『灰色猫と猟犬のダンス』の第三章です。



 第三章「灰色猫と猟犬の舞踏」

 1.

 そして、〈その日〉がやって来た。暦によれば、柘榴月の三日である。王都は湧いていた。モーズ・アラハンド子爵には決して人望はなかったが、美しく心優しく聡明なアイビス姫は人々に好かれていたし、そうでなくても祝祭は人々の望むところであった。
 日が昇り朝が来たそのときから、祭は始まった。大人から子供まで、男も女も、あらゆる種類の人々があらゆる場所で騒いだ。酒場はあふれ返らんばかりの人々で満たされた。多くの人が安物のシレーンワインで咽喉をうるおした。常は謹直で冷厳な妖精種族の人々ですら、陽気にワインを呑み、狂ったように踊った。〈シレーンダンス〉の名で知られる官能的な舞踏であった。男女ふたりがひと組となり、密接に躰を近づけ合ってときに回り、ときに跳ね飛びながら踊るというものである。自然、ふたりのあいだにはそれなりの関係