Richard Haass(1951年7月28日生まれ、2003年7月から2023年6月まで外交問題評議会(CFR)の議長、それ以前は米国国務省の政策企画局長、)
(米国の攻撃開始から)1週間後、トランプ政権とネタニヤフ政権はいくつかの重要な成果を主張できるだろう。両国はイランの領空を実効支配し、イランの弾道ミサイル保有数は大幅に減少した。海軍力も大幅に削減され、おそらく核開発計画も縮小された。さらに、イランの多くの宗教指導者、政治指導者、そして軍事指導者ももはや存在していない。米イスラエルの戦略的協力は深遠かつ前例のないほど広範囲に及んでいる。多くの点で、今回の戦争は、10月7日のイラン攻撃を受けて過去2年間にわたりイスラエルとアメリカがイランを弱体化させようと試みてきた努力の継続であり、拡大であると理解できる。
一方、イランはミサイルとドローンを多用し、ホルムズ海峡を通る石油・ガスの輸送をほぼ停止させている。また、この地域の12か国以上を攻撃し、損害を与えている。しかし、アメリカとイスラエルによる数千発のミサイルと爆弾による破壊的な影響にもかかわらず、イラン政権は健在のまま、支配力を維持しており、この危機を乗り越えている。
石油とガスの価格は今週、1年以上ぶりの高値に急騰し、トランプ大統領が就任した1年余り前の水準を上回っている。株式市場は下落。この戦争による米国の直接的な軍事費は推計が難しいものの、数十億ドル規模。米国は6人の軍人を失った。当然のことながら、世論調査では米国民の過半数がこの戦争に反対。
米国とその同盟国は、兵器、特に防空システムを持続不可能な速度で消耗させている。
明確に言えば、持続不可能な理由は二つある。第一に、システムの製造速度に厳しい制限があるため、システムの交換ペースをはるかに上回るペースで使用されていること。第二に、イランの安価なミサイルやドローンと、米国の非常に高価なミサイル防衛システムとのコスト差は歴然としている。戦場の計算は、我々にとって全く有利に働くものではない。米国の戦争目的は依然として不明確であり、さらにそれ以上である。イランの核能力を(二度目に)壊滅させること、弾道ミサイル戦力を可能な限り削減すること、テロ組織や代理勢力への支援を削減させること、そして体制転換をもたらすことなどが含まれている。さらに混乱を招いているのは、これらの目標のうち最後の目標が一貫して明確に定義されていないことである。
これは典型的な選択の戦争であり、必要に迫られた戦争ではない。さらに、実行され
特に、政権は、なぜ交渉を継続せずに攻撃を選んだのか、多くの人々が納得できる説明をしていない。同じ政権、そして同じ二人の交渉担当者が、ロシアとそのウクライナ侵攻に関しては限りない忍耐と明確な妥協の姿勢を示してきたことを考えると、イランとの核問題に関する交渉が成功する可能性がなかったという主張を額面通りに受け入れることは困難。ローラ・ローゼンによる会談の評価や、スティーブ・ウィトコフがマーク・レビンに語った内容も確認する価値がある。
政権がなぜその時期に戦争を開始したのかは、相反する、そしてしばしば誤った主張に包まれた謎のまま。
外部の人々は、エプスタイン事件から経済に至るまでの国内問題への注意を逸らすことができると確信していたのではないかと推測している。また、ベネズエラ情勢を受け、両国間には多くの深い溝があるにもかかわらず、大統領はイランで自身と米軍が何を成し遂げられるかについて過信していたと考える理由もある。イランとの戦争は、多くの点で2003年のイラク戦争を彷彿とさせるが、米国は戦争の鉄則の一つ、すなわち「十分に理解していない国を攻撃してはならない」という原則に違反した。
今後どうなるか
一つのシナリオは、戦争が継続。これは明らかにイスラエル政府の思惑。イスラエル政府は、イランの弾道ミサイル備蓄をさらに削減し、ヒズボラを弱体化させ、少なくともある程度の体制転換、すなわちイランに非イデオロギー的で世俗的な軍事指導部をもたらすことを目指している。
イランと米国の思惑は、流動的であることもあって、容易には見極められない。
イランが戦争終結の根拠としているのは、国内の権力を強化し、国家の健全性を維持し、軍事力と経済力のさらなる弱体化を回避すること。イランが戦闘を継続する理由は、長期戦のコストを乗り切る上で、米国よりも自国の方が有利だと判断している可能性。米国は、対処が困難な国内の経済的・政治的圧力に加え、国際関係における優先事項との競合に直面。このため、停戦条件の交渉において、イランは戦場の結果が示唆する以上に大きな影響力を持つ可能性。
