超大国の米国の衰退、中国の興隆と経済停滞、
ウクライナ戦争の勃発と、その結果、プーチン・ロシアが戦略的な大損害を受けること、
イラン空爆など、
次々と国際情勢の予測が的中する
超一流の国際関係アナリストの北野幸伯氏の最新刊
『[新版] 中国に勝つ 日本の大戦略』 育鵬社 2026年10月10日
をご本人から頂き拝読した。
(以下Amazonより商品案内欄より転載)
2025年10月、習近平の天敵・安倍元総理の愛弟子・高市早苗氏が総理大臣に就任。
習近平は、再び動き始めました。
2025年11月、『反日統一共同戦線戦略2.0』を始動させたのです。
世界中で毎日行われている反日プロパガンダ。
世界最強国家アメリカ大統領にも「フェイク情報」を信じ込ませる巧妙さ。
世界一「お人よし」で「信じやすく」「だまされやすく」「ナイーブ」な日本に勝ち目はあるのでしょうか?
(中略)
最上の戦いは、「相手の謀略(あるいは戦略)読んで無力化させること」。
「・・・・しかし、中国の戦略をどうすれば知ることができますか?」
ご安心ください。
この『【新版】中国に勝つ日本の大戦略』を読むことで、中国の戦略を完璧に理解することができます。
もちろん、中国の戦略を「無力化させる方法」も。
控え目にいっても、日本は今、「戦後最大の国難」に直面しています。
ここで道を間違えば、「また敗戦」ということになるでしょう。
しかし、賢明な選択をすれば、戦争なしで中国に勝つことも可能です。
その方法を、この本に詳述しましたので、迷うことなくご一読ください。
北野幸伯
(転載終了)
今回の新刊は、9年前の2018年に発売され大ヒットした『中国に勝つ 日本の大戦略』を
最新の国際情勢に合わせて全面的に改定させたものである。
内容は、タイトルにある通り
日本が、習近平主席が率いる中国に勝つ、
という観点から現在の国際情勢の分析と
日本の今後の取るべき進路が書かれている。
北野氏は、
「日中戦争はすでに始まっている。」
という。
「戦争」と言っても様々なパターンがあり、
「情報戦」をしかけて敵国を悪魔化し、
「外交戦」によって味方を増やし、敵国を孤立させ、
「経済戦」によって敵国を弱体化させ、
相手が十分に弱まったところで必要ならば「戦闘」を開始する。
このような状況において日本のとるべき対策を次のように提案している。
まず、この複合戦に勝つには、
「日本がなぜ第二次大戦に負けたのか?」
を考えなければならない、と述べる。
日本が第二次大戦で無条件降伏と、
その後の米軍による占領という完敗をしたのは、
戦前の日本が世界から孤立していたからだ、という。
もちろん日本は日・独・伊の三国同盟を結んでいたが、
ドイツとイタリアは遥か遠方の欧州国であった。
日本の周囲は、米国、中国、ソ連、英国領、オランダ領、と全て
敵国(ソ連は潜在的な敵国)によって囲まれていた。
これでは、負けるのは必然だった、と北野氏は述べる。
日本が国際社会から孤立が深刻化したのは、日本の統治下にあった満州国の権益の件で、
国際連盟から否定されたことに抗議して脱退した1932年だった、という。
その結果、孤立した日本は、侵略していた中国はもちろん、英・米・仏・ソ連などを敵に回すようになった。
孤立化した状態で、中国、米国、英国と戦争を続け、中立条約を結んでいたソ連に裏切られて無条件降伏に追い込まれた。
中国は、日本に対して戦争においては連戦連敗だったのに、
仲間づくりに成功したことで、戦勝国になることができた。
だから、日本が大国になった現在の中国に勝つには、
・孤立しないこと
・仲間を作ること
であると述べる。
そのために、米国、欧州、インド、オーストラリア、韓国、東南アジア諸国と連携せよ、という。(前作の本ではロシアが入っていたが、ウクライナ戦争以降のプーチン・ロシアの戦略的敗北と中国への属国化で難しくなった)
日本は仲間をたくさん作ることで習近平・中国の覇権主義に対抗できる、という。
そして、仲間づくりにマイナスになる一つの事例が、
