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板垣恵介『範馬刃牙』が完結した。前々作『グラップラー刃牙』から数えて、じつに26年めの集結である。さらなる続編の予定もあるというが、とりあえずひとつのピリオドを打ったことは間違いないだろう。
しかし、その四半世紀に及ぶ物語の結末は、どうにも消化不良としかいいようがないものであった。さまざまな因縁が絡みあった範馬刃牙対父勇次郎の決戦は、いかにも予想通りなことに、刃牙の一方的な敗北に終わったのである。
いや、勇次郎その人は自分の負けだと考えているというような描写もあったが、客観的に見ればどう見ても刃牙の負けである。刃牙が勇次郎を一敗地にまみれさせるさまを求めた読者の期待は完璧に裏切られた。いったい、どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
作者の内心を忖度する趣味はないが、おそらく作者も自分がふくれあがらせた範馬勇次郎の虚像を崩すことができなくなったのだと思われる。
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