芥川賞や直木賞などの選考・受賞を行っている日本文学振興会が、2016年6月20日の朝日新聞朝刊に掲載された広告で、
文学を知らなければ、目に見えるものしか見えないじゃないか。
文学を知らなければ、どうやって人生を想像するのだ(アニメか?)
というコピーがあり、各方面から批判の声が上がっています。
【悲報】日本文学振興会が朝日新聞広告にてアニメをダシにして文学を褒める
http://getnews.jp/archives/1494001 [リンク]
この件について、日本文学振興会に電話取材。その一問一答をご紹介します。
「驚いて困惑している」「文学よりも強大な力がアニメにはある」
--「文学を知らなければ、どうやって人生を想像するのだ(アニメか?)」とした意図は?
ネットを中心に、アニメを侮辱しているのではないか、文学の方が上でアニメが下で、上から目線でアニメを馬鹿にしているのではないかという批判がありました。その批判を浴びた時には、はっきり言って「そういう読み取り方があったのか」と驚いて困惑したというのが最初の印象です。事前に読んだ時にアニメに対する侮蔑の感情が閉じ込められたと察知することはできなかったです。
--例えば小説からアニメ化する作品もあると思いますが、コピーを選ぶプロセスで念頭には置かれてなかったということでしょうか?
置いていないです。先ほど申し上げたようにアニメに対して文学よりも一段下だと思っていなく、我々の強力なライバルだと思っていますので、全然いまおっしゃられるような危惧は感じ取れませんでした。今はそれを恥じ入っています。
--広告を見た人から、抗議の電話などはあるのでしょうか?
抗議も複数の方から頂いて、一生懸命説明しました。文学が上でアニメが下というのではなく、いま文学と拮抗するよりも、はるかに凌ぐような強大な力をもっているのがアニメなんだという認識があるんです。それは世の東西を問わずすごいいい作品があり多くの人を魅惑している。そういう認識だったものですから、「アニメを見るだけでいいんですか」ということが言いたかったんです。
--ネット上では、代理店は電通だとする話がありますが、それは事実でしょうか?
事実です。そのコピーが素晴らしいものだと思ったのですから、不愉快な思いをした人への責任は、電通でなく、日本文学振興会にあります。
--この新聞広告を、例えば交通広告などで展開する予定はあったのでしょうか?
あります。次々に展開する予定です。
--結果として、一部の人にとって文学の価値を毀損しかねないことになってしまいましたが、具体的な対応策は考えていらっしゃいますか。
このキャンペーンは1年でも2年でも続けていくものだと考えています。今後どうしていくのか、今日明日で練っているところです。原稿をゼロから書き直すのか、あるいはポスターの展開をやめるのか、複数ある選択肢のどれを選ぶのかを検討しています。いずれにしても今回のことは対応してやっていこうと考えています。
人生に、文学を。(公益社団法人日本文学振興会)
http://www.jinsei-bungaku.jp/ [リンク]