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気遣いと女子脳によって生み出された『ガールフレンド(仮)』(中編):召喚★アプリ神
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気遣いと女子脳によって生み出された『ガールフレンド(仮)』(中編):召喚★アプリ神

2014-08-22 20:00
     話題のスマホゲームのクリエイターとスクウェア・エニックス安藤武博氏が対談する連載『召喚★アプリ神(ゴッド)』。週刊アスキー本誌で掲載しきれなかったインタビュー内容を3回に分けて掲載します。

     第3回目のゲストはこの人、サイバーエージェント『ガールフレンド(仮)』のプロデューサー、横山祐果さんです。

     なお、第4回のゲストはDeNA『三国志ロワイヤル』の山口恭平さん。このインタビューを読んで気になっていただけた方は、8月26日発売の週刊アスキーをチェックしてみてくださいね。

    ガールフレンド(仮):召喚★アプリ神 ↑サイバーエージェント『ガールフレンド(仮)』プロデューサー、横山祐果さん。

    ■ GFの魅力その1 女の子らしい言葉選びとシチュエーション

    安藤:GFには、女性ならではの細やかさが本当にたくさん詰まっていますよね。ボタンを押した時の反応やエフェクト、ボタンの配置のしかたなどももちろんですが、男の人がドキッとするツボをきちんと突いてくる。たとえばダブったカードをかけ合わせると絵柄が変わるシステムは昨今のゲームだとよくあるんですけど、GFの“進展”という機能ほど、同じカードをかけ合わせて楽しいものは、なかなかないんですよ。

    横山:うふふふ。ありがとうございます。

    安藤:“進展”させると親密度も変化しますし、初期段階だとちょっと見られないようなセリフも出てきますよね。“進化合成”ではなく“進展”という言葉のチョイスも見事だなと思います。やっぱり女性のチームが決めたんですか?

    横山:そうですね、うまく当てはまる言葉がなかなか見つからなくて、最後には「やっぱり進展かなー」みたいな。そんな感じで決まりました。

    安藤:あまりかけ離れた言葉だと、あまりかけ離れた言葉だと、遊ぶ方も「これはなんだ?」となってしまいますけど、“進展”は遊びのルールもちゃんと理解できるし、やっぱりドキドキする言葉なんですよ。女の子どうしだと「彼氏とどこまで進展したの?」なんて話したりすると思いますけど、男は「今どこまで進展したんだ?」なんて絶対に言わない(笑)。だから男子は”進展”という言葉は絶対に思いつかないですし、それでいて恋愛について語る時の言葉なので、女の子といっしょにパッと画面に出てくると男は引くどころかすごくドキドキするんです。

    横山:本当にそういう会話をしながら、みんなと知恵を絞っていましたね。

    安藤:GFでは女の子をデートに誘えますよね。そういうゲームは昔からあるんですが、GFのデートにはすごいところが2つある。ひとつは、女の子に電話をかけると相手の名前がスマホの画面のように大きく出て、本当に彼女と電話している気持ちになれる。そこにプレイステーションや普通のゲーム機ではなく、電話機でGF遊ぶ意味があると思うんです。あれもやっぱり、女性のチームで「電話っぽくしたほうがいいよね」と相談して決まったんですか?

    横山:そうですね。電話っぽくしようかなとは最初から思っていまして、そのままで行きましたね。

    安藤:もうひとつはデートの予定を書き込むスケジュール表、あれがすごく女子っぽい。女子って昔の手帳の時代でも今のiPhoneのスケジュール表でも、シールをあれこれ張って楽しむじゃないですか。

    横山:確かに、女性はスケジュール帳にすごくこりますよね。なぜか埋めたくなっちゃうんです。

    安藤:男は「このハートのシールの意味は何?」って思っていますよ(笑)。それがGFでは、男でもスケジュール表が埋まっていくと「俺、めちゃモテてるやん!?」という気分になれる。女子が手帳に書き込む気持ちがよくわかったし、男がやってもとても楽しい。もしチームのスタッフが全員男だとしたら、そこまで掘り下げられないと思うんです。

    横山:そうなんですね、なんかすごく嬉しいです!

    ■ GFの魅力その2 声優のキャスティングとキャラクターのバランス

    安藤:いちばんすごいと思ったのは声優さんです。80名以上というとんでもない数の声優さんが出てきますが、目利きがすごい。横山さんご自身は、声優さんにはあまり詳しくなかったわけですよね。

    横山:そうですね。

    安藤:本当に声優をわかっている人がやっているなと思ったのは、ロシア語を専攻している上坂すみれちゃんに、ロシアからの留学生の役割を与えてロシア語でしゃべってもらっていること。声優さんのことをわかっていないとできないし、声優ファンへのサービスにもなっている。キャスティングは男性のスタッフがやられたんですか?