全体として、数週間、あるいは数ヶ月にわたる戦争継続の根拠は薄い。トランプ政権は、軍事的利益の減少と国内の政治的・経済的コストの増大に直面している。より具体的には、軍事行動を継続すればイランの軍事力をさらに低下させることはできるが、その能力を完全に排除することはできない。ほんの数発のドローンやミサイルで、この地域の製油所や浄水場に計り知れない損害を与えることができ、いずれにせよ甚大な経済的・社会的混乱につながるだろう。そして、歴史が幾度となく教えているように、戦争が終われば、いつでも能力を再構築できる。
同時に、戦争の継続はアメリカ国民の犠牲者の増加につながり、政権自身の国家安全保障戦略と矛盾し、他地域の安全保障上の課題に対処する上でアメリカは著しく弱体化し、アメリカ経済にも深刻な打撃を与えることになるだろう。これは、中間選挙が近づく中で、大統領が望んでいることではない。国民への説明や議会との協議がほとんど行われないまま、この事態に至ったことは、彼の政治的脆弱性をさらに高めるだけだ。
更なる戦争がイランの体制転換をもたらすと信じる理由はほとんどない。これまでのところ、体制転換の実現に必要な安全保障体制や政治体制からの大規模な離反は見られない。戦争が継続することで、多少異なる政策を持つ指導者、つまり長らく両国を分断してきた問題に関してより妥協する姿勢を示す指導者が権力を握るかどうかを見極めるのは困難である。
イスラエルの指導者たちは、これらの評価の多くに異議を唱え、両国がイランへの攻撃を継続すべきだと主張するだろう。したがって、米国がイランとの戦争終結を迫る決断には、ネタニヤフ首相に対し、彼が望むよりも早く軍事作戦を停止するよう圧力をかける決断が伴わなければならない。トランプ氏はイスラエルにおいてこれを行う政治的立場にある。肝心な問題は、彼がその努力をする意思があるかどうかである。
一方、政権は既に「任務完了」を宣言し、軍事目標を達成し、国内政治改革のために部外者が合理的に期待できる限りのことをしたと主張する立場にある。戦争においては、他の多くのことと同様に、「十分に良い」ことは、おそらく入手できないであろう「最善」よりも好ましい場合がある。Home & Away
孫崎享のつぶやき
リチャード・ハース「イランの弾道ミサイル保有数は大幅に減少、核開発計画縮小。宗教指導者、軍関係者抹殺を成果にする。だがホルムズ海峡失室的に閉鎖。イラン政権は健在、支配力を維持。米国の直接的な軍事費は数十億ドル規模。米国世論調査国民の過半数この戦争に反対」
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「米国の戦争目的は依然として不明確」
が最大の問題です。
レジームを変革するには米国は地上部隊をイランに投入しなくてはなりません。それは出来ないのではないでしょうか。何故なら、米国内の世論が許さないから。
そのうちに、ロシア、中国、北朝鮮のイラン支援が始まるでしょう。勿論、相手が狂犬のネタニアフとトランプですから、何するか分からない。一番怖いのは核使用。従って、人道支援の体裁を取るでしょう。
中東は宗教が政治に色濃く反映されており、イランの体制のみに攻撃の正当性支持できない。
問題は核保有であり、不透明である限り、核保有の疑念を一掃できない。
トランプ氏の意図は、宗教政治の打破であり、主要な人物はなくなっており、軍事目標の「任務完了」宣言し後任の指導者選択問題に移っている。トランプ氏の一方的筋書きでありイランが唯々諾々と受け入れるとも思えない。イスラエルの意図は「継続」であり、両国の不安定な関係が戦争状態を続けるということになるのでしょう。米国が加わると周辺国が迷惑する。
残る問題は台湾問題であるが、民間人に危害を与えず、侵攻し体制を変えるということは困難が伴う。イランの事例を参考にして、被征服国台湾の人々が中国を受け入れるまで辛抱強く待つことが人民軍も人民も納得できる賢明な方法でしょう。
>>2
異議あり。
1.トランプの意図はエプシュタイン・スキャンダル追及から逃れるためにイランのトップを暗殺したのです。イランの軍はそれに対して激しく反撃を加えています。テルアビブは只今イランのミサイル攻撃に会って多大な損害を被ってます。又、カタールにある米軍基地(最大規模のもの)が昨晩ミサイル攻撃を受けて米のみならず世界の専門家を震撼とさせてます。
