色によって人に与える影響、効果が大きく変わってくることは色彩心理学の研究によってさまざまに報告されています。それを応用して、色による心理効果、行動変化を応用して、集客アップや購買促進につなげることは、カラーマーケティングと呼ばれ、古くから取り入れられてきました。

五感の中でも、目でものを見る視覚からの情報は約9割を占めると言われています。また、文字(テキスト)コンテンツよりも動画や写真、画像といったビジュアル情報の方が、脳内での処理速度は6万倍ほど早いとされています。昨今はSNSの普及により、個人が商品やサービスの写真や動画を投稿することも増え、視覚的(ビジュアル)に訴えかける手法であるビジュアルマーケティングも注目されています。

今回は、そんな「色」の印象を活用したPR・マーケティング施策10選をまとめてお届けします。

1.シンプルパッケージで、逆に目立つと評判のファミマ限定「ULTRA PEYOUNG」

ファミリーマートは、継続して取り組んでいる5つのキーワードの1つである「『あなた』のうれしい」の一環として、会員制の和牛専門店「WAGYUMAFIA」とのコラボレーションを実施。「WAGYUMAFIA」は、実業家堀江貴文氏とシェフ浜田寿人氏が手がけ、現在世界で24店舗のレストランを展開しています。

今回の企画では、「ULTRA PEYOUNG」350円(税込378円)をはじめ、昨年好評だった「ポテトチップス ULTRA GARLIC」198円(税込213円)、「ULTRA HIGHBALL」228円(税込250円)の3商品を販売。2023年12月5日(火)から、全国のファミリーマート約16,500店にて発売しました。

人気だったコラボ商品の再販とともに、新商品の登場ですが、注目はそれぞれのパッケージのシンプルさと統一性です。おいしさや味の雰囲気を伝えるために食品や飲料は華々しいパッケージになりがちなところ、真っ白で大きい文字のみの見た目は棚に並べられると他の商品との対比も相まってすごく目立つとSNSでも話題になっています。

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2.カラフルさで話題のハンバーガー、色にこだわったブランディングの次なる一手

石川県を拠点に、飲食店の企画・運営を手掛けている株式会社SU-BEEは、「日本さくら名所100選」や「ふくい歴史百景」にも選定されている足羽山で展開するBUBBLES BURGER(バブルスバーガー)にて、クリスマス限定のセットを2023年12月1日(金)より期間限定で販売しました。

自分で挟んで完成させるクリスマスバージョンのミニバーガーと、スイーツ、ドリンクがセットになった期間限定のセット。バンズはクリスマスツリーをイメージした、赤・白・黄・緑の組み合わせとなっていて、赤と白はクリスマス限定色です。

意外性のある素材と見た目のインパクトで、Z世代を中心に話題を集めているバブルスバーガー。奇抜に見えるカラフルバンズですが、じつは植物由来の7色を使用しています。Paprika(パプリカ)、Raspberries(ラズベリー)、Algae(スピルリナ)、Pumpkin(かぼちゃ)、komatsuna(小松菜)、Purple carrots(黒人参)、Charcoal(炭)の7種類が、このカラフルな見た目を実現させています。このカラフルさから、最近では自分の「推し」のカラーバンズと写真を撮るなどSNSでも話題となっています。

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3.読む・聴くに次ぐ文学の楽しみは体験型の「色写経室」

佐賀県嬉野温泉にある和多屋別荘は、旅館の新しい過ごし方を積極的に提案し続けています。2023年10月1日(日)から、自分ならではの文学インクを作成し、書くことで文学とより深く向き合える「色写経室」のアクティビティを開始しました。

「色写経室」には、さまざまなイメージが湧く文学作品を用意。作品を読んでイメージした風景やこれまでの体験、現在の感情などを表す色を混ぜ合わせることで、自分だけのオリジナルインクを作るアクティビティを体験することができます。さらに、作成したインクを使って文学作品を写経することで、新しい感覚で文学を味わうことも可能に。書くことを通じて、文学をより深く楽しめるようになっています。

