Fate/stay night (Heaven's Feel) (2) (カドカワコミックス・エース)

 タスクオーナ『Fate/stay night (Heaven's Feel) 』最新刊読了。

 既に発売から十数年を経るロングヒットコンテンツ『Fate』の第三ルート、漫画版です。

 『Fate』は2004年の発表以来、さまざまな形でメディア展開して来たわけですが、『HF』はいままで触れられて来ませんでした。

 この作品は満を持しての初漫画化というわけです。

 また、『HF』は2017年に映画化も決定しているので、ほぼ同時に映像と漫画で同じ物語が展開することになりますね。

 映画も楽しみですが、まずは漫画の話。

 結論から書くと、とてもよくできている作品だと思います。

 『HF』は正義の味方を目ざす少年・衛宮士郎と、かれを慕う少女・間桐桜の物語であるわけですが、『Fate』全編でも最も昏く淫靡な話なので、なかなか漫画にはしづらいところがあります。

 しかし、作者はこの漫画版で可能なかぎり深いところまで描くことにチャレンジするつもりのようです。その覚悟やよし。

 ちなみに、この第2巻まではまだ「共通ルート」の話で、いままでの『Fate』と同じ展開をたどっています。

 セイバーの召喚とか、ランサーとの死闘といったところですね。

 新しい物語が始まるのは次の巻から。だから、次巻がとても楽しみです。

 ところどころ挟まれるオリジナルエピソードは『Fate』や『Fate/Zero』を意識した内容で、作者の原作への愛情を感じさせます。

 この漫画版は読者が本編の物語を知っていることを前提として構築されているといっていいでしょう。

 その意味では新味はないわけですが、作者がこの『Fate』第三の物語をどう料理して来るかという興味は尽きません。楽しみ楽しみ。

 『HF』は『Fate』の三つのルートのなかで最も賛否が分かれる物語です。

 ぼくは大好きなのですが、嫌いな人は嫌いらしい。

 その理由は、