    横山:声優をはじめ、アニメ等の世界に精通したプロフェッショナルが担当しています。女性のスタッフです。

    安藤:そうでしたか、すごいですね。今となってはブラウザーゲームでもしゃべるゲームが増えましたが、GFは早い段階から多くの豪華な声優さんがしゃべって、それをウリにしていますよね。結構なチャレンジだったと思うんですが、声を入れた狙いはありますか?

    横山:イラストとの相性がいいと思ったのと、あとは声という報酬がつくことでより価値が高くなるかなと思ったんです。カードゲームも各社たくさん提供されていて“レッドオーシャン”です。そこになんの変哲もないカードゲームを出しても流行らないと思いましたので。

    安藤:それ自体がGFの特色になりつつあるので、大成功でしたね。音声に関しても女性の細やかさが現れていて、いろんな場面で声を出すか出さないかが選択できるようになっていますよね。オンオフを聞いてくるタイミングが絶妙で、女子力というか、おもてなし力がすごく高いなと思います。

    横山:ありがとうございます。電車やバスに乗っていて、突然声が出ると気まずく思うプレイヤーもいらっしゃると思いますし、もしそうなったら2度とやらなくなっちゃうかなと思いましたので。

    安藤:周りの人が振り向いたりすると恥ずかしいですよね(笑)。

    横山:はい(笑)。今、プッシュ通知でも「もしもーし」っていうようになっていますけど、好評でなければやめようかなと思っているんです。

    安藤:それもまた、女性の気遣いですよね。評判はどうですか?

    横山:どうでしょう……まだ始めたばかりなので、数字としては出ていないと思います。

    安藤:GFにはいろんなタイプの女の子が出てきますよね。キャラクターをつくるうえで意識されたことや、参考にしたものはありますか?

    横山:キャラクターに関しては、声優さんをキャスティングしてくださっている方に主におまかせしています。偏ったキャラばかりならないように、正統派で一般受けする子をしっかり入れたいと思っていましたし、結構気をつかいますね。

    安藤:確かに忍者みたいな子やミリタリーみたいな子も出てきますが、個性派のキャラばかりだとのちに偏ってしまう可能性がありますよね。

    横山:そうです。ノーマルな子もしっかり入れていく、そういう感じでバランスをとりました。

    安藤:僕はゲーム業界に長くいて、偏ったキャラばかり見ているから、ノーマルな子がもはやどういうものかわからないんですけど(笑)。横山さんのような、ゲームに毒されていない人が思うノーマルなキャラクターとはどういうキャラクターですか?

    横山:たとえば、椎名心実ちゃんとかはいちばん普通かなと。

    安藤:なるほど、しかも心実ちゃんは人気がありますものね。

    ガールフレンド(仮):召喚★アプリ神 ↑ロシアの留学生ユーリヤ・ヴャルコワ。CVはロシア語が得意な上坂すみれさんをキャスティングした。

    ■ GFの魅力はすべてに意味を持たせる気遣いと女子脳によって生み出された

    安藤:女性の細やかさのことも触れましたけど、GFは一挙手一投足のプレイに無駄がないように、ゲームの中にあるものすべてにちゃんと意味をもたせる相談をみんなでしているように思えるんです。例えば“登校”の“ガンバル!”というボタンは、フィーチャーフォンの時代だと目をつぶってボタンをポチポチ押していれば進んでいきますけど、GFでは押すと必ず誰かが何かをしゃべりますよね。そのセリフが細く変わっていくし、たとえば七夕のイベントであれば、それに関係したことを言ってくれる。そのあたりももやはり気にして作られたんですか?

    横山:そうですね。会社に入ってから、ページには意味のあるものしかおかないようにと先輩に教えられてきましたから。

    安藤:それはサイバーエージェントイズムなんでしょうか、あるいはウェブサービスの鉄則なんでしょうか?

    横山:そうですね、ウェブサービスをつくるときにそういうふうに言われてきたので、できるだけ無駄を省いて、無駄なページも意味をもたせるようにという意識はしていました。

    安藤:本当に全部、見事に意味がありますし、そこがやっぱり細やかな感じなんですよ。今まで僕らは男性脳を駆使してゲームをつくっていましたが、女性脳によってつくられたGFでこれまでの常識やセオリーを覆された気がします。でもとても納得がいく覆され方なんですよ。GFは新しい発明と発見が詰まったゲームだと思いますし、つくり上げた横山さんもすごいと思います。

    ガールフレンド(仮):召喚★アプリ神 ↑スクウェア・エニックスプロデューサー、安藤武博氏。

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