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辞書で「鬼才」を引く。そうすると、「人間とは思われぬほどのすぐれた才能。また、その才能をもつ人。」と記されている。この言葉は連城三紀彦にこそふさわしい。その不世出の才能は、まさに「人間ばなれした」と形容したくなるような一種の凄絶さを帯びている。
探偵作家のなかには、時折、はたしていかなる夢魔がこの人の枕もとでこれほどの悪夢を注ぎ込んだのかと訝しくなるような異端の才能があるものだが、連城はその代表格である。
いったい何がかれをして未曾有の大奇術を捻出させつづけるのか、なぜかればかりが本来、重く揺るがしがたいはずの現実をこうも軽々と揺り動かしうるのか、凡夫の目では測りがたい。
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