弱いなら弱いままで。
森博嗣のS&Mシリーズがテレビドラマ化されるそうですね……。
思わず「……」と付けてしまうのは、このシリーズが、たとえば東野圭吾作品あたりと比べても並外れて映像化がむずかしそうなテーマを扱っているから。
京極夏彦の妖怪シリーズと並んで、新本格ミステリのメルクマールともなった伝説的作品群だけに、果たしてまともに映像になるものか心配は募る。
いやまあ、たぶん無理だろう。なんかそれっぽいサイコスリラーみたいになるに違いない。と、頭から偏見を抱いている海燕さんなのですが、そんなかれをへこましてサーセンと云わせるだけの出来だといいな、と思います。
しかし、「少し変わり者のクールな2枚目でずぼらな性格だが、警察からも頼られるほどの天才的な分析力と考察力を持つ犀川創平」って、既に何か違うw まあいいけれど。
熱狂的ファンがたくさんいる作品だけに、半端な映像化は避けてほしいところなんだけれど、どうなるものか。一応、見てみることにしよう。
まあ、いまさら解説は不要と思われる有名作品ながら、一応、説明しておくと、S(犀川)&M(萌絵)シリーズは、N大の助教授犀川創平と学生の西之園萌絵を主人公とした全10作の本格ミステリ。
森のデビュー作にして歴史的傑作であるところの『すべてはFになる』から始まって、『冷たい密室と博士たち』、『笑わない数学者』、『詩的私的ジャック』、『封印再度』、『幻惑の死と使徒』、『夏のレプリカ』、『今はもうない』、『数奇にして模型』と続き、『有限と微小のパン』で完結している。
その後、さらにVシリーズ、Gシリーズと続いていくのだけれど、ほかの凡庸なミステリ作品と決定的に違うのは、シリーズが完璧に予定通りに刊行され、完結していること。
クイーンの国名シリーズあたりを尊敬して長大なシリーズを目論む作家は多数存在するながら、ほとんどが途中で失速しているなかで、森のスケジューリング能力は傑出している。
特に『すべてがFになる』でデビューした時、その後の刊行予定作品の名前がずらっと並んでいたことは印象的だった。そして、
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