きつねになりたい朝の話を書く。
朝起きて最初に食べるものはバナナであることが多い。
なぜか。
バナナは裏切らないからだ。
バナナはバナナとしてシンプル。
どんなバナナでも想像し得る範囲内のバナナとしてそこにある。カリウムも豊富で消化にもいい。
演目によっても変わってくるが、
本番期間中は、バナナの2時間後くらいに軽食を食べたりする。
この軽食は温かいきつねそばであることが多い。
きつねそばも裏切らない。どんなきつねそばも想像するきつねそばとして眼前に現れる。
なぜ、こんな話を書いているかというと、とある「そば」を食べながら気づいた事があるからだ。
それは、想像したものが想像したものとして現れる価値について、だ。
ある日の本番前、きつねそばを食べようと店に入るといつもは売り切れている名物の限定そばがまだ販売中であった。
クチコミなどでも評価が高かったし、その店の名物というパワーワードや、まわりのサラリーマンの皆様もおいしそうに食べているのでその仲間入りしたいという気持ちから、気づいたらその食券を握りしめていた
そのそばの正体は「よもぎ天そば」である。
「よもぎってその辺に生えてる雑草でしょ?」という、かつて野山を駆け回って、シロツメクサの王冠を被っていたワイルドプリンセス(プリンス)な読者の方も多いとは思うが、この店のよもぎはよもぎ農園で育った由緒正しき新鮮なよもぎだそうだ。
よもぎ天そばが眼前に着丼すると、シロツメクサの王冠よろしく、新鮮なよもぎが束となった天ぷらが、お椀からはみ出んばかりにそばの上に乗っていた。