「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします。なお、有料のYouTubeのメンバーシップでは、無料部分だけでなく、限定部分の配信もご覧いただけます(YouTubeメンバーシップでは、テキスト配信はございませんのでご注意ください)。
今回は、2025年12月09日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2025年12月23日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2025/12/09配信のハイライト
- 「Netflixのワーナー買収とスポーツ」と「土地のコンマ1パーぐらいはゴルフ場」
- 「ランサムウェアとOS、ブラウザの穴」
- 「ここでGoogleの独り勝ちはヤバい」と「大家よりも偉い店子TSMC」
- 「軽自動車の規格が世界に?」と「トルコはダークホース」
- 「対等な敵と戦ったことがないアメリカ」と「日本のインテリジェンス」
- ダークマターは比較的新しい概念
「Netflixのワーナー買収とスポーツ」と「土地のコンマ1パーぐらいはゴルフ場」
山路:前回、30分以上遅れて始まって、
小飼:すみません、こちらの、
山路:あとでナオヤさんが原因を調べたところ、部屋自体の電気系統がダメになってたそうで、
小飼:ローカルな問題だった。たいていニコニコが悪いはずなんだけど、そうではなかったと。
山路:機材ではなく、この部屋自体の電気系統がいかれていたという、たしかに不運でしたなということで、ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。
小飼:あらためて。
山路:じゃあ早速行こうかと思うんですが、ちょっと前に入ってきたニュースでNetflixがワーナーのストリーミング配信部門とかそういうのを買収したよと、最終契約も結んだよということを発表してまして。
小飼:契約段階だと、まだその後にお上の、政府のapprovalがあって、そこで蹴られちゃうことがあるので、独禁法とかね。
山路:で、とりあえずこれ、どういううふうな、その買収が成立した場合でいうと、これってでかい話なんですかね、やっぱり?
小飼:でも、配信のマジョリティーを占めるかというと、これでもまだ占めてないでしょ。金額は大きいんだけど、配信に占める割合っていう点では、ディズニーの配信買ったとかっていうほうがでかいというのは、そもそもパラマウントって配信チャンネル、配信インフラを持ってた?
山路:パラマウントというかワーナーですよね、
小飼:ごめんごめん、パラマウントはあれだ、
山路:競合相手、ワーナーはHBO Maxですね。
小飼:ああ、そうかそうか、
山路:日本だとHBO MaxのコンテンツはU-NEXTがけっこう配信してたりする、
小飼:やってますね。
山路:それなんかもけっこう、全部こう『スーパーマン』とか『バットマン』とかのDCブランドとか『ゲーム・オブ・スローンズ』でしたっけ、そのへんが、
小飼:HBOはかなり伝統があります、世間がインターネットって言ってる前から自前コンテンツをやってます、
山路:ケーブルテレビ時代からっていうことですね、
小飼:その通りです、すごい伝統はあります。
山路:じゃあ本当に、それこそそれこそまだケーブルテレビユーザーをこれでごっそりみたいなことにもなったりする? かなり移行は進んでる?
小飼:とはいっても、例えばナショジオとかディズニーが持ってったし(笑)、結構あれなんだよね、他がかっさらってるのもあるんだよね、Amazonプライムとか。だけども、そうか、ワーナーか、HBOは、それは、日本から見るとちょっとわかんないけど、
山路:HBO Max自体は、直接のサービスをやってないですもんね、日本では。
小飼:HBOはでかい。その意味では。伝統的にたんに配信用プラットフォーム、HBO時代はケーブルだったわけですけれども、その上に載せるコンテンツも自分たちで作ってたっていうのではすごい伝統がある、Netflixも伝統があります。
山路:このタイミングででかい、11兆円、それなりの金額じゃないですか、
小飼:驚かなくなっちゃったねえ〜、
山路:まあね(笑)、一昔ではビビる金額ではあるじゃないですか、
小飼:でもさ、ワーナーといえば、
山路:AOL(笑)、
小飼:AOLの傘下に入ってたこともあって。AOLタイム・ワーナーがそれで出した損失額もそれぐらいだったね(笑)、
山路:はっはっは、
小飼:当時は大騒ぎになったんだけどね。
山路:あの急落ぶりは笑いましたね。
小飼:うん。
山路:笑っちゃいけないんだろうけど。AOLとかどこいったんだみたいな話ですけどね、
小飼:You’ve Got Mailっていうやつだけ覚えてる(笑)、
山路:ダイヤルアップ接続、
小飼:その通りです、
山路:中止したそうですけどね、もう。
小飼:その通りです、かつては使ってましたよ。本当にどこにも、ダイヤル口があったので。
山路:このNetflixの買収のやつ、競合相手、さっきちょっと出たパラマウントなんかが物言いをつけて、
小飼:うちはもっと、16億っていうのが出てはいたけど、
山路:さらにさらに、ラリー・エリソンっているじゃないですか、Oracleの、弾さんの嫌いな、
小飼:あはははは、
山路:その息子が今、パラマウントなんでしたっけ?
