにっていうのはものすごい気をつけてらっしゃると思うんですよ。でも、そもそも科目が、科目ですよ、まさに分かれてるっていうこと自体、採点者バイアスなんじゃないですか。
山路:それを言ったらもう(笑)、何て言うか、文科省のカリキュラムのところから、
小飼:いや全くその通り、何をどの時期にどれだけ教わっておくべきなのかっていうのは、それこそ本当に社会的な説問じゃん。本当にこの番組でも何度言ったかわかんないけれども、なんで簿記がないの? 義務教育の中に。僕は二次方程式は成人になる前には触れておくべき問題ではあるけれども、じゃあ簿記と二次方程式のどっちが重要か、どっちが切実かって言ったら、やっぱり簿記と答えざるを得ないです。
「文科省カリキュラムで日本は落ちぶれました、文系理系で分けるのも」(コメント)
小飼:どうなんだろうなー。一方アメリカという国は受験に関してはもう本当に英語しかないんです。
山路:個人の得意を見せるみたいな形での、
小飼:いちおう受験のこと、受験を英語ではentrance examっていうふうに訳されてはいるんですけども、そもそもアメリカにはそんなものないんですね。アプリケーションはあります。で、俺はいかに、貴校に、貴学って言っちゃいけないな、貴学にふさわしい人物かっていうのを延々とアピールするわけです。アピールする中で、たとえば共通、SATのような共通テストを使ったりするわけですけども、SATの点数とかって言ったらalumni、日本語で言うとOBとかOGですね、の推薦状の前にはもう本当に鼻紙みたいなもんです(笑)。
山路:めっちゃ簡単だって言ってましたよね、弾さん。ふざけんなみたいな。
小飼:SATの点数とかではなくて、いちおうそういう推薦状があれば必ず入れる組というのを全部満たした上で、残った部分を、
山路:コネで、
小飼:いや、だからコネで埋まらない部分というのを点数でやってるわけですよ。
山路:それで言うんだったら、アメリカの受験制度というか、大学とかの仕組みっていうのがうまく機能してるという、必ずしもそういうわけじゃないですよね?
小飼:何をもって機能してるか、ですよね。なんだかんだ言って、世界で一番自然科学系のノーベル賞を集めて、トランプは置いといて(笑)。
山路:それっていうのは他のところから呼んできた人だったりもするわけですよね。
小飼:呼べるわけです。
山路:今言ったSATとかで上がってくる人たちの優秀さみたいなのと、ちょっと断絶がないですか?
小飼:そういうのを混ぜるっていうのに効用があると。だから、完全にコネだけでもダメだし、完全に点数だけでもダメで、そういう連中が交わる環境を作るというのが肝要であるというのが彼らの結論で、だからそれは実績を伴ってるわけです。
山路:(アメリカは)科学と技術で世界一にはなっている、
小飼:その通りです。
山路:でも中国とかって、大学の仕組みってまたぜんぜん違いますよね。
小飼:そうですね。中国とかは日本よりもさらに受験の比率が高い国です、
山路:科挙の伝統で、
小飼:それでやっぱりうまくいってますし、そこからさらにアメリカとかイギリスとかに留学して、博士号を取って戻ってきてっていう。でも、その間にアメリカとかイギリスにいる間に結婚して、妻子もうけて、妻子アメリカに置いといてっていうのは、中国語でそういうエリートのことを裸族と言うそうです、
山路:はだか族と書いて、
小飼:裸族と書いて。
山路:全裸中年ではないわけだ(笑)、
小飼:そうなんですよ(嘆息)。
山路:なんで残念そうな声を出すんですか(笑)、
小飼:だって僕は日本語的な意味で裸族なので、
山路:ああ、家で(笑)、
小飼:布団にくるまってる時には特に何も着てないので。いや、それちょっと違うよと、
山路:ただそこまで国によって仕組みが違うって言うんだったら、それはつまり中国的なやり方にしたほうがいいとか、アメリカ的なやり方にしたほうがいいって、それだけで変わるもんでもないんじゃないですか?
小飼:なにを求めてるか、ですよね。平均の底上げを求めているのか、一番トップがどこまで上に上れるのかというのを求めているのか、というのでやっぱり変わってくると思います。たぶん今のところの正解というのは、下にいるうちというのは、要は点数方式で、
山路:下にいるっていうのは国としてってこと?
