冒頭、「Garyの娘は、お姫様ごっこをするのが好き。教育が間違っていたのだろうか?」という重厚なナレーションが流れ、不穏なBGMも相まって緊張感が漂います。
「Jadaは元カレに送ったメッセージを削除しようか迷っている。だが、それをしてしまうと“メッセージは削除されました”というメッセージだけが伝わってしまう。結果的に、最初に送っていたメッセージよりも悪いメッセージとして相手に伝わってしまうだろう」
「Frederikは、子どもたちのためにより良い世界を残そうと努力している。だが、子どもたちにより良い世界を残すためには、まずは子どもが必要だ。そして、多くの専門家は口を揃えて子どもを育てる行為そのものが環境破壊へと繋がるのであると語っている」――淡々としたナレーションとともに、さまざまな矛盾を前に困惑する人々の様子が描かれます。
「Stellaの隣人は、Maxという名前の犬を飼い始めた。Stellaの息子と同じ名前だ。隣人が犬に、人間用の名前を付けたのか。はたまたStellaが息子に、犬用の名前を付けてしまったのか。Stellaにはわからない」
「Darylは……“肉体的”になるためのアプリをダウンロードした。そこで彼は、妻と出会った。今となっては彼らが”肉体的”になることはないようだ」
「Alejandroは環境に優しい洗濯機をセール中に購入した。彼は果たして、本当に環境に優しい選択をしたのだろうか? それとも、とても、とっても悪い選択をしてしまったのだろうか?」
「Sophiaは、水道水を飲むことは身体に悪いという情報と、ペットボトルは環境に悪いという情報をそれぞれ別な媒体で読んだ。Sophiaはどうやって水分補給をすればいいのだろうか? 答えを見つけるタイムリミットは、あと3日」
「我々が住む世界は日々複雑になっていく。だから、バーガーキングも、複雑で、理解し難いことをした。チキンが入っていないけれど、味わいはチキンそのものと変わらないチキンナゲットの登場だ。植物由来のチキンナゲットだって? 一体どういうことなのか、わたしたちにもわからない」
最後までどの会社の広告なのかがわからないように設計された動画は、環境保全と健康管理、名前や価値観の多様性、テクノロジーの進歩によって発生してしまう不必要な心配ごとなど、世に存在するさまざまな矛盾にフォーカスを当て、ラストに“チキンでできていないチキンナゲット”を持ってくることでシリアスな雰囲気をユーモアあふれるものに変えつつ、しっかりと商品訴求も行っています。