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memetaa2さん のコメント

 「灰色猫と猟犬のダンス」を読みました。最後の方の読むとなんだか続きそうな感じがしますが、とりあえずこれで完結したものとして、感想を書きます。

 一言でいうと、「クライマックスの盛り上がりに乏しくて惜しい」です。レンがイシュタルの嘆きを使って大きな力を振るうところがクライマックスなのでしょうが、ここをもっとドラマチックであれば良かったですね。

 この戦いにおいてライルが現れないのは、レンの「おれにとって最大の敵になるのかもしれないな」というセリフを覚えていた身からすると、肩透かしだと感じます。ライルの目的からして、二人を真剣勝負させにくいのかもしれませんが。

 あとはリオネたんが最後の方はあまり活躍しないので、例えば「倒れたレンの盾になろうとして、レンが彼女を守るためにイシュタルの嘆きの力を引き出す」といった展開にすると、「ヒロインの活躍」「主人公がパワーアップすることの説得力の増強」の一挙両得になるかな、と。マクファとの約束も絡めると、一挙三得でしょうか。


 批判的なことが続いたので、良かったところも書きます。それは「街やキャラクターに実在感がある」ところです。シレーンの描写に関しては、ほんとうに安酒や泥水の匂いが漂ってくるようです。

 キャラクターに関しても、出番の少ない脇役や名もない一般人であっても「その人なりに今までの人生があったんだな」と思わされます。このあたりの巧みさは、海燕さんが普段から書いている文章量や読書量が大いに役だっているのでしょうね。
ライルが信念によってモーズを殺すところは好きです。結果的にレンの代わりに悪役を始末してくれてるのが面白いです。 
 
 
 ところでこの作品は、どのような読者を対象にしているのでしょうか。私は恥ずかしながら、作中に知らない言葉がたくさん出てきて、辞書サイトを開きっぱなしにしていました。ライトノベルしか読まないような人には、少しキツイかもしれません。「なろう」に投稿する予定だそうですが、向こうではこういった文章の作品ってありふれてるんでしょうか。
No.1
95ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
 『灰色猫と猟犬のダンス』の第三章です。  第三章「灰色猫と猟犬の舞踏」  1.  そして、〈その日〉がやって来た。暦によれば、柘榴月の三日である。王都は湧いていた。モーズ・アラハンド子爵には決して人望はなかったが、美しく心優しく聡明なアイビス姫は人々に好かれていたし、そうでなくても祝祭は人々の望むところであった。  日が昇り朝が来たそのときから、祭は始まった。大人から子供まで、男も女も、あらゆる種類の人々があらゆる場所で騒いだ。酒場はあふれ返らんばかりの人々で満たされた。多くの人が安物のシレーンワインで咽喉をうるおした。常は謹直で冷厳な妖精種族の人々ですら、陽気にワインを呑み、狂ったように踊った。〈シレーンダンス〉の名で知られる官能的な舞踏であった。男女ふたりがひと組となり、密接に躰を近づけ合ってときに回り、ときに跳ね飛びながら踊るというものである。自然、ふたりのあいだにはそれなりの関係
弱いなら弱いままで。
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