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4.商業施設の仮囲いを有効活用 東京ドームに黄色いアートウォールが誕生

東京ドームシティの黄色いビルにおいて、メインカラーである「黄色」のもつ元気、楽しい、明るいというイメージから発想したアート企画<YELLOW WALL>が実施されました。

YELLOW WALLは、駅ビル・商業施設の仮囲いを中心に世の中にある空白をアートで彩るfence&art(フェンスアンドアート)が企画プロデュース。2023年から2024年にかけて実施されている東京ドームシティの大規模リニューアルにともなって登場した、工事中区画のサッシに黄色いシートラッピングを施し、ラッピングしたシートの上にポップなキャラクターが人気のアーティストSUGAR氏がアート制作を行ったものです。

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5.偉業の裏にGatoradeあり!あえてレタッチなしで舌の色を見せた意欲的なOOH

1人のアスリートの輝かしい偉業は、多くの場合周囲の協力の上に成り立っています。トレーナーや監督、管理栄養士や家族などその役割はさまざまですが、競技用の備品を提供するスポンサーも一端を担っていると言えるでしょう。大手清涼飲料ブランドのGatoradeは、アメリカを中心とした欧米諸国において多くのアスリートの喉の渇きを癒やしてきました。その結果成し遂げられた数々の偉業にスポットライトを当てることで、Gatoradeは長年陰から支えてきたアスリートたちの真のパートナーであるというメッセージを表現したプリント広告を公開しました。

3種類公開されたビジュアルはいずれも「BEHIND YOUR GREATNESS(あなたの偉業のその裏に)」というキャッチコピーで統一されており、舌の色が青や赤に変色したアスリートたちの様子が描かれています。右下には「舌の色は元の写真の状態から一切編集されていません」と書かれており、着色料の影響で舌の色が変わってしまうGatoradeを飲んでいたことがわかります。

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6.「こだわり」をあえて金一色のパッケージで表現したベビースターの大胆施策

厳選素材を使用した、こだわりのベビースター『BABY STAR RAMEN(こだわりチキン味)』が全国発売開始されました。キラリと光る一本のベビースターが異彩を放つシンプルな金色のパッケージは、味へのこだわりの証。厳選した素材本来の旨みとコク深さ、香ばしさを感じられる「こだわり」のチキン味となっています。

試作に試作を重ね、導き出したこだわりの配合は、噛むごとに香ばしさ、厳選素材の旨みやコクが強く感じられるように仕上がっています。キラリと光る一本のベビースターが異彩を放つシンプルなパッケージは、味へのこだわりの証。ベビースターファンのみならず、ベビースターを最近食べていない方にも、ぜひとも体感してほしい! そんな開発者の想いがこもったベビースターを、いつものチキン味とともに食べ比べながら楽しんでみるのもいいかもしれません。

ほぼ商品説明のないパッケージながら、金色に輝く姿は、コンビニなど商品棚に並んだときのインパクトは相当なもの。駄菓子の代表格であるベビースターだからこそ、「こだわること」がニュースになり、パッケージの異彩さも相まった大胆な施策となりました。

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7.「におい」を「色」で表す 新たな客観・定量的な指標の登場をどう活かすか

味覚を色で表す、ということは、よく目にする広告やパッケージのデザインなどにも用いられ、一般的に知られていますが、「におい」を「色」で表すというとイメージがつきにくいものです。そんな「におい」を「色」で表そうと、福岡工業大学情報システム工学科の田村研究室は、私たちが「におい」を嗅いだ時に連想する「色」をにおいの言語評価と関連させたデータを基に予測できる新たなモデルを作りました。

田村研究室は人がにおいを感じた時に連想する色とその背景にある言語的なイメージとの結びつきについて実験を行ってデータを分析。いくつかのにおいにおいて「食べられそう」「覚醒度」という評価が特定の色の連想に結びつくことを明らかにしました。