小飼:そうなのか。
山路:とにかくそこのところが競合として出てきて、
小飼:(コメントを見ながら)YouTubeこそ談合に入らないでしょ、だってGoogleだもん、GoogleというのかAlphabetだもん。ただやっぱり少し気になるのがあって、僕はYouTubeのサブスクリプションというのか、なんだったっけ?
山路:YouTubeプレミアム?
小飼:の会員で、そのおかげで広告なしで見放題なんですけども、最近けっこう昔の映画を流すようになったんだったんだよね。
山路:YouTubeで?
小飼:YouTubeで、
山路:プレミアム入ってるのに全然気づいてなかった、
小飼:サジェストのほうに入ってくるんだよ。けっこう昔のドキュメンタリーとか、それで見ちゃたりするだけども。これってコンテンツに手を出してるってこと、という。
山路:このパラマウントなんかがまたラリー・エリソンの絡みで、トランプの影響が強いという、エリソン一族。で、トランプがこの買収を認めないかもしれないっていうのが今はニュースの話題になってる。
小飼:トランプはあまり関係ない、
山路:え、そうなの?
小飼:だから、それで物言いを出すのはFCCとかだから。そういう買収とかがエグゼクティブオーダーで止められるということはまずない。
山路:ほー。
小飼:そりゃそうだよ。
山路:だけど、何らかの圧力をかけるっていうのがトランプのやり方じゃないですか。
小飼:そりゃ可能。
山路:少なくとも表に出てくるものはFCCが認可をしなかったみたいな形になるってこと。
小飼:そういうこと。
山路:これって認可を下りないってことってあると思います?
小飼:わかんない。
山路:けっこうそれはもう本当に胸先三寸というか。
小飼:いや、比率で見ると、要するにコンテンツをどれだけ支配してるかっていう比率で見ると、日本円で11兆円のディールというのもそんな大きくない。だから、独禁法では止められないよね。道義的に止める理由っていうのもあるの? ただ昔であれば、無料で流れていたコンテンツが、要はディストリビューター、配信者に買われちゃって有料化される、有料化されたおかげで要は入口がなくなっちゃって廃れちゃったっていうことはいろんなところで起きてて。日本で最近それでホットなのは、要はワールドベースボールクラシック、WBCを見るためにはNetflixに入らないとダメだよっていうやつですね。前は地上波で流していたっていうね。
山路:野球ファンからはかなりブーイングが出てるっていう話ですけど。
小飼:そういう状態が続くと、そこに入るきっかけっていうのがなくなって衰退するんじゃないかと。実際にゴルフとかはそれでずいぶん衰退したの。僕ゴルフ大っ嫌いなのでザマミロなんですけど。
山路:いろいろ嫌いなスポーツあるな(笑)。
小飼:ザマミロなんですけれど。野球はそこまで嫌いではない。わりと統計フェチっていうところもあるんだけど。
山路:しかし、それで言うんだったら、サッカーって地上波放送、なんかほとんどなくなりましたけど、人気じゃないですか。
小飼:でもワールドサッカー、フットボールは流すの。
山路:なるほどね。
小飼:FIFAも流せって言ってますし。それで私有化する圧力っていうのは全部FIFAが弾いてるわけ。
山路:WBC主催してるのはメジャーリーグのほうですよね。
小飼:そうですね。
山路:メジャーリーグの方ほうはあんまり、もうそういう入り口戦略のことは考えてねえってことなのかな?
