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【自然災害メモリアル】第077回:陸奥国大地震(867)の日 [防災]古来の防災教訓
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【自然災害メモリアル】第077回:陸奥国大地震(867)の日 [防災]古来の防災教訓

2018-11-16 21:00
    どうも、
    管理者のNDです。

    11月16日は、
    陸奥国大地震から1151年です。

    記録上に残る中でもかなり古い文献の記録な為、日付自体も諸説がありますが、
    一説によると、2011年の東日本大震災の前に起きた2008年の岩手・内陸地震に酷似した
    地震活動ではないかという説があります。
    実はこの陸奥国大地震の2年後に貞観地震という、当時の東日本大震災に当たる
    巨大地震が発生しています。もしまた百数十年後に三陸沖の巨大地震があれば、
    東北内陸の大地震と関連性を少しずつ、傾向だけでも研究に拍車がかけられるかもしれません。

    今回は、
    「古来の防災教訓」をテーマにお伝えしていきます。

    今でも当たり前となっているようなものから、科学的根拠がまだ定まっていなかったものまで、
    当時の生きてきた人たちからの古い言い伝えや風習などが、伝承されていることがあります。

    地震では、「長い揺れが続いたら高台に逃げろ・海岸から離れろ」という教訓が実際に存在します。
    ここでもたびたび紹介してきましたが、津波の有無がインターネットで情報を手に入れることが
    出来ない環境の時、地震の長さが大きな基準になります。
    これは、規模が強い地震であるほど長く揺れ続けるからにあります。
    M7を超えてくると、体感のある揺れの長さは少なくとも1分を超えていきますので
    そのような地震を感じたら、揺れの強さ問わずどこかで強い地震が起きたと思ってください。
    震源がわからないうちは、海岸にいるのは危険ですから安全とわかるまで決して近づかぬように
    してください。

    また、昭和の初期から「津波避難は徒歩が一番」「津波避難に車を使うな」という教訓があります。
    いうまでもなく、車で避難すると渋滞に巻き込まれたり、崩壊した影響を受けて車が通れない道に
    遭遇するなどする危険性があるからこういった言葉が生まれています。
    いずれにしても、このころから津波の脅威は教訓として活かされているので、
    地震も津波も、無謀な行動は取らない方がいいです。

    また、「地震が来たら便所に逃げろ」という一見不可解な言い伝えもありますが、
    これは、便所やふろ場は柱が狭い部屋に集中しているので、壊れにくいという構造で
    このような言葉が生まれています。事実、閉じ込められることはあっても倒壊して
    家ごと下敷きになるのを免れた人が数多くいます。
    しかし、現代でこれが必ずしも通用するとは言えなくなっています。
    最近では、風呂とトイレが一緒になった構造があるなど、必ずしも便所が細い部屋になっているとは
    限りません。一概に、すぐトイレに逃げるよりは近くにある机の下に逃げるほうが、
    揺れが強くなって廊下で身動き取れなくなるよりはましだと思います。
    また、便所に入っていた時では扉は開けてください。
    出口の確保ができるなら確保をするにこしたことはありません。

    他にも、宮城県で「地震が2度目に大きく来た時は津波」という言葉があります。
    これは、P波とS波が比較的離れているから、三陸沖など古来より繰り返し津波が起きる
    震源位置で時間差で訪れることから、経験則として書かれている可能性が高いです。
    実際に東日本大震災では、強い揺れの後、更に激しい揺れが襲っています。
    通常、この時点で断層破壊がかなり大規模になっていると思ってよいので、
    地震自体でも恐怖を感じた上に、長い揺れが続くなら大津波の心配をした方が良いです。

    そして興味深いものに「地震が来たら竹やぶに逃げろ」という言葉もあります。
    この仕組みは、竹は地盤がしっかりしていることの証で地割れ・地滑りが起きにくい
    地質になっていることから、このような言い伝えが増えたと思われます。
    また、竹やぶは根が強く張っているので、倒れる心配もかなり低いです。

    日本海中部地震では、防災林という地形が内陸部を救ったと言われています。
    林は、津波の威力を分散させる働きがあり、海岸近くに林があることで津波の襲来を防ぎます。
    海、砂浜のあとにすぐ林がある地形を見たら、そこは防災林として機能している場所と考えると
    良いと思います。また、津波だけでなく、日常でも海風を"防風林"として内陸への風を弱める
    働きもありますので、このような地形の奥にいる場合は、巨大災害にならない限りは
    貴方の家を守ってくれる、比較的恵まれた地形であると言えます。秋田・山形には実際このような
    構造になっている場所がいくつか存在しています。

    さて、言い伝えの中には地震雲や動物の異常現象にも触れた記述があります。
    しかし、現状では科学的な根拠がない為に、ここでは触れないことにします。
    実際、地震雲の中には単に天気の変わり目・季節の変わり目による特徴的な雲を地震雲と
    人が勝手に解釈しただけのものが多いです。
    尚、動物についてはなまずが有名ですが、キジもそれなりに有名だったりします。
    しかし、2匹とも好き勝手に鳴いているわけですから、ひとたび動く・鳴くだけで地震の示唆を
    するのは早とちりすぎますので、この言い伝えは鵜呑みにしない方がよいでしょう。

    今回は、東北の教訓をいくつか紹介してみました。
    経験則は自然災害においては貴重な自分の知識材料にもなります。
    被災地を訪れたり、被災者の話を聞くのもまた、一つの防災術を学ぶきっかけになりますが、
    百聞は一見に如かずという言葉らしく、地震は実際に経験することで文字や科学的根拠では
    表しづらい"何か"を学ぶことができる場でもあります。
    まぁ、そうはいっても災害は来てほしくないに越したことはありません。
    いざ来てしまった時に、流れのままにその場を過ごすよりは、陥ったその状態をいかに
    糧にして来世の自分につなげていくかが重要です。

    今日の記事は以上です。
    皆さんの防災意識に少しでもプラスすることができたら嬉しいです。

    明日もどうぞお楽しみください。
    尚、感想はブロマガコメント欄でも放送内のコメントでもお気軽にどうぞ。
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