同商品は2023年10月3日(火)より千葉限定のファミリーマートで発売し、同年11月28日、東京に進出。インパクトのあるパッケージデザインと生乳の美味しさが消費者に支持され、一般的なミルクコーヒーよりも価格が高く、短い賞味期限にも関わらず好調な売り上げを記録しました。
他県でも消費者から販売を望む声を受けて、この度、現在の1都1県から、1都10県へ販路を拡大します。具体的には、関東甲信越(千葉県、東京都、神奈川県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、新潟県の一部)と静岡県の一部に販売エリアを拡大する予定です。
実際にX(旧Twitter)では、「ミルクの束縛のことしか考えられない」「ミルクの束縛うますぎ これがいい」などといった、「ミルクの束縛」に束縛される人が続出したほか、直接問い合わせなどで「埼玉県に住んでいるのですが、『ミルクの束縛』の発売はいつ頃になりますか?」「パッケージの『生乳、珈琲、砂糖、以上。』を信じて買ってみたら美味しくてリピートしています。この感動を伝えたくて、電話しました」などといった声も寄せられたといいます。
この商品の開発背景には、日本の酪農家の危機を救いたいという思いがありました。実は、千葉は酪農発祥の地と言われています。そんな酪農と縁が深い地から、酪農家が毎日搾る生の牛乳=生乳(せいにゅう)を使った美味しい商品を多く発売し、生乳の消費と生産を安定的に増やしたいと古谷乳業では考えていました。生乳にこだわる理由は、美味しさはもちろんのことですが、生乳を飲むことは酪農家の経営を救うことにもつながります。
しかしながら、「搾乳」は乳牛の病気を防ぐために毎日行う必要があり、搾乳によって生産される生乳の生産量はコントロールが困難なもの。そのため、生乳を使った人気商品を生み出していくことは、古谷乳業のひとつの願いでもあったといいます。
開発担当者は、「『ミルクの束縛』は、生乳を多く使うことで純粋に美味しいと感じるものを追求してできた商品です。生乳75%に込めた思いは、脱脂粉乳などの乳製品ではなく生乳のみを使った商品の美味しさを届けたい。危機的状況にある日本の酪農に貢献したいという使命感もありました」と語ります。
株式会社カヤックのコピーライター合田ピエール陽太郎さんは、「一番尖った商品名の案である『ミルクの束縛』に決めていただいた時は、古谷乳業さんの心意気に心の中で拍手喝采していました」とコメントを寄せています。
素材にこだわった商品は、従来とは異なる高価格帯となってしまうことから開発するのに勇気がいるものです。しかし、パッケージのインパクトと生乳の美味しさが消費者へ届き、その価値があると実感できれば消費者は対価を惜しまないということが実証された好例となりました。
ミルクの束縛は、従来の紙パック飲料とは一線を画す文字メインのデザインが印象的でとても目を引きます。また、商品にハマった人のことを「束縛された」と形容するのもユニークです。製品自体のクオリティ・ネーミングセンス・デザイン三拍子揃った商品ブランディング事例となっています。
・※面白法人カヤック公式サイト:「クリエイターズインタビュー」で詳しい開発秘話を紹介しています