この研究から、人が感じるにおいと連想色を結びつける評価モデルを提案することができ、私たちが普段何となくにおいを嗅いでイメージする色について、規則性を解明して予測できる可能性が出てきたのです。また、においが見た目の印象や視覚に与える影響を解明できる第一歩にもつながっています。

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8.“白”をまとって華やかな夏の夜の一員になれるモエ・エ・シャンドンのパーティ が今年も開催

モエ・エ・シャンドンとともに楽しむ南仏リゾート発祥の“オールホワイト”がドレスコードのサマーイベント「Soirée Blanche ~ソワレ ブランシュ~」が2023年もグランドハイアット東京にて開催されました。

「Soirée Blanche ~ソワレ ブランシュ~」は、“オールホワイト”をドレスコードとしていて、すべての参加者は全身を白いファッションでコーディネートすることがルール。もともと南フランス コートダジュールのサントロペが発祥とされ、さまざまな国で広く楽しまれているイベントです。今回のイベントでも、白を基調とした地中海を彷彿とさせるデコレーションと、サマーラウンジミュージックの生演奏で会場全体が華やかに彩られる予定です。心地よい夜風が吹き抜けるテラスや華やかで活気のある雰囲気に包まれた店内で、モエ・エ ・シャンドン モエ アンペリアル、アイス アンペリアルと合わせて、グランドハイアット東京のシェフが腕によりをかけて用意する料理とともに楽しめます。

シャンパンのイメージにもピッタリな白をテーマにしたイベント。白というドレスコードは、参加のハードルも高すぎず、華やかな雰囲気にも合います。SNS時代ということもあり、「その場にいる」ことがさらに重要性を帯びている中、ドレスコード付きのパーティへの参加は満足度を高めてくれる施策となっています。

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9.白T専門店ならではのペアリング!”デニムのための白T”をずっと使えるエコパックで販売

白無地Tシャツに特化した世界初の「白T専門店」として、これまで累計400種類以上の白Tを取り扱い、さまざまなブランドとの別注アイテムやコラボレーションも手がけてきた#FFFFFFT(シロティ)が、初のオリジナルシリーズ第一弾「#FFFFFFT_DNM」を発売しました。

オリジナルシリーズのコンセプト「THE ULTIMATE PAIRING」にふさわしく、シリーズ第一弾は白Tとは切っても切り離せない「デニム」にフォーカス。永遠のシンプル&ベーシックを探求し続ける専門店ならではの「デニムのための白Tシャツ」が完成したものです。

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10.お馴染みのフライドポテトの色が違う!? 仏・マクドナルドの斬新な演出

多くの人が共通認識を抱いているブランドだからこそできる、シンプルながらも意外性のあるコミュニケーション手法があります。“色”を活用したコミュニケーションはその一つであり、フランスのマクドナルドはじゃがいも以外の野菜を活用したフライドポテトを発売するにあたり、同社のコーポレートカラーでもある赤と黄色をあえて変えたCMとOOHを公開しました。

ビーツやにんじんを原材料にした新商品最大の特長は、味や栄養価だけではなく一目見ればわかるほどの鮮やかな色です。意外性のある色をフックに企画されたCMでは、街中に存在するあらゆる物の色をまるで魔法のように変えてしまう少年の様子が描かれています。

OOHの方では、ドラキュラやチャップリン、怪傑ゾロをはじめとした“特定の色がイメージカラーとして存在するキャラクター”たちの色味が変わってしまった様子を表現。「新しい色、新しいベジタブルフライ」というシンプルなキャッチコピーで誰が見てもわかる真新しい商品の視覚的な特長をアピールしました。

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「色」の印象を活用したPR・マーケティング施策10選

カラフルにしたり逆にシンプルに色を絞り込んだりと、一般的にはこうだろうという既成概念を覆すような施策は、それだけでインパクトがあります。

また、色というテーマによって視覚的な刺激をもたらす取り組みは、やはり目に見えてわかりやすいことも伝わってくるまとめとなりました。

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