日本人の多くは意外に感じるかもしれないが
「首相などの公人による靖国参拝」だという。
安部首相が靖国参拝をしたときに、中国は「反日共同戦線」を作るのに
この件を最大限に各国に宣伝してまわった。
A級戦犯を祀る靖国神社を首相が参拝するという事は、
戦後の秩序に対する反対表明と映る。
そのことに反感を持つのは、中国や韓国だけでなく、
米国、オーストラリア、台湾、東南アジア諸国、ロシア、欧州など、ほぼ全世界である。
日本で戦前を美化する軍国主義が復活している、という中国の宣伝が行われ、
反日共同戦線を作るのに利用されてしまった、と指摘している。
そのため、中国に付け入る隙を与えないためにも、首相による靖国参拝は
行うべきではない、という。
私もその通りだと思う。
プーチン・ロシアがウクライナ侵攻を正当化している理由の一つは、
現在のウクライナ政権が、戦前のナチスと一時的にでも結びついた
ウクライナ民族主義の指導者を英雄視していることにある。
プーチン・ロシアはこのウクライナ民族主義の指導者をナチスと呼び、
それを英雄視しているウクライナ政権もナチスである、
と述べて侵略を正当化する口実の一つにしている。
首相や大臣などの公人の靖国参拝は、戦前のA級戦犯を英雄視していると中国には映り、
日本を戦前と同じ軍国主義政権、とレッテル張りする国内外の宣伝に利用されかねない。
日本の安全保障や国益の観点から見て、
公人の靖国参拝はリスクがありすぎるので控えるべきである。
以上のような北野氏の意見に納得する一方で、
今後、中国の成長は停滞する、
また米軍基地を閉鎖すると中国が尖閣と沖縄を侵略する、
という意見に関しては、以下のような疑問も持った。
これは2019年に出版された北野氏の本の感想でも述べたことだが再度添付する。
ロシア政治経済ジャーナルの北野幸伯氏の新著『米中覇権戦争の行方』の感想 正確な現状認識を促す力作 天野統康のブログ 2019年11月15日 より転載
赤文字の文章は今回付け足し。
・北野氏は今後の中国の経済の衰退を日本のバブル崩壊後の経済停滞を事例にして、国家サイクル論(移行期→成長期→成熟期→衰退期)から必然的な流れとして語っている。
既に成熟期に入った中国は今後衰退期に入り、日本経済と同じく停滞するのが必然だという。
しかし日本のバブル崩壊後の失われた30年は、世界的に見ても例外的な事例である。
この30年間の日本の経済成長率は、同じように成熟した先進資本主義である欧米諸国と比べても低く世界最低だった。
経済成長率が世界最低という例外的事例であるバブル崩壊後の日本を普遍的な事例として引き合いにだし、今後の中国経済は大失速する、と述べるのは適当ではない。
確かに国家サイクル論は長期に渡る経済成長の特徴を表す理論としては有効だ。
しかし今後の中国経済の成長率が日本のバブル崩壊後のように世界最低水準に落ち込む可能性は低いと思う。
80年代までジャパン・アズ・ナンバーワンと言われていた日本経済が世界最低の経済成長率になってしまった原因については、日本の特殊な状況を考慮しなければならない。
それは、日本が米国の植民地的属国であり、そのもとで経済成長の必要条件である実体経済向けの信用創造量の伸びを低く管理されてきたためだ。
全国に米軍基地が張り巡らされている日本と違い、中国は他国の軍事基地が国内に一つもない独立国家であり、実体経済向け信用創造量は政治の管理下にある中央銀行が完全に管理している。
そのために日本のように「他国」が意図的に政治経済の政策に関与し経済成長率を低くコントロールすることは不可能である。
また中国人は一人あたりのGDPがいまだに低く、豊かになる欲求も消費の伸びしろも強い。
一人あたりのGDPが世界の上位に入るくらいまでは経済成長するインセンティブは働き続けるだろう。
中国の衰退を経済の国家サイクル論から必然的なものだと語ると、今後の中国経済の潜在力を過小評価することになる。
