萌え太郎さん のコメント
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インターネットが一般に普及してから何年も経ち、それを通して、物やお金がやり取りされるようになった。こういう時代では、「ネットを通して乞えば物なりお金なりを恵んでくれるひとがいるのではないか」と考えるひとも出てくる。
極端なところでは「金くれ」( http://kanekure.ssig33.com/ )というそのものずばりのサービスがある。銀行口座番号とひと言を登録し、だれかがお金を振りこんでくれるのを待つというサイトで、じっさいどれくらいの効果があるのはともかく、発想としてはおもしろい。
そこまでいかなくても、たとえばブログなどにAmazonの「ほしい物リスト」を公開する、そうするとそれを見ただれかが何かを買ってくれる、そういうことは時々ある。
かくいうぼくも一時期、「ほしい物リスト」を公開していた。そうすると、あるひとがサイダーひと箱とパスタを送ってくれた。めちゃくちゃ嬉しかった。プレゼントにはひとをハッピーにする魔法の力がある。
しかし、こうした行為を「ネット乞食」と呼んで嫌うひともいる。そうだろうか。仮にそうだとして、それでは「乞食」とは何が悪いのだろう。あなたはその「悪さ」を論理的に説明できるだろうか。
乞食というと思い出すのは、コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズシリーズの「唇のねじれた男」である。ある立派な男が乞食に身をやつして稼いでいた、という話で、まじめに働くより乞食をやっていたほうが儲かるという価値の転倒がおもしろい。
一般に労働は素晴らしいことで、怠惰は悪徳とされているわけだが、その価値観がここでは崩れ去っているわけである。まあ、こういう小説が成立するのも乞食を侮蔑する価値観が厳として存在するからだ。それでいて、どこからどこまでが乞食なのかといえば、これはあきらかではない。
たとえば夫の稼ぎで暮らす専業主婦は乞食だろうか。ある日、仕事の帰りに職場の先輩におごってもらった。これは乞食? 彼女から誕生日にプレゼントをもらった。これも乞食にあたる? ひとそれぞれではあるだろうが、こういう行為は乞食にあたらないと考えるひとが大半なのではないか。
しかし、これらも「無償で物やお金をもらっている」ことには変わりない。どうやらここからここまでが乞食、とはっきり線引することはむずかしいようだ。
それでは、結局、「ひとから無償で物やお金をもらうこと」は何が悪いのか。ひとつには、それがひとの精神を堕落させるから、という理屈がある。
他人から無償で何かをもらってばかりいると、自分で苦労して働いてお金を稼ぐということの意味がわからなくなる。何もしなくても収入があるのだから、がんばったりする必要はない、ということになりかねない。それは人間性の堕落だ。だから、乞食は良くないのだ、という論理だ。
なるほど、一理ある。たとえば、発展途上国への援助なども、一方的に物やお金を送りつけるだけでは必ずしもうまくいかないことが最近では知られている。必要なのはその国が自立していけるように助けることで、とにかく金を送ればそれで解決というわけにはいかないのだ。ネット乞食も同様かもしれない。
ただ、それならそのもらうひとに何かしてもらうのはどうだろう? 何か「芸」を見せてもらってお金や物を贈る。これならビジネスとして成立している気がする。
「振り込めない詐欺」という言葉がある。あまりにも素晴らしくお金を払いたいくらいなのに、お金を送る方法がない、という「芸」に対する言葉だと思う。それでは、何か「振り込めない詐欺」をしてお金や物を募ったらそれは「乞食」にあたるか。
そもそも、このブロマガにしてからがそういうシステムである。ブロマガがビジネスなら、無料ブログで物をねだるのだって立派なビジネスだろう。システムの効率という点で差があるだけだ。
ニートブロガーとして有名なPhaさんの著書『ニートの歩き方』に、「ニートにお金をやるとおもしろい」ということが書かれていた。お金がないひとにお金を送って、そのひとがどう使うのか観察する。そういう「娯楽」が成り立つなら、ネット乞食も悪くないかもしれない。
ただ、お金が絡むと、問題は複雑化することもたしかである。「クラウドファンディング」という言葉がある。Wikipediaによると、「クラウドファンディングは、不特定多数の人から資金を集める行為である。群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、製品開発やイベントの開催、チャリティなどの用途で利用されることが多い。ソーシャルファンディングとも呼ばれる」とのこと。
これはあくまで資金集めの方法論だから乞食とは異なるが、ネットでこういうふうにお金を集めようとすると大炎上になる可能性がある。「こんな奴にお金を集める資格はない」といわれてしまうのだ。
ぼくはネット乞食を悪いこととは思わないが、乞食する以上は良識派を自認するひとから攻撃される危険性は覚悟しておくべきだろう。現実にお金を得るためには何かしら「芸」がある必要があるだろうが。
ところでぼくの「ほしい物リスト」はこれである。どうか旦那様がた、お恵みを。
http://www.amazon.co.jp/registry/wishlist/2QKLYKK8T8XU4/ref=cm_wl_act_vv?_encoding=UTF8&visitor-view=1&reveal=
許容範囲です。
現実ではよほどの物好きでもない限り乞食に近づこうとする人はいないでしょうが、ネットには志の
高い方が多くいらっしゃるのか、わざわざ自ら近寄ってご高説を垂れられる場面をよく見ます。
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