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2016年の年の瀬に漫画家・種村有菜先生の作品展『種村有菜原画展』に行ってきた。場所はスカイツリーの御膝元、東京ソラマチ5階 スペース634。期間は2016年12月17日(土)~2017年1月4日(水)、年末年始をまたがっての催しだ。

予想した通りに相当の盛況。“1階ソラミ坂ひろば付近”で配布されている整理券を受け取って待機する。番号ごとに呼ばれたら入場可能となる。その番号は『Twitter』で告知されるため並ぶ必然性はないのだが、列が形成されていた。聞いていると「早めに入りたい方は」並んで待っている状態。寒いのだが列に並んでみた。

堪えきれずに列を外れる方も多かったが、列に並ぶ方々を観察してみた。大半は女子グループかカップルだ。女子グループの巻き髪率の高さに気付く。さすが有菜先生のファン! 気合の入った若い女性が目立っており、画業20年と銘打たれているのにたくさんの若いファンがいることに圧倒された。

展示内容は種村先生の作品を年代別に順列したもの。デビュー単行本の『イ・オ・ン』に始まり最新作品の『悪魔にChic×Hack』まで華麗なる画業の形跡。時を追って、この作品の連載時期はこんなことがあった、この作品の頃はこうしていたな、などと感慨深く感じてしまう自分に気付いた。20年というのはそれだけの年数なのだ。もはや半生を種村先生の作品に支えられながら生きているのではないか?

少女漫画というとポップカルチャーに属するが、膨大な点数の作品群を見ていると既に芸術の域に達していることに気付く。

現代の私たちにはまだ身近な現代性が感じられる作品群。けれど、これらが何十年何百年と時を経たらどうだろう? 現代の私たちがかつての浮世絵に感じたような不思議な親近感と魔力を感じるのではないだろうか。その域に達する潜在性を含めているのではないだろうか。あまりに身近で、まだ私たちには隙間の感じられない雑誌上の文化であるがために気付かないがその域に達していると思われる。どれもそれだけ美しく儚く、そしてきめ細やかだ。いずれ時間的な隙間が生じてきたときにも、尊いものとして残されていくように感じずにいられない。

スカイツリーの展示場で、このように明るく華やかな原画を年末年始にかけて鑑賞する。それだけで何だか楽しくなってしまう。人を楽しませることに透徹したエンターテナーの視線を感じられる、素晴らしい空間だった。

筆者は過去にサイン会にも参加させて頂いており、特に『紳士同盟クロス』の潮ちゃんが大好きだった。百合要素が感じられる潮ちゃんにはボーダーレスな魅力があった。だがもちろん『神風怪盗ジャンヌ』のまろんも愛しい。

ちなみにおみやげとしておすすめしたいのはクリアブロマイドだ。値段が手ごろだからと侮るなかれ。種村有菜先生の画業の粋を感じられる、華やかさにふさわしい透明感で持っているだけで嬉しくなること間違いなしだ。

種村有菜オフィシャルサイト http://tanemuraarina.com/
【リンク】

種村有菜原画展 http://www.breakprize.com/arinatanemura20th
【リンク】

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(執筆者: 小雨) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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