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1強のドライゼロに肉薄するノンアルビールがついに登場?/ビアエッセイストが春の新作6本レビュー
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1強のドライゼロに肉薄するノンアルビールがついに登場?/ビアエッセイストが春の新作6本レビュー

2017-04-06 07:30
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    ガジェット通信では、鳥取県大山町在住のライター、ビアエッセイストの矢野竜広さんに春の新作ビールをレビューしてもらいました!

    やっぱり春からがビールの季節でしょ!

    クラフトビールブームの到来で、「ビールは夏だけではなく、一年中楽しめるお酒なんですよ~!」というノー天気な言葉をよく耳にする。僕も東京にいた頃はそう思っていた。ところが、鳥取の片田舎にある築100年の日本家屋に移り住んだとき、「真冬にビールを飲むなんて正気の沙汰ではない!」と心底思った。部屋の中にいるのに吐く息が白いのは当たり前、着ぶくれてトルネコのようになりつつも足の先は常にじんじん冷えて痛いのだ。体内の熱をキープするのに四苦八苦なのにビールなんて飲んだら元の木阿弥。生存を最優先せざるを得なかった。

    そんな厳しい冬を経験しているからこそ、春の到来は本当に嬉しい。そして、やっぱりビールの季節はここからだよなと思うわけである。申し遅れました、矢野竜広(@beeressayist)です。誰も名乗らない肩書き、ビアエッセイストを名乗り、「ハハハ…、そ、そうなんですね…」と名刺を渡した相手が淡く引く様子を楽しんでいる。

    早速、でもないけど、新作ビール(※ノンアル含む)のレビューを始めたい。今回ランダムにチョイスしたのはこの6本!

    ・サッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー
    ・サッポロ NEXT STYLE
    ・前略 好みなんて聞いてないぜ SORRY 其ノ四 セッション柚子エール~あら塩仕立て~
    ・六甲ビール 布引渓流・あわじレモンのホワイトエール
    ・六甲ビール 熟
    ・KIRIN 零ICHI

    サッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー

    1本目は4月25日発売のサッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー。昨年も4月に限定投入された商品が「再発売を望むお客様からの声にお応えして」再リリースされた(カギカッコを付けたことに他意はありません!)。サッポロ黒ラベルのスピンオフアイテムという位置付けだろうか。
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    こちらの特徴は何と言っても「旨さ長持ち麦芽」。
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    これはビールの風味を劣化させる成分(LOX-1)を持たない大麦から生まれたLOXレス麦芽を100%使用した逸品なのだとか。さて…

    実飲!(食わず嫌い王決定戦の“実食!”の声で再生ください)

    さすが、深い風味!これはまさにLOXレス麦芽やー!…と叫びたいところだけど、正直なところよくわからない。ただ、モルト感は強く、モルト由来の甘みを感じるしそのもったり感もしっかりした飲み応えにつながっている。同時に、米やコーンといった副原料の使用ですっきりもしており、バランスの良さも感じる。美味い!

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    炭酸が強いのか、グラスから気泡が立ち上る様子を眺めることもできる。このバブルショーも見落とされぬよう。
    王道のビールなのに辛口白ワインのような雰囲気がある不思議な一本だった。年に一度のリリースなので、特に黒ラベル好きは絶対に手に入れたい。

    詳細は公式情報を
    http://www.sapporobeer.jp/news_release/0000021555/index.html [LINK]

    SAPPORO NEXT STYLE

    これまで、ビールは「出産は痛くなければならない神話」のように、「苦みを乗り越えてこそオトナになれる神話」があったように思う。でも、ホワイトビールのように苦みが弱いスタイルも、フルーツを投入したスタイルもある。「もうほろ苦いだけのビールから、次のステージに行かない?」というメッセージが込められているかどうかはさておき、4月4日よりセブン&アイグループ限定で発売されたのがサッポロ NEXT STYLEである。開栓し、グラスに注いだ時点で強い香り。早速、
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    実飲!(食わず嫌い王決定戦の“実食!”の声で再生ください)

    公式情報では「柚子の香りが特長の爽快系発泡酒」とあったが、どちらかと言うとかぼすの香りに近い。まあ、柑橘系の香りが強いのは確かである。麦とホップにかぼすを垂らしたら、かなり近い味わいになるのではなかろうか。苦みは穏やかなので、苦みが苦手な人もいけるだろう。

    「なんかビアバーで面白いビール飲んだんだけど、あれに似たもん、自宅でも安く飲めんかね?」というニーズはたぶん結構ある。サッポロのホワイトベルグはそこが受けた。このSAPPORO NEXT STYLEも同系列に位置付けられそうだ。

    しかし、セブンイレブンが鳥取にできてよかった。岡山に遠征に行かなくて済んだ…。

    詳細は公式情報を
    http://www.sapporobeer.jp/news_release/0000021582/index.html [LINK]

    前略 好みなんて聞いてないぜ SORRY 其ノ四 セッション柚子エール~あら塩仕立て~

    続いては、こちら。
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    タイトでキュートなヒップがシュールなジョークとムードでテレフォンナンバー…ではなく(オーバーエイジ失礼)、前略 好みなんて聞いてないぜ SORRY 其ノ四 セッション柚子エール~あら塩仕立て~(長野県ヤッホーブルーイング)である。突っ込ませていただきます(息を整えて)長いよ!

