読書の春である。というか、春夏秋冬、読書に向かない季節というものはない。しかし、グローバリゼーションがどうのこうの、ドメスティック・バイオレンスがどうのこうのという硬くて重い本を読んでいると、やはり疲れてきて、気楽に読み飛ばせる軽い本を読みたくなる。
弱いなら弱いままで。
読書の春である。というか、春夏秋冬、読書に向かない季節というものはない。しかし、グローバリゼーションがどうのこうの、ドメスティック・バイオレンスがどうのこうのという硬くて重い本を読んでいると、やはり疲れてきて、気楽に読み飛ばせる軽い本を読みたくなる。
読書の春である。というか、春夏秋冬、読書に向かない季節というものはない。しかし、グローバリゼーションがどうのこうの、ドメスティック・バイオレンスがどうのこうのという硬くて重い本を読んでいると、やはり疲れてきて、気楽に読み飛ばせる軽い本を読みたくなる。
そこで、溜池ゴロー『軽自動車に乗る人妻はなぜ不倫に走るのか?』を手にとってみた。「いくらなんでもそれはないだろう」というタイトルだが、内容は面白い。
このタイトルにも一応それなりの根拠はあるのだが、まあ、それは本文を読んでもらうとして、内容の紹介に入ろう。本書はつまり「人妻AVのカリスマ」である(らしい)著者が語る「人妻論」であり「不倫論」である。
「人妻たちはなぜ不倫するのか?」「また、なぜAVに出るのか?」というテーマについて縦横無尽に語られている。著者によると、好んで不倫(や、援助交際)をする女性と、AVに出演したがる女性とでは明確にタイプが異なるという。
簡単にいえば、不倫に走る女性はあいてを見極め、ダンナに嘘をつき、関係をごまかしつづけられるような「器用さ」を持った女性が多いのに対し、AV出演を決める女性には不器用なタイプが多いらしい。
AVの場合、ビデオ会社という社会的に認知された組織が、「仕事」という大義名分を与えてくれる。その上、相手となる男性は熟練した「プロ」である。ここまで条件をそろえてもらったら、多少不器用な女性でも大胆な情事に耽ることができるというわけだ。
しかし、「不器用な女性ほどAVに出たがる」とは、世間的な常識とはうらはらな話ではあるな……。
最近、橋下徹大阪市長の発言(というか、失言)を巡って、「性風俗で働く女性たちは自由意志か否か?」というような議論が巻き起こったが、少なくとも「AVに出演している女性たちは皆、お金ほしさに仕方なく出ている」ということはまったくないようだ。
もちろん、お金目当てのひともいるだろうが、以前の記事で語ったように、そもそもAV女優とはそこまでお金になる仕事ではない。自分の性欲や承認欲を満たすために積極的にAVに出演する女性は多いのだ。そして、その少なからぬ割合が人妻だろう。
性欲はわかるとして、承認欲とはどういうことだろう。これに関しては非常に興味深いエピソードがある。
「女性としての自信」を喪失してAVを引退することを決めたある女優に、溜池監督は撮影時、五人の男優を用意し、「みんな、マジメな男性です。ひとりを選んでいいですよ」と告げる。
遠慮して選ぼうとしてない彼女に向け「じゃ、全員出演と行きましょう」といい、じっさい、五人全員と次々に絡ませる。
ところが、撮影後、彼女は号泣してしまう。「5人もの若い方に大事にされて、すごくうれしいし、気持ちよかったけれど、なんだか、こんなオバサンを相手に無理させてしまったんじゃないかと思ったら急に悲しくなって……」というのだ。
それに対し監督はそうではないと説得するが、なかなか受け入れてもらえない。しかし、彼女にもういちどカメラを向け、目隠しして撮影すると、今度は彼女は先ほどとは比較にならないほど「熱演」する。
そして撮影終了後、五人の男優から「ありがとうございました」とハグされた彼女は、ぽろぽろと涙をこぼしていう。「今日は、女性として大切な日になりました。監督、私は、今日を女性を取り戻した記念日にしたいんです」と。
うーん、なるほどねえ。そういうこともあるんですね。つまりは「人妻」だの「オバサン」なんて人間はいないということなのだろう。
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