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「灰色猫と猟犬のダンス」を読みました。最後の方の読むとなんだか続きそうな感じがしますが、とりあえずこれで完結したものとして、感想を書きます。
一言でいうと、「クライマックスの盛り上がりに乏しくて惜しい」です。レンがイシュタルの嘆きを使って大きな力を振るうところがクライマックスなのでしょうが、ここをもっとドラマチックであれば良かったですね。
この戦いにおいてライルが現れないのは、レンの「おれにとって最大の敵になるのかもしれないな」というセリフを覚えていた身からすると、肩透かしだと感じます。ライルの目的からして、二人を真剣勝負させにくいのかもしれませんが。
あとはリオネたんが最後の方はあまり活躍しないので、例えば「倒れたレンの盾になろうとして、レンが彼女を守るためにイシュタルの嘆きの力を引き出す」といった展開にすると、「ヒロインの活躍」「主人公がパワーアップすることの説得力の増強」の一挙両得になるかな、と。マクファとの約束も絡めると、一挙三得でしょうか。
批判的なことが続いたので、良かったところも書きます。それは「街やキャラクターに実在感がある」ところです。シレーンの描写に関しては、ほんとうに安酒や泥水の匂いが漂ってくるようです。
キャラクターに関しても、出番の少ない脇役や名もない一般人であっても「その人なりに今までの人生があったんだな」と思わされます。このあたりの巧みさは、海燕さんが普段から書いている文章量や読書量が大いに役だっているのでしょうね。
ライルが信念によってモーズを殺すところは好きです。結果的にレンの代わりに悪役を始末してくれてるのが面白いです。
ところでこの作品は、どのような読者を対象にしているのでしょうか。私は恥ずかしながら、作中に知らない言葉がたくさん出てきて、辞書サイトを開きっぱなしにしていました。ライトノベルしか読まないような人には、少しキツイかもしれません。「なろう」に投稿する予定だそうですが、向こうではこういった文章の作品ってありふれてるんでしょうか。