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MTGと○○ vol.1「 全てはプロレスであるということ」
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MTGと○○ vol.1「 全てはプロレスであるということ」

2014-10-11 11:48

    author:岩SHOW

    全てはプロレスなんである。いや山ほど異論はあるだろう。しかし、それを受けきってこそのプロレスである。

    突拍子もない挨拶で始まった「不定期思い付き」企画、「MTGと○○」
    「その人がハマっているものは根底で同じである」という持論を振りかざし、MTGにドップリ浸っている僕が、他に好きなものとそれらの、いわばシナジーを検証するコラムであり、要するに「僕は○○が大好きなんです^^」の垂れ流しである。ごく一部の方だけがウンウンとうなずいてくれれば、それで結構!(いや、皆読んで楽しんでくれたらそれが一番嬉しいですよ)

    第1回は…「MTGとプロレス」



    これ、1回目から核心をついちゃいましたね。何故ならね、マジックは…世の中の全ては…プロレスだということだよ!!!


    ・「メタ」と「正規軍」

    マジックには「メタゲーム」がある。メタとは「高次の」「超越した」という意味の言葉で、漫画なんかでも「メタ発言」という単語が頻繁にみられる昨今では多くの方に認知されていることかと思う(赤いタイツの問題児がすっかり有名になりましたね。これについてはいつかアメコミ編でお話しできたらいいな)
    このメタゲームとは、「ゲームの前のゲーム」とでも言おうか。あなたがデッキを作り、トーナメントにエントリーして実際にゲームを行う。その実際にプレイするゲーム以前に、もうゲームは始まっているという考え方である。例えば今現在、赤単が流行っているのであればそれに強いライフを守れるデッキを選択すればいい結果が望めるだろう。しかし、そのデッキでは別のベクトルで攻めてくる2番手のデッキには勝てっこない。では、あなたは実際にどのデッキを使いますか・どのデッキへの対策を用意しますか、という選択肢がゲーム以前に存在する。砕きまくって言うならば「デッキじゃんけん」でグーを出すか否か、そこからマジックというゲームの勝負は始まっているのである。
    数々のデッキが出現し、複雑に絡み合う相性。今ではその環境の様子そのものをエタゲームと呼ぶ。「今のメタでは○○が強いから××は選択肢にならないね」といった感じに。そのメタゲームの頂点に君臨するデッキ達こそ「トップメタ」と誉れ高き名称で呼ばれることになるのだ。近年では「カウブレード」や「デルバー」なんかが堂々たるトップメタだね

    このメタゲームというものが、プロレスにもあるのだ。プロレスを知らない人には「何のこっちゃ」としか思えないだろう。しかしプロレスを愛する人はうなずいてくれるはずだ。
    プロレスは、基本的にはチャンピオン・ベルトをその腰に巻くことを夢見る男達(女子プロのことを考えたら戦士と書くのが良いかな)の集いである。ベルトを巻くことでどのようなメリットを得られるかは、正直なところ「よくわからない」。しかし、「最強」であるということは何にも代えがたく、レスラー達はただそれを目指してしのぎを削るのである。
    プロレス団体には数多くの選手が籍を置き試合を行っているが、彼らの全てがベルトに挑めるというわけではない。ベルト戦線に加わることは、身体を鍛え上げ、技を磨き、スター性とセンスを兼ね備えたほんの一握りの連中だけである。彼らこそがプロレスの「トップメタ」だ。
    勿論、メタゲームということは流行り廃りがあるということで。残酷に見えるが、プロレスラーにも旬というものがある(いつまでも最前線で輝き続けるコンピューターでは計り知れない例外も存在するが)。この旬を過ぎれば…動きが悪くなったり、怪我をしたり、お客さんに飽きられたり…ということがあると、トップメタからは外れることとなる。こうなると、空いた席を若手が競い合うのは必然。メタゲームはマジック同様にグルグル回っている。だからこそ、面白い。

    また、プロレスには「正規軍」という概念がある。これはそのまま「(団体名)正規軍」と表記したり、ファンの中で自ずとそう解釈したりとさまざまではあるが、同団体の顔となる花形選手達のことを指す。この正規軍に対して、外人レスラーだったり、極悪非道の連中らが喧嘩を売る。これを正規軍が退ける・時には無様な負けを晒す。これがプロレスの面白さである。強くて人気の「エルフ」を相手に1ターン目から《暗黒の儀式》で《仕組まれた疫病》を貼ってくるような、露骨にメタりまくった連中が凝り固まりかねないプロレスという壮大なゲームを盛り上げてくれるのだ。


    マジックと完全に一緒やん!!