    商品名とともに注目したいのが副原料。
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    ゆず果皮、ゆず果汁、さらには理科の教科書でしか見ない「食塩」という文字も。開栓のプシュ音と同時に柚子の香りが漂う。さて、

    実飲!(食わず嫌い王決定戦の“実食!”の声で)

    面白い!実はこれ2年前のけやき広場で口にしていたのだが、酔っ払っていたのでほとんど覚えていなかった(ビール祭好きの皆さん、あるあるですよね?)。広報の方に聞くところによると、「レシピをブラッシュアップし、より華やかなホップの香りと飲みやすい塩感にこだわった」のだそう。もちろん柚子の香りは支配的なのだけど、結構塩も負けていないのだ。きちんとしょっぱい。ちなみに、ビールに塩を使う文化は旧東ドイツにあり、その「ゴーゼ」というスタイルは近年まさに流行中。

    そばにいた妻に飲ませてみたところ、「これだけで飲むより、食事と合わせたいね」とのこと。なるほど、確かにそうかもしれない(いつも妻にヒントをもらってる)。副原料入りのビールは、その副原料があると美味しくなる料理と合うと言われている。つまり、このビールはゆずや塩を足したら美味しい料理と合う。ってことは、甘辛く煮た大根や軟骨の唐揚げとかだろうか? これはペアリング好きを楽しませてくれる一本と言えるかもしれない。

    詳細は公式情報を [LINK]

    六甲ビール 布引渓流・あわじレモンのホワイトエール

    続いてもクラフトビールから。兵庫県の六甲ビールの布引渓流・あわじレモンのホワイトエール。「布引渓流」「あわじレモン」「ホワイトエール」。よくわからない人には耳慣れないワードのトリプル3達成という感じだろう。
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    まず「布引渓流」とは不純物が少なく、かつて船乗りの間で「赤道を越えても腐らない」と伝えられた名水なのだとか。そして、浅学のため玉ねぎのイメージしかなかった淡路島だが、レモンも特産だった。なんと島ではレモン狩りもできるらしい(ハハハ…、そ、そうなんですね…)。というわけで、

    実飲!(食わず嫌い王決定戦の声で)

    レモンよりもコリアンダーの方を強く感じる。コリアンダーとは、ホワイトエールでよく使われる副原料だ。だが、後味はしっかりレモン。しっかりレモンしている(大事なことなので二度言う)。なんせ一つひとつ手作業でを皮を剥いているのだ。これぞクラフト。キリッと辛口で爽快な一本なので、これからの季節、外で飲むのもおすすめ!先のペアリングの考えで言うと、白身魚のフライとかとものすごく合うかもしれない。

    六甲ビール 熟

    続いても同じ六甲ビールから。しかし、全くキャラが違う一本。それが、「熟」。熟成が進むことで独特の熟成香と丸みのある味わいが生まれるそうだ。賞味期限を見ると「2019/3/30」の文字。一応2年で区切ってはいるが、おそらくもっと熟成できるはずだ。今飲んでしまうのもアレだが、飲まないとレビューできないので開栓。そして、
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    実飲!(食わず嫌いで)

    香りはかなり強い。モルトの濃厚な香りが漂うのだ。口に含むとかなりの発泡感。シャンパンのようなニュアンスもある。あ、これは熟成させて何かの記念日に開けるのもありかもしれない。ベルギーに修道院で造られたビールがあり、その中でも特に名高い一本に「オルヴァル」というのがあるのだけれど、あの雰囲気に近い。アルコール度数は5%なのに重厚な一本に仕上がっている。

    いずれにしても、「ワインと違ってビールって寝かさないでしょ?」と思う人を心地よく裏切る一本。ビールの新しい飲み方を提案してくれる。

    両商品とも詳細は公式情報を
    http://www.rokko-beer.com/lineup.html [LINK]

    キリン 零ICHI(ゼロイチ)

    最後の一本はノンアルコールビールから。これ、地方の車社会に生きる者にとっては本当に死活問題なのだ。「KIRINから一番搾り製法のノンアルコールビールがリリースされる」と聞いたときには小躍りした(嘘を付いてしまったかもしれない)。
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    缶にも「麦のおいしいところだけを搾り、ていねいにうまみを引き出しました」とある。この平仮名が多くて優しい感じも憎いではないか。おお、グラスに注ぐと、見た目もほぼビールである。心なしか洋なしのようないい香りも漂う。さあ、ハードルが異常に高くなったところで、

    実飲!

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    うーーーーーーーーーん、惜しい!いや、美味い、美味いのだけどもっとビールに近い味わいを想像していたので「うん、やっぱりノンアルだもんね…」と一人勝手にアンニュイになってしまっただけなのだ。ただ、この商品の良いところはパッケージだ。ノンアルだからと心地よい青空とか雲とかそういうのを表現するのは違うと僕は思う。人間なんてしょせん錯覚の生き物なんだから、パッケージもビールに寄せる。このキリン 零ICHI方式で正しいのだ。

    そう、僕はノンアルコールビールを飲むならスーパードライ風のパッケージが印象的なアサヒ ドライゼロ一択だった。でも、このキリン 零ICHIの登場でようやく対抗馬が出てきたと嬉しくなった。ごめん、好きだ、零ICHI!

    詳細は公式情報を
    http://www.kirin.co.jp/company/news/2017/0208_01.html [LINK]

    おしまいに…

    いかがだっただろうか?
    柚子、塩、レモン、そして熟成。いやあ、ビールって本当にいいもんですね。

    来月も人生が楽しくなるビールを求めて、ビアエッセイストの旅は続く…

    (執筆者: 矢野 竜広)

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