小飼:国としてというのか、そうですね、高校あたりまではお受験方式でも、要は受験の問題さえ適切であればいいし、その後はアメリカのようにそもさんせっぱ方式、要はすごい奴のお眼鏡にかなったやつが弟子になるという、
山路:大学に入るのに、日本は高校の延長上でやってるのが問題じゃないかっていうこと?
小飼:そうなんですよ、僕もちょっとさっき言い間違えてしまいましたけども「学」ですよね、大学ですよね、「校」じゃなくて。学校ではなくて大学なんですよ。違い分かりますか?
山路:スクールじゃなくて、学びに行くんじゃなくてっていうことですよね、大学とかっていうのはそれこそ院とかになっていくと自分で研究をする、とかそういうこと?
小飼:院の定義もあるんですけども、もちろん英語にもあって、英語の「校」というのはまさにスクールですよね。スクールでは正解を叩き込むんですよ。正解がある問題というのはそれが徹底に正しいし、特に重要なものというのは、正解から外れたら人が死んだり、牢屋に落ちたりするわけですよ。だからそういったものというのは本当にロースクールですとか、メディカルスクールですとかで叩き込むんですよね。
山路:ああそうか、ロースクールはスクールだもんな。
小飼:どちらもマスターズなんですよね。
山路:ん? ん?
小飼:日本語で言うと修士ですね。で、これがドクターになると、もう全く自由というのか、そもそも何を研究するのかっていうのも自分で決めなければいけないですし、じゃあどうやってドクターになるのかって言ったら、他のドクターに戦いを挑まなければいけないわけですよね。というのか、他のドクターから攻撃されるわけですよね、お前は本当にドクターにふさわしいのかという。
山路:しかしそれで言うんだったら、
小飼:跳ねのけたらドクターになれるという仕組みなわけですよね。
山路:そういう本来の大学院とかのそういうあり方って、みんながみんなに必要なもんでもないですよね、いっちゃなんですけど。
小飼:ねえ。なのになんでみんなに大学に行かせようとするかっていうふうに言うと、これ特にアメリカで顕著なんですけれども。なんて言えばいいのかな、ワーカー、要は労働者ですよね、本当に手に職的な労働者ですよね。ドイツであれば、ずっと行くとマイスターになるのですよ。アメリカではそれを制度的に尊ぶというふうにならなかった、でも最近なりつつあるみたい。
山路:ブルーカラーの収入が増えて、
小飼:その通りです、
山路:職業訓練校の人気がめちゃめちゃ高いみたいな。
小飼:その通りです。思い出した、クラフトマンシップって言いますね、あまり尊とばれなかったんですよね。
山路:でも日本もそうですよね。
小飼:過去形、どうなんだろう、それでも日本はまだ「匠」だのなんだのっていう言葉が死んではいないから。
山路:なるほどね、マシという見方もできるわけだ。なるほどなるほど。
小飼:日本には高専があるのはでかいね。最近は高専も、
山路:呪術を教えたりとかね(笑)、
小飼:だから中高一貫校というのか、高短大一貫校みたいになってはいる。
山路:でも、これ日本のはとにかく時流に、今の時代に合ってないということなんですかね、教育の仕組みみたいなものが。エリートを伸ばすわけでもなく、底上げをやるための仕組みでもなく、なんとなく高度な教育と言いつつも、高校の延長みたいな感じで受験をさせるみたいな感じでバラバラになっているということ?
小飼:うーん。
山路:けっこう本当になかなか難しいところかなと思って。
小飼:えーとですね、いや、でも難しいところまで待てるっていうこと自体、今や高学歴の証なのかもしれない。あのね、そんなに待てない、待たなくなった。
山路:知識を身につけて働き始めるまでってこと?
小飼:いや、何か問題が出た来た時に答えを出すのに。だから、その意味ではA級戦犯は小泉ですね。
山路:今の、待たなくなってきたっていうのは、どういう意味?
小飼:要は、本当にこうすれば解けるというふうに簡単に言い切れない問題をこうだというふうに言ってしまう。はっきり言って詐欺師なんですけどね。考え込まなければいけない時ってあるんですよ、長考に入らなければいけない。なんですけど、今の人というのは1手10秒以内でお願いします、ばっかり見てきてるわけです。
山路:なんかちょっと感じとしてわかるような気がする、たとえばそれこそどうなんだろう、適切な例かわかんないですけど、就活なんかもどんどんわかりやすいテンプレの受験的なものになりつつあるような、そんな感じ?
