弱者の居場所がない社会――貧困・格差と社会的包摂 (講談社現代新書)

 あなたは自分の人生をどういうふうに評価しているだろう。あるべき理想の人生と比べて、どのくらい成功していると考えておられるだろうか。

 おおむねうまくいっている? それはいい。しかし、それはすべてあなたの功績とはいえないかもしれない。どうもうまくいかないようだ? それはお可哀想に。しかし、それも皆あなたの責任ではないかもしれない。

 ひとは、特に日本人はそうかもしれないが、自分の「努力」と「成果」に正比例の関係を見出したがるところがある。試験に合格できたのは自分の努力の賜物だとか、結果が出なかったのは努力が足りなかったからだ、というふうに考えるのである。

 もちろん、これは全くの間違いとはいえない。努力すればするほど成功の確率は上がるだろうし、サボれば下がるほど下がることだろう。しかし、当然、努力したからといって必ずうまくいくものでもないし、適当にやっていても成功するときは成功する。努力と成果は必ずしも比例しないのが現実である。