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既に遅すぎるニュースですが、Facebookがヴァーチャル・リアリティヘッドセットのOculusを約2000億円で買収したそうです。
このVRヘッドセットは非常な高品質で知られていて、それをFacebookが買収したということは注目ですね。
SONYもプレイステーション4の世界を拡大するVRヘッドセット「Project Morpheus」を開発中ということで、いよいよ仮想現実の時代がやって来ようとしているように思えます。
Googleの拡張現実メガネなんかも含めて考えると、あと5年くらいで「現実」の意味するものが劇的に変わるかもしれません。人類は新しい時代を迎えようとしているのかなあ、と思います。
もちろん、仮想現実という技術そのものは何十年も前から存在していて、「ヴァーチャル・リアリティ」という言葉は決して目新しくはありません。ただ、それがあたりまえの技術として市井に広まってくるとなると、やはり世界は変わるのでしょう。
10年後にはだれもスマートフォンをいじっているひとなんていなくなっているかもしれませんね。楽しみ楽しみ。
さて、仮想現実という技術は映画『マトリックス』が象徴的に表現しているように、ディストピア幻想と結びついているところがあります。
つまり、人類全体が仮想現実のゲームやセックスに耽溺してしまって、現実と向き合わなくなるのではないか、という予想があるわけです。
ぼくは『マトリックス』三部作を最初の作品しか見ていませんが、とにかくそこで描かれていたのは、その種の「仮想現実ディストピア」の究極的に突き詰められた姿だったように思います。
そこには、「現実から目を逸らすこと」に対する、倫理的な問題意識が横たわっているのかもしれません。果たして、現実の歴史もそのような道に進んでいくのでしょうか?
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マトリックスは機械に支配された人類社会というオーソドックスなディストピアだった気がする。
仮想現実――つまりは架空の快楽に溺れたりするのは、言葉でいえばデカダンスに近いのではないだろうか。頽廃した世界。
それはそれ。
セカンドライフの興亡で現実味を失った仮想現実だけれども、ふたたびビットコインの騒動でにわかに現実味が戻ってきたように思う。
現実に影響を与えないものと思われてきた仮想現実の出来事が、現実に影響を与える。
それは背反する、交わることのないと思われていた「ほんとうの現実」と仮想現実とが交差するということ。「ほんとうの現実」で起こったことは仮想現実を変化させるし、同じように仮想現実で起こったことは「ほんとうの現実」を変容させる。
いまは物語のなかでしか語られない仮想現実が「ほんとうの現実」を変えるというドラマだけれど、もしかしたら、近いうちにそういうシーンが現実のものになるのかもしれない。
ただ、そういう未来で仮想現実は「ほんとうの現実」と区別しなくてはならないものなのだろうか。
地上や海、空、宇宙といった「ほんとうの現実」を構成する空間のひとつとして仮想現実というのが存在しているのかもしれない。そんな気がする。