• このエントリーをはてなブックマークに追加
エロは欲しいけれどポルノは見たくない! 複雑な読者心理を考える。(1999文字)
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

エロは欲しいけれどポルノは見たくない! 複雑な読者心理を考える。(1999文字)

2013-08-14 14:05
  • 2
ROOM NO.1301 #11  彼女はファンタスティック! (富士見ミステリー文庫)

 先日のオフで新井輝のライトノベル『ROOM NO.1301』についての話が出ました。いやー、なつかしいですね、『ROOM NO.1301』。

 いまから数年前の作品ですが、いまなお色褪せないものがあると思います。ただ、傑作とか名作と云い切れるかというと――どうなんだろうね。

 ぼくのなかではめちゃくちゃおもしろい小説として記憶されているのですが、一般論として傑作かと問われると少し戸惑うものがあります。

 それにしても新井輝さん、このシリーズを完結させてからずっと新作を発表していないのだけれど、何をしているんだろう。<s>なんか角川から発売される『ハルヒ』のアンソロジーに顔を見せているようだけれど……。</s>アンソロジーじゃなくて純粋新作長編ですね。つつしんで訂正させていただきます。

 まあ、それはいい。『ROOM NO.1301』のどこがおもしろいのか。ひとことで云うと、妙にエロいんですよ、この小説。最近のライトノベルとしては破格のエロさ。

 それはまあ、『デビル17』とかそういう直接的に激しい性描写を行う作品もあるわけですけれど、あれがきわめて大時代なバイオレンス小説だったのに対し、『ROOM.NO1301』は現代的です。

 何しろ、直接的なセックスの描写は一切ない。せいぜい少年漫画のお色気シーンくらいのレベル。でも、描写されないところではもうめちゃくちゃにセックスに溺れている。

 このギャップが何ともふしぎな雰囲気をかもし出しているんですね。いわばエロゲーの全年齢版みたいなもので、あたかも性的なシーンがすべてカットされているかのような印象なのです。

 それでおもしろいのかというと、実におもしろい。妙な魅力がある。しかし、その魅力の正体とはいったい何なのか。ぼくはいまでも分析しきれていません。

 ひとつ云えることは、「エロは直接描写すると陳腐化する」ということですね。ゲームのほうでは「エロゲにエロシーンは必要か」という論争が過去から連綿とつづいています。

 必要かも何も、エロシーンがないエロゲなんてエロゲとは云えないだろうという気もするわけですが、でもやっぱり「エロシーンいらないんじゃね?」という気もちはわかるんですよ。

 だって、チープなんだもん! まあもちろん作品にもよるのですが、それまで純愛やら激戦やらを描いてきた感動的な作品の内容が、そこでいっきにオヤジポルノに変化する印象がある。

 物語系エロゲのエロシーンはやっぱりワンパターンだし退屈という印象があります。

 もちろん、ポルノとしてはそれでいいというかそうでなくても困るのだけれど、でも、一作の物語として見た時、そういう陳腐な場面を差し挟まれると困ってしまう。

 物語的におもしろいエロゲに対して求めるものは物語であってポルノではないんですね。

 しかし、それなら「やっぱりエロシーンはいらないんだね」ということで終わる話かというと、そうは問屋は下ろせない。

 
この記事は有料です。記事を購読すると、続きをお読みいただけます。
ニコニコポイントで購入

続きを読みたい方は、ニコニコポイントで記事を購入できます。

入会して購読

この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。

コメント コメントを書く

俺の中学時代の愛読書がこんなところで・・・!!
当時は図書室の小中学生向け旧約聖書からウルトラマン製作陣のドキュメンタリーまで色々読んでましたが、ROOM NO.1301は以降の自分の性格に劇的に影響を与えた気がします(性への執着的に)

No.1 130ヶ月前

正確にはポルノは見たいけどセックスは見たくない! なのかなあとか思ったり。これもまた語られえぬ傑作よ……

No.2 130ヶ月前
コメントを書く
コメントをするにはログインして下さい。