旅先での新鮮な発見や非日常の体験、大人のこだわりをピックアップする「オトナトラベル」。今回はフランス南西部、ミディ・ピレネー地方にあるトゥールーズの街の「パステル美容」をご紹介します。
パステルは、インディゴが登場する16世紀末まで唯一の青い染料だった植物です。パリから飛行機で約1時間のトゥールーズは、その交易で栄えた街。パステルで富を築いた商人が赤いレンガや石を使って建てた豪華な館が今も残っていて、夕陽に染まるレンガの色から「バラ色の街」とも呼ばれます。
パステルは、布や革、木などさまざまなものを美しい青色に染め上げる顔料に使われますが、なんと美容コスメにも使われているというから驚き。聞けば、古くはエジプト人がパステルの葉を皮膚の湿布薬として使っていて、そのトリートメント力を生かしてコスメを作ったそうです。
日本語で「大青」とも呼ばれるパステルは、栽培して1年目に葉から青色の顔料を取り、2年目に種からオイルを取ります。これらを使って、パステル・ブルーの美しい色をしたローションや石鹸が作られます。
トゥールーズ市内で、オーガニックのパステル・コスメを使ったスパもあるお店「Graine de Pastel(グレーヌ・ド・パステル)」を訪れて、ハンドクリームを試してみました。ほのかな花のような香りの柔らかな青色のクリームでマッサージをすると、べたつき感がまったくなく、すぐ肌に浸透していきます。しっとりすべすべとした仕上がりがとても気持ちいい!
予約をすれば、ファイシャルやボディトリートメントのメニューもあって、30分で35ユーロから。ショップに置いてあるキューブ型の石鹸もとてもきれいな色で、バスルームに南西フランスの香りを運んでくれそう。パリやロンドン、ドバイにも輸出をしていて、これから注目のスキンケアです。
[Graine de pastel、フランス観光開発機構、ミディ・ピレネー地方観光局]
(文/小野アムスデン道子)
小野アムスデン道子ロンリープラネット日本語版編集Mgrを経て、価値ある旅の楽しみ方を伝えるトラベル・ジャーナリストに。海外での数多くの経験から、食・文化・アート・ファッションまで日々の暮らしに変化をもたらすヒントを得る。現在は、旅に加えてライフスタイルについての執筆・編集・翻訳も。編集『NYモダンアートを巡る旅ガイド』、翻訳『NY流 シーナのブラックドレスで365日』(共にメディアファクトリー刊)など。