・北野氏は習近平は経済音痴である。だから中国経済は失速する、と述べる。
しかし、習近平が経済音痴でも、周囲の幹部や官僚たちはそうではない。
そのことは中国がここ40年で最も経済的に成功してきた国の一つであることから明らかだろう。
習近平が専門家たちの意見を聞いて経済運営をしていけば、中国経済が停滞することが必然と述べることは出来ないだろう。
・中国は人口が減少していくから衰退する、と北野氏は述べる。
しかし、先に人口が減少していくのは、世界一の高齢化社会である日本である。
中国が人口が減っていくにしても、日本のほうが先に深刻な人口減少を迎えるのだから、それが日本が有利になることにはならない。
また世界全体で見ても、人口減少がマイナスかどうかはわからない。
なぜなら、今世紀はほぼ全ての分野でAIと自動化が主流になるのは明らかであり、
今までのように膨大な労働人口が国力の強化に圧倒的に有利な条件になるかは一概に言えないからである。
逆に、多すぎる人口は、AIの発展によって、膨大な失業者を生み出し、
国家にとって負担にすらなるかもしれない。
既に十数億の膨大な人口を抱える中国における人口減少は、国力の面からはそれほどマイナスにはならないのではないか?
・北野氏は日本が米国から自立を指向し日米同盟が衰弱すると、中国が尖閣諸島及び沖縄を侵略すると述べている。
しかし、中国がそのような軍事行動をとれば、日本は再度米国との同盟の必要性を痛感し、日米同盟の再考をするようになる。
中国にとって一番嫌なのは、北野氏が述べているように日米が結束して各国に働きかけ中国包囲網を作り上げることだ。
せっかく日米が分離してくれたのに、日本を侵略することで再度、日米同盟を構築させる事になることなど中国が行うだろうか?(実際にフィリピンは1992年に一度、米軍基地を閉鎖したが、中国の脅威が高まってきたので再び米軍の施設利用を認めるようになっている)
また尖閣はともかく沖縄の侵略となれば、日本は総力をあげて中国と戦争をするようになり中国にも少なからぬ被害が生じる。
またそのような行為をする中国のむき出しの覇権主義に対する世界からの批判は避けられない。
欧米を含む世界の国々から経済制裁が行われるだろう。
それだけの戦争を行うメリットが沖縄の侵略にあるだろうか?
それよりも衰退していく日本は放っておけばよく、広大な領土と人口を持つ自国の発展に専念すれば必然的に中国は世界一の超大国になれる。
実際、歴代の中国王朝はモンゴル帝国以外は日本のような島国を侵略しようとはせず、広大で豊かな自国の開発に専念していた。
こういう条件から日米軍事同盟がなくなれば直ちに沖縄と尖閣が中国に侵略されるというのは疑問である。
(転載終了)
現在の西側を中心とした自由民主制は、
国際的な秘密結社の権力(フリーメイソン・ユダヤ・西側支配層)
による管理という深刻な病を抱えている。
その病を克服することが第一だと私は考えている。
その病を治しながら、真の民主主義を実現させて、
民主主義国を中心とした国際社会の新秩序を
作り上げていく事が理想である。
そうするには、日本は米国の軍事的支配から独立し、かつ、
より大国化する可能性の強い中国の覇権主義に警戒しながら、
慎重な友好善隣外交を行っていくしかないだろう。
以上、長々と疑問点とそれに対する私の考えを述べたが、
今回ご紹介した北野氏の本は、「米中対立と日中対立」の観点から
世界情勢の流れを根本から理解できる必読書である。
上記に記述したこと以外にも、1980年代から米国が中国に様々な援助を行い大国に育てたことや、
オバマ政権の時代にその姿勢を一変させ米中対立に政策を大変換させた原因など
マスコミでは報道されないことが根拠とともに書かれている。
適切な情報をえることで様々な思考をすることが可能になる。
正確な世界の現状認識をお持ちになりたい方は是非、お読みください!
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