2.イスラエルは米国の支援でしか存在できない脆弱な国です。現在トランプの国際法違反の戦争に対して米共和党の議員が反旗を掲げており、トランプの対イラン戦争は米国内の反対でストップさせられる見通しが立っているようです。
3.イランはトランプの今回攻撃は背後にエプシュタイン・スキャンダル隠しがあると告発し始め、世界中でキャンペーンを始めてます。米国世論もそれに呼応する傾向が出てきました。
4.カナダは米国との経済断絶を宣言しました。トランプは狂ってカナダ人の米国内預金口座を凍結しました。
トランプは内外から追い詰められてます。
「異議あり」と言われてもねえ。
孫崎さんの記事の主旨の「軍事的任務完了」とか「継続」を反復し唱えているだけです。
中国の事例は、イラン応用編で台湾を武力で侵攻するのは避けたほうがいいと言っているだけです。
>>4
イランの応用編で台湾を武力で侵攻する主体は高市ですよ。
侵攻と言うのは、ウクライナのネオナチ/シオニズムの合体、イスラエルのシオニズムと米国のキリスト教/原理主義の合体、そして最後に高市を支える勝共連合と神道軍国主義の合体にしかないイデオロギーが起こすものです。
中国は台湾の平和的統一を目指しております。その為に100年かけても良いと考えております。中国共産党は平和を求めてます。余談ですが、美国では平和主義は共産主義より害があると言う認識です。勿論、米国のDSの認識ですが。
ツトさんも、このスクールにジョインして一年過ぎました。上記のようなメカニズムについては分かっていなければ嘘ですよ。
>>5
あなたはファクトで判断するのでなくあなたの勝手な判断で話をしている。
台湾進攻は、習近平が言い出したことです。だから日本人が騒いでいるのです。
高市氏は、国会で岡田氏の執拗な質問に対し最後の判断を書いているものを口で言っただけのことです。
前提は中国が台湾侵攻があって、米国が交戦することがあった場合、日米安保条約集団的自衛権行使をするということである。前線で戦うとは言っていない。
何が問題か私にはわからない。当たり前のことを当たり前に日本の国会で話したということであり、世界に宣言したということではない。
日本人の多くは高市氏の発言を支持しているが、あなたのような極めて少数の親中の方たちが騒いでいるに過ぎない。
>>2
異議あり
「残る問題は台湾問題であるが」
あなたはイラン問題の孫崎さんの文に台湾問題を入れるのですか?
孫さんのサイトを中國批判の利用しているのです。
私はたかが110円を払っている一読者です。
ただ誠実な人生を送っている孫さんに代わって、異議あり。異議あり。異議あり。
確かにイランは戦力を消耗したのであろうが、一方、アメリカ帝国やイスラエルも事情は同様だろう。「開戦から36時間で米イスラエル軍の軍需品は3,000発以上消費された」
https://archive.md/2026.03.06-023657/https://foreignpolicy.com/2026/03/05/iran-war-munitions-critical-minerals/
------------引用ここから------------
一見単純な兵器でさえ、複雑な連鎖構造に依存している。例えば、現代の兵器誘導キットは、中国が支配する希土類元素からしか製造できない高性能部品に依存している。西側諸国の産業基盤は、原材料の発注、契約の締結、資金の承認など、いくつかの要素を迅速に増強することができる。しかし、熟練した労働力、適切な工具、そして認定された生産能力を一夜にして生み出すことはできない。
(中略)
消費された資源を補うには、抽象的な規模の生産量の増加だけでなく、中国が供給の大部分を掌握している特定の鉱物や素材を大量に必要とする。量の問題に加え、加工の集中、生産能力拡大の長期化、そして二次サプライヤーの脆弱性といった多くの問題が伴う。
膨大な弾薬量に加え、高価値資産の喪失は、事態をさらに複雑化させる。カタールのAN/FPS-132とバーレーンのAN/TPS-59という2基の米軍最新鋭レーダーの破壊は、「鉱物資源」の総重量よりも、サプライチェーンの極度の脆弱性と交換までの長期にわたる期間が大きな懸念材料となっていることを浮き彫りにした。
------------引用ここまで------------
上記の記事によると、加えて最新鋭レーダーが破壊された、とある。この点について、さらにMoon of Alabamaによる解説を引こう。