小飼:儲かればいい派が多いといえば多いですよね。USAなものというのは。
山路:スーツ着た商売人がやってるみたいな感じが、
小飼:別にアメリカンフットボールというのを世界中に普及させよう、ということもあんましてないですよね。
山路:アメフト。
小飼:そうだね、日本語のアメフトほうが楽だね。そう、だからフットボールって言った場合、米語だとアメリカンのほうを指すけれども、それ以外ではもうサッカーのことを指すので、フットボールなので。足球なので。
ビジネスの世界ではゴルフって重要らしいんですけど、
山路:全然プレイしたことはないですか?
小飼:ごめんなさい、僕はわかんないです、それは。その辺は堀江さんとかのほうがよく知ってそうなので。よく知ってそうな人に聞いてほしいなと思います。
山路:全然ゴルフはしないんでしたっけ?
小飼:親父がゴルフ場の支配人だったんです。これはするわけないでしょ。近づくわけない。まだね、野球のほうは単にテレビのチャンネルを取られちゃうっていう、その程度のことなんだけれども。
山路:もう坊主憎けりゃ袈裟まで憎いみたいな感じで(笑)、
小飼:いや本当に。それはダメだわ。ダメだわ、もう無理。無理だしで、実際にひどいじゃん。要は土地の使い方っていうのを見たとき、日本の土地のコンマ1パーセントぐらいはゴルフ場なんですよ。
山路:え、そんなに?
小飼:そんなに、でしょ。コンマイチって聞いただけだと、あれ、そんだけっていう、
山路:だけど日本は全国の平地なんてわずかなものじゃないですか、
小飼:そうです、日本は7割が森なんですよ。だから、そういう森を無理やりひっぺ返してクマとかを追い出して作ったのが日本のゴルフ場なんです。来る人が減ったっていうんで、結構な部分っていうのをソーラーパネルでも敷いとくか、になってるわけですけども。それでほんのちょいのソーラーパネルが景観に触れたり、ちゃんと土地を造成しなくて台風の時に土砂崩れで一緒に流れたりっていうとそっちのほうが大きくなるけど、じゃあ実際に日本にはゴルフ場とソーラーパネル、どっちが多いですかって言ったら、ゴルフ場のほうが20倍くらいあんだっけ(笑)、
山路:なるほどな、そう聞くとちょっとゴルフやる気なくなってくるな。いや、私はやってないんですけどね。
小飼:あとテニスとかもある。だから、やっぱりゲームがあるスポーツというのはエンターテイメントだし、エンターテイメントというのは独り勝ちを嫌うのよ。独り勝ちを防ぐようなルールをなるべく入れるようにするの。なんだけれども、例えば、放映権という形でドジャースとかジャイアンツとかではなくてNetflixとかESPNが独占しちゃうっていう。だから、そっちのほうの独占というのはあまり気にされなかったの。独占されちゃうとやっぱりそこが廃れる元になる。ゴルフの場合とか、PGAとかどこかに独占されちゃったのかな。
山路:これってそれこそ誰かが、例えばメジャーリーグがWBCをNetflix独占にしたみたいなことに関して文句言って訴えるってことも、十分にあり得ることではある?
小飼:だからあれじゃん、一番報酬をもらってるというのか、もらってた小谷さんが文句言ってたじゃないですか、
山路:大谷さんね(笑)、
小飼:ちゃんと無料でも見られるようにしてくださいと。
山路:Netflixの買収の話に戻すと、FCCの認可とかがやっぱりいるわけじゃないですか。
小飼:そこ、どうなんだろうね。
山路:認可当局はFCCとは限らないってこと?