小飼:そうですね。そもそも正解のない問題に、あるいはまだ答えが出てない問題に晒されるのが遅すぎるっていうことはあるね。
山路:それって(笑)、ただ言いたいことはすげーわかるんですけれども、世の人の半分以上ってそんな人じゃないというか、そういうことを求めてない人たち、
小飼:いや、とんでもない、とんでもない。いや、誰もがぶつかるんですよ。どっちが正解とも言えない、そもそも選択肢がどれなのかっていうのがわからないっていう状態に、みんなぶつかるわけですよ。それが本当に10代のガキに進路を聞くとかって、バカか! って、
山路:それは同意ですね、働いてみないとわからないだろうっていうのは。
小飼:その点ドイツはもっとヤバくて、中学生にそれやってるわけですからね。中学生どころか、小学生か、小学生にそれ強いてるからさ。
山路:それも早すぎんじゃねえの、という気もしますけれども、
小飼:早すぎる早すぎる、早すぎる早すぎる。
山路:自分の頭で考えろって、知識を身につける前に考えろってなんかあんまり意味がないような気がするんだけどな。
小飼:自分の頭で考えなければいけないんだけれども、自分の頭で考えればいいというものでもないという。自分の頭で考えて、でもやっぱり間違ってましたっていう体験を誰のせいにもできない、痛い思いっていうのを積み重ねないと大人になれないというのか、結局大人と子供の違いってそれでしかない。誰のせいにもできない失敗を、痛い目をどれだけ体験してきたかっていう。
山路:それで言うと日本って割と痛い目に合いづらい社会ではあるかもしれない。
小飼:それはある。いや、たかだか不合格ぐらいだもんな、10代で。
山路:前も言ったかもしれないけど、日本って割と凡庸な人に優しい国だと思ってるんですよね、私。
小飼:それは人類的には正しいと思う、
山路:その面で言うんだったら、日本ってある意味うまくいってると逆説的に言えないですか?
小飼:(コメントを見ながら)宿題ある国のほうが少ないんじゃなかったっけ? 僕はオランダ語は話さないんだけども、ドイツ語で宿題に相当する言葉があるのは知ってます。ハウスアフガーベって言いますね。あるんですよ(笑)。いや、でもドイツで使われてるかどうかはわかんないです。ドイツ語のクラスでは必ずハウスアフガーベがありましたね。
山路:だからこの日本っていう国があんまりそういうことに向き合わずに済んだから、みんなこういうふうな教育のシステムになってるとも言えんじゃないのかなっていう気はすんだけれども。
小飼:あー、まあでもそこはわかんないな。でも、一つ確かなのはそろそろ失われて30年になるのかな(笑)、
山路:それで言うんだったら、
小飼:ちょっと待って。確かにマクロで見ると、もうはっきり言って冴えないですよね、今の日本は、経済だけでなくて。でもその一方で、文化だとか個人技だとか、そういうところっていうのはものすごい伸びてますよね。なんかサッカーとかむちゃくちゃ強くなりましたよね(笑)。だから確かに個性を伸ばす方向には来たんですよ、日本の若者を育てるマインドセットっていうのも、社会の歯車にピッタリ収めるっていう方向は嫌いすぎるぐらい嫌うようにはなったんですよ。それは確かにあちこちに現れている。
山路:個人の活躍っていう形で。
小飼:だけどそれはこの30年の停滞を正当化するほどのものだろうかという、
山路:それで言うんだったらたとえばアメリカの大学を出た人とかのたとえば失業、職につけない割合だったりとか、学歴、いい大学に入れなかったら人生オワタみたいな感じになる人も多いわけじゃないですか。
小飼:いや、もちろん。
山路:そのところの過酷さと比べて、どっちがいいみたいなんてなかなか言えなくないですか?
小飼:それはある。
山路:あと中国のあのお受験競争の激しさだって、もう想像するだに絶対体験したくないじゃないですか(笑)。
小飼:まぁでもそれは中国人になってみないとわからんからね。いや、でもその中で勝ってきたやつらというのはやっぱりすげーよなと。
山路:そこのところって、なかなか、
小飼:そう、だから結局あっち立てばこっち立たずになるんですよ。
山路:そこのところなかなか一言では、こういうふうにやったらこうなるからいいみたいなんて言えない気がするんだよな。
「金持ちが責められなくなった日本」と「社会保障費を所得税に」
小飼:いや、でもね、一つ日本がこういう層にとっては格段にいい国になったという、
山路:こういう層?
小飼:日本のこの30年で、すごい良くなったというふうに感じる人たちっていうのはどういう人たちでしょう?