------------引用ここから------------
AN /FPS-132は大型の固定式早期警戒レーダーです。米国は国土防衛のために5基を保有しており、他に購入したのはカタールだけです。AN /TPS-59は、大型のトラック搭載型航空監視レーダーです。
しかし、これらのレーダーの喪失よりもおそらくもっと痛手なのは、THAAD対ミサイル防空大隊の中核を担う少なくとも4基の移動式ミサイル防衛レーダーAN/TPY-2の破壊である。THAADシステムは、イランの弾道ミサイル攻撃をある程度確実に阻止できる唯一のシステムである。AN/TPY-2レーダー誘導がなければ、THAAD大隊の48基のミサイル搭載機はほぼ役に立たない。
運用中のAN/TPY-2レーダーシステムは世界で合計12基しかありません。これらのレーダー1基あたりの価格は約5億ドルと推定されています。新規に建造可能であれば、おそらく10億ドルを超える費用がかかるでしょう。
これらのシステムのうち5~6基は中東に配備されていました。現在までに少なくとも4基が破壊されたことが確認されています。
------------引用ここまで------------
レーダーの破壊については、CNNも報じたので、念のため以下にリンクをはる。
https://www.cnn.com/2026/03/05/middleeast/radar-bases-us-missile-defense-iran-war-intl-invs
以上の状況から、アメリカ帝国は周辺の空軍基地の利用が出来なくなっているという、軍事アナリストの分析がある。これらのことにより、アメリカ帝国は「戦略的敗北」に陥るというのである。
https://open.substack.com/pub/policytensor/p/why-the-us-is-facing-strategic-defeat?utm_source=share&utm_medium=android&r=2kgjrr
------------引用ここから------------
これはつまり、曲線が下降ではなく上昇していることを意味する!イランの能力を低下させる極めて重要な封鎖作戦は、大きな挫折を喫した。だからこそ米国は第三の空母を急いで同地域に派遣しているのだ。近隣の空軍基地をほとんど使用できないため、その穴埋めには海軍航空戦力に頼らざるを得ないからだ。
しかし、真剣な軍事アナリストなら誰でも、空母打撃群で維持可能な数十回の出撃と、陸上航空部隊で維持可能な数百回の出撃とでは、達成可能なことに深刻な限界があることを指摘するだろう。したがって、これは米国にとって紛れもない軍事的惨事である。
トランプ政権は今や自ら招いた深刻な窮地に陥っている。軍事的解決策は見通せない。THAAD防衛システムの破壊と迎撃ミサイル在庫の枯渇により、イランの対価値戦略は米国とその同盟国、そして地球上のあらゆる国々に、減少するどころか増大するコストを強いることになるだろう。イランの対施設攻撃が驚異的な成功を収めた結果——同地域の米軍基地は事実上使用不能に追い込まれた——ドローン戦争の戦術が有望であったとしても(私が示した通り、それは有望ではない)、米国は十分な出撃回数を確保できない。
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オルタナティブメディアやSNSには、アメリカ帝国敗北必至という評価が多数派のようだ。私は停戦和平を期待するが、勿論、それはアメリカ帝国やイスラエルの勝利を確信し、期待するからではない。
>>6
台湾侵攻:中国は一つの中国を破る行為を絶対に許さない。もし、やれば、実力行使を避けるわけにはいかないと言っている訳です。主権国家としては当然です。高市はおれに反対している。これは明らかに内政干渉です。あの野蛮な米国でさえそのことを弁え注意しているのに頭の悪い高市は自分の発言の意味するところを分かってないか、本当に高市は戦争する気でいるかもしれない、であれば、それはそれで一つの政治家としてのスタンスはあり得るわけで、中国はそう捉えて敵国として日本に対処しているのです。
中国は現状維持で台湾に対処します。日本に対しては日中平和条約を守れと要求しそれを拒絶する限り日本とは正常な関係は維持できないということです。
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