小飼:配信する権利っていうのはFCCはちゃんと口出せるんだけど、
山路:M&Aとかに関してはまた違う?
小飼:コンテンツの場合は、そのルールが適用されるのか。例えばジブリ作品というのはジブリがどう配信するかしないかっていうのは、最終的な権利は持ってるわけじゃないですか。だから他がどうするって言っても、ジブリが首を縦に振らなければそうはならないわけじゃない、だから日本がおま国になってるわけですよね。
山路:これ、独禁法を判断する当局、この場合だとどこなんだ?
小飼:FCC、ちょっとわかんないな、
山路:ほう。で、しかも仮にその当局が差し止めたとしても、それに関して企業は訴えを起こすこともできるわけですよね。
小飼:もちろん。
山路:妥当性がないっていうんだったら。
小飼:そう、アメリカはもちろんアメリカなので、英米法なので法というのは判例の積み重ねなわけですよ。だから書かれた法があるからつって、それを読んでいけば、論理的にこうなりますというバルカン星人的には動かないわけです、実際に法廷で戦ってみないことにはわからないわけです。
山路:勝ったものがルールになるという、
小飼:そう、勝つことを積み重ねることによってルールになるっていうので。実は日本はそうではなくて、法にきちっと書いてあって、これに照らし合わせればもうこうなるだろう、だからそうならない場合っていうのはもうそれはillogical(非論理的)になるわけですよね。なんだけれども日本でも実際のところはその法をどう解釈するのかっていうのはやっぱり判例があるのとないのでは全然違うので。それは置いておいても、特に民事を法廷で裁いてもらうっていう場合っていうのは、刑事よりもはるかに判例が強いので。
山路:なるほどね。Netflixの買収、本当この先どうなるかまだまだ全然わからない。
小飼:でも、AOLタイム・ワーナーの時ほど、ときめかないという言い方も(笑)、
山路:AOLの時っていうのは、当時からしてみたら、
小飼:デカかったよ、
山路:でもこれ11兆円とかでは、同じぐらいなのか、その時の金額。
小飼:でも今はネット業界そのものがずっと大きいので(笑)、たった11兆円みたいな。
山路:時価総額5兆ドル企業とかあるぐらいですからね。
小飼:そうそうそう。
「ランサムウェアとOS、ブラウザの穴」
山路:じゃあIT絡みで、アサヒグループのランサムウェアの事件。
小飼:そっちのアサヒね。
山路:どっちだと思いました?朝日新聞のほうの?
小飼:いや、ASAHIネット(笑)、それは渋すぎるな。
山路:それは渋すぎるな。大体どういうふうに侵入されたかみたいなことも技術的なところがわかってきたそうなんですけど、
小飼:ファックスのおかげで助かったっていうので、どうなんでしょうね。
山路:どうなんでしょう。これ、いろいろけっこう詳しい情報なんかが日経のクロステックとかなんかにも載ってたりしますけど、
小飼:いや日経、信用できんからな、
山路:(笑)これ、どうです、アサヒのほうの対応っていうのは、そんなにザルだったってわけでもないようにも見えるんだけど。
小飼:そうですね。
山路:ここまでのレベルでできてる企業のほうが少ないんじゃないですかっていう気はしたんだけど。
小飼:まぁでもね、これはお前ら、いい加減Windowsから卒業しろよっていう(笑)、そういう結論になっちゃうよね。
山路:これ、全員使ってるのがMacだったら起こんなかったんですかね?
小飼:そうなったらそうなったで、MacのUIの、結局のところ、この手の事件というのは端末がやられるわけですよね。端末から入力されたものというのをクラウドでも、バックエンドでもなんでもいいんですけれども、要はヒューマンインターフェースが直付けされてないコンピューターというのは、そういうふうに解釈するので。そう、こっちなんですよ、セキュリティリスクというのは。偉い人のがこれにやられちゃうと、そこからやられちゃうわけですね。
山路:ただOSの違いというよりは、その人の用心深さみたいなところにも関わっていくんじゃないですか。特に最近ソーシャルハック的なもんだったりとか。