    ・「流れ」を読む力

    マジックには「流れ」を読む能力が試されるケースが度々訪れる。ゲームの中で、最も的確なアクションを行う…タイミングが早くても遅くてもミス=敗北に直結するシビアなゲームである。そこに確かにある流れというものを読み切ることで、勝利への細い糸口を手繰り寄せるのがトップクラスの実力者同士の戦いだ(と勝手に思っている)。
    また、マジックの最も楽しい遊び方の1つであるドラフトでは、文字通り流れてくるカードの機微を読み取り理解する能力が求められる。前述のメタゲームも流れがあるもので、このゲームは「流れを読み、乗りこなす」ことが出来るものが真の実力者であると言ってよい。

    プロレスにも「流れ」はある。試合そのものにストーリーがあり、その流れにノイズが混じると、試合の良さは損なわれることになる。プロレスはお客さんとの真剣勝負でもある。客席から発せられる何かを感じ、今自分にリングに上がる者として何が求められているのかを瞬時に理解する能力は、純粋な腕力よりも優先すべき何にも代えがたいものだ。総合格闘技のように、ゴング&ハイキック一閃試合終了、ではお客さんも満足できない(勿論、そういう瞬殺劇が功を奏したこともある。それも当日までの「流れ」を読んでのことだね)。ありふれた技となったバックドロップも、一番効果的に「魅せる」ことが出来るタイミングで使用すれば必殺の一撃となり得るのはマジックのゲームと同じだと言っても過言ではない。
    僕が敬愛する”ネイチャーボーイ”リック・フレアーは、齢50を超えてもチョップと4の字固めと受けのみで試合を組み立てることが出来、対戦相手の良さを引き出して自身も観客の大歓声を浴びることが出来る達人であった。フレアーは「箒とでもプロレスが出来る男」とさえ言われ、またバンバン・ビガロはそれを自称していたという。これは必要最低限のクロックで相手のライフを削りきるRUGデルバー使いや、弱いカードプールでも最適なシールドデッキを組み上げてグランプリ初日を突破するプロプレイヤー達の姿と重ねて見ることが出来るのではないだろうか。



    ・ネーミングのベクトル

    どんなジャンル・対象物でも名前というものは大事だ。立ち食いうどん屋に入って「国産小麦粉100%の茹で上げうどん~鰹と昆布の薄口だし・とろろ昆布を添えて~」なんてメニューに書かれていたら鬱陶しいことこの上ないだろうし、逆に背伸びして恋人のために予約したフレンチレストランで「鴨の焼いたやつ」とか書いてあったら興ざめにも程があるだろう(逆に行きたい説は置いといて)。
    この点は言うまでもなく、素晴らしくセンスのあるものが揃っているのが両者である。実際に比較してみよう。

    「アネックス・ワイルドファイア」《併合》(Anex)と《燎原の火》(Wildfire)で土地を攻める
    「ポエトリー・イン・モーション」味方の背中を踏み台に、コーナーにいる相手にレッグラリアート

    「ターボ・ゼロックス」軽いドローを詰め込み土地の枚数を減らすゼロックス理論の第1号デッキ
    「アナコンダ・バイス」日本生まれのV1アームロックと袈裟固めの複合技。コンボやね

    「サルベイジャー・オース」レガシー禁止カード《ドルイドの誓い》を用いたすんごい動きをするコンボデッキ
    「ピープルズ・エルボー」伝説のスーパースター・The Rockの代名詞。仰向けの相手にリングをロープからロープへ往復し、反動をつけたと思ったら立ち止まって、謎の動きをしながらエルボーを落とす技。ただの魅せ技でしかないのだが…一挙手一投足に釘付けになる「業界一シビれる技」。

    「The Rock and His Millions」ロック様と100万のしもべ。前述のThe Rockのことが好きに違いない連中が名付けたデッキ名であり、この存在が「MTG」「プロレス」が同一のものであるという、揺るがぬ証拠である。


    「みのむしぶらりんしゃん」日本が誇る浅原晃氏による、何かが伝わってきそうでやっぱりわからないデッキ名であまりにも有名なコントロールデッキ。ビートダウンでこれの相手をするのはただただ厳しい…
    「上からドン」日本が誇る中西学氏による、絵ヅラが浮かんできそうで浮かんでこない技名であまりにも有名なフィニッシュ・ムーブ。これを受けた邪道氏は身長が2cm縮んだそうだ…


    並べるだけでも楽しいではないか。競技者のネーミングのベクトルが同じ方向を向いているのは明らかじゃないか



    ・両者の今後
    それぞれに長い歴史を持つ両者(まあ19世紀から行われているプロレスと20年間リリースされ続けるマジック。どちらも凄い話だ)は、それぞれに「冬」とでも呼ぶべき時代もあった。スター不足、メタゲームの一極化、そういった「つまらない」要素にファンは驚くほど敏感である。しかしそれが純粋に面白ければ、ファンは絶対に帰ってくるものである。冬の間もただひたすらに努力し続けてきた両者は、今また新たな盛り上がりを見せ始めている。大入り満員。2000人を超すGP参加者…お客さんが集まれば、それは次に繋がる。そうやってより良いものが提供できるようになっていくであろう、これらの最高のエンターテイメント。これはまだ、もうしばらくはこの幻想の中で生きることになりそうだ。

    最後に。僕のような長くふれている愛好家ほど「○○の時代は良かった」「あの頃は△△がいて…」とか語りだす点も共通するところ。聞き流すのが吉!
    それではこの連休、健やかなマジックライフを!(PT生放送、寝不足